記録

記録

2023年10月29日

家族がいつもより早く起きる。姉の子どものお宮参りのためだ。家族が続々と正装になっていく姿を赤ちゃんを時々預かりながらパジャマ姿で眺めていた。午前中に家に誰もいなくなったのでしばらくだらだらした後に、自転車に乗って街へと繰り出した。栞日が主催する出版社や書店が集まるブックイベントへ行った。パルコの6階が開場で、久しぶりに地元のパルコへ行き懐かしい気持ちになった。5階にあるヴィレヴァンは中高生の時によく来ていて、ここで『AKIRA』をお小遣いが貯まるたびに1巻ずつ買っていたのだ。そんなことを思い出しながら会場へ向かった。ブックイベントの人はまばらで、ブースを見て回るのに緊張した。結局本は買わなかった。こういうイベントを見ると自分でも好きな人を呼んで企画してみたいと思うのは前職の名残なのか。パルコの1階で治一郎が売られていて、この前観た『トークサバイバー2』での大悟の話を思い出した。

ちょうどお昼だったのでラーメンでも食べようかと徒歩圏内の目ぼしいお店をいくつか回ったがどこも長蛇の列で諦めた。一旦お昼はパスして自転車でカメラ屋に行き、フィルムの現像をお願いした。その帰りに、また違うラーメン屋を覗いたがまたもや混んでいたのでインド料理屋でカレーを買って帰宅した。もう2時過ぎになっていて、カレーを食べていると家族が帰ってきた。お宮参りの写真などを見せてもらった。赤ちゃんは慣れない外で縮こまっていた。

夕方、現像が終わったフィルムのデータを取りに行った。日常的に撮った風景の他に、出産する前の姉の姿や初めて赤ちゃんが来た日、赤ちゃんを連れて外を散歩した日々などが写っていた。

2023年10月28日

朝起きて、パキラを日の当たる場所へと移す。ここ数ヶ月の日課だ。小さいサボテンも育てていたが枯れてしまった。リビングにいると赤ちゃんを抱えた姉が現れる。ひとしきり赤ちゃんを撫でまわし抱っこをする。これもまた毎朝の日課だ。シャワーを浴びる。朝ごはんは食べない。洗濯機を回し、掃除機をかける。

今日は義理の兄の家族が家に来るため、僕はなんとなく居場所に困るので映画を観に行くことにしていた。11時ごろに早めの昼食を食べた。冷凍の坦々麺に、先日叔母の畑で採れたチンゲンサイを茹でてデロンと乗せた。長くて緑で太いものが横たわるだけで見映えが変わる。自転車で映画館のあるイオンモールへ向かった。週末にイオンモールへ映画を観に行くなんてすっかり地方の人になったものだなんて思いながら自転車を漕いだ。スコセッシの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観た。悪いほうへ悪いほうへと向かいながらもわずかに見え隠れする愛のようなものの間で揺れるディカプリオがとても良かった。どこまで行っても自分への可愛さを捨て切れない佇まいがどことなく妻夫木聡を思わせた。3時間半まったく飽きなかった。ナカゴーの1時間の芝居を観た時は短ければ短いほど面白いと思うし、今回みたいな映画やケラさんの3時間越えの演劇を観た時は長ければ長いほど面白いんじゃないかと思えてくる。

映画を観終わり、近くの大きな公園を散歩した。秋の空気が気持ち良く、紅葉した木々が美しかった。犬を連れている人、子どもとピクニックをしている人、芝生でキャッチボールをする高校生、バドミントンをするカップルがいた。歩きながら作品の長さのことでナカゴーのことを考え、数ヶ月前に鎌田さんが亡くなったことを思い出した。この前キングオブコントでサルゴリラを観た時も鎌田さんのことを思い出した。鎌田さん作演出のサルゴリラとライスが出た神保町花月の公演を数年前に観たことがあったからだ。やはり亡くなったのはかなりショックで、もうナカゴーの新作を観ることができないのは本当に悲しい。心からどの作品も好きだった。一度ナカゴーを観たことがある人はきっと誰もがこの人は天才だと確信したと思う。本当に唯一無二の作品を作る人だった。

義理の兄の家族が帰る頃合いに家に帰った。テーブルの上に残っていたお茶菓子やフルーツを一通りむさぼり食べた。もう日が暮れてきたのでパキラを元の場所へと戻した。赤ちゃんは大人しく寝ていた。

T君とラジオ

実家に帰ってきている。帰ってきているというか東京での生活はもうまもなく終わり、これから実家で生活することとなる。開かれた窓の外からは水の張られた田んぼが見え、ゲコゲコと鳴く蛙の声と水路を流れる水の音が聞こえる。雨上がりのひんやりとした空気が部屋に入ってくる。東京よりもだいぶ涼しい。

地元で生活するのは10年ぶりだ。毎日気晴らしに近所を散歩している。相変わらずラジオは聴いていて、いつどこにいたってこの習慣が消えることはない。つい先日の『爆笑問題カーボーイ』を聴きながら高架下をくぐると、ふと中学の同級生のT君を思い出した。T君は違うクラスであったが帰る方向が同じということもあり、いつの間にか一緒に下校することが多かった。彼は決して良い人ではなかった。他人への態度は横暴だし空き家の柱を蹴飛ばしで半壊させるなどよく悪さをしていた。しかし勉強はできたので周囲の人もあまり口出しをできないようだった。そのせいもあり、T君は浮いていて同じクラスに友達がいなかった。だから違うクラスの自分が一緒によく帰っていた。中学3年生の時、T君は先ほどくぐったこの高架下で高齢者が運転する車に轢かれた。轢かれたといっても軽くぶつかった程度で怪我もしていない。しかし、彼はその高齢者に病院代という名目で数万円をもらい、そのお金でiPodを買った。T君は下校中、ひと通りiPodの自慢をした後、podcastの『爆笑問題カーボーイ』が面白いと教えてくれた。ちょうど自分もiPod nanoを親に買ってもらったばかりだったので聴いてみるとそれはもうくだらなくて面白かった。配信されているのはコーナーだけで、特に「人妻枠」というコーナーのしおふきんちゃんは今でも鮮明に覚えている。この出来事がラジオを聴くきっかけになったのだと、高架下をくぐりながら思い出した。『爆笑問題カーボーイ』を聴き始めて15年にもなる。T君とは中学を卒業して以来会っていないので15年顔を合わせていない。もうきっと会うことはないだろうが、元気にしているだろうか。しばらくはこの高架下をくぐる度にこの出来事を思い出す。彼が車に轢かれ、高齢者にお金をせびらなければ自分の人生にラジオはなかったかもしれないのだから。ちなみに今思い出しのだが、一度彼の家に遊びに行ったとき、本棚の後ろには『ToLoveる』が隠されていた。

あの時のiPod nanoは見つからなかったがiPod shuffleは見つけた

 

3月30日

意味もなく朝3時半に起きて自転車に乗る。派手な広告が付いたレンタサイクルだ。降り続いた雨でサドルが濡れていたのでコートの袖で拭う。日の出までまだ時間はあるので外は暗く寒い。数駅隣りまで走る。家へ帰る人か、それともこれから仕事へ向かう人か分からないがポケットに手を入れ身を縮こませた人たち幾人かとすれ違う。大きな道路に出ると何メートルにも渡って工事をしている。濡れたコンクリートに赤や白の電灯が反射していて眩しい。引き立ての真っ白な「止まれ」の文字を何人もの人がしゃがみながら見ている。住宅街に入ると小学校があり、校門前に桜が咲いている。やや散っているが見上げると空一面が桜で美しい。写真を撮る。自転車を降りて近隣の返却スポットにレンタルサイクルを返す。歩いて近くの駅まで向かう。始発までまだ少し時間があったので松屋に入ろうとしたが5時からの営業で閉まっている。仕方なく、始発の4時39分まで駅のベンチに座って待つ。同じように始発を待つ人が何人かいる。なんとなく足を前に伸ばすと靴の裏にびっしりと桜の花びらが付いていることに気がついた。先ほどの小学校の桜だろうか。きっと雨上がりの今日はたくさんの人が靴の裏に桜の花びらを忍ばせながら過ごすのだと思うと自分だけが世界の秘密を知ったような気分になれた。始発が来ると、どの座席にも等間隔で人が座っていて割り込むのが申し訳ないので扉横に立つ。数駅揺られ自宅の最寄りに着く。つい1時間ほど前にいた家に再び戻り、布団に潜る。眠れないのでなんとなくラジオを聴いていると、5時53分にラッキーオールドサンの「街の人」が流れてきて不意に泣きそうになった。

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中欧旅行記チェコプラハ編

WBCチェコ戦を観ていたらふとチェコでの旅行のことを思い出し、下書きに眠っていた2018年の思い出を2023年に更新する。中央旅行記の他の国はこちらから読めます。

miwa0524.hatenablog.com

 

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中欧旅行記の最後の国、チェコプラハでの出来事について書いていく。

チェコへは、ウィーンから個人で手配した相乗りタクシーで向かった。タクシーはホテルまで迎えに来てくれて、そこから別のホテルに泊まっている相乗り相手を拾っていく手順であるようだった。どんな人が乗ってくるのだろうとドキドキしていたのだが、一向に相乗り相手が現れない。運転手はイライラしているようで、何度も電話をかけていた。かれこれ30分ほど車内で待機するも現れず、僕たちだけを乗せてタクシーはチェコへ向かって走り出した。目的地は、チェコにあるチェスキークルムロフという街だ。2時間半ほどの間、ひたすらなにもない道を走る。

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ウィーンからチェコへ向かう道中は、一度だけガソリンスタンドでの休憩があった。

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海外のスタンドというだけで少し気分が高揚した。オーストリアから国境を超え、チェコへ入ると少しだけ家々が現れ始めた。チェコらしいどれも可愛い家ばかりだ。そして、目的地であるチェスキークルムロフへたどり着く。タクシーの運転手とさよならをする。事前に調べた情報によると観光案内所で荷物を預けられるとのことだったので、案内所へ向かう。街の地面が石畳なため、キャリーケースが非常に持ち運びにくい。無事荷物を預け、街の散策を始める。チェスキークルムロフは、街全体が世界遺産なので、どこを切り取っても美しい。

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チェスキークルムロフのメインはお城なのだが、ちょうどお昼時だったので、お城へ行く前にお店に入ることに。チェコでの初食事は、グラーシュというチェコの郷土料理。ビーフシチューのような感じ。蒸したパンが添えられていた。この蒸したやわらかいパンは、プラハに行ってからも何度も食べることになる。

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寒い体にはとても温かく美味しかった。お店もとても良い雰囲気だった。

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隣のこの席に老夫婦が座っていて、お茶をしながら手紙を書いていた。旅先からの手紙、憧れてしまう。お腹を満たし、いざお城へ。

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場内の門をくぐり、坂をぐんぐんと上へ登っていく。すると眼下には、先ほどまでいた街が広がっていた。

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奥の建物がこの街の教会だ。美しい景色にしばしうっとりし、城を下る。川が凍っていた。

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もう少し街を散策していると、現地の人が住んでいる住宅街のエリアに迷い込んだ。何人もの子どもたちとすれ違った。坂を登ると、先ほど登った城を反対側から見える場所にたどり着いた。

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本当にこじんまりとした街だ。少し歩けば端から端まで見て回ることができる。協会へも行ってみた。

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協会のすぐ外のあたりで音楽が聞こえてくるなあと思っていると、近くの建物の中にバイオリンを背負った子どもが吸い込まれていく。その建物を覗くと、子どもたちがたくさんいた。

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何かの授業を受けているようだった。ここは学校なのだろうか。見知らぬ土地で、子どもたちの奏でる音楽に耳をすます幸福な瞬間に浸る。ぐるっと街を見終わり、この日のうちに、チェスキークルムロフからプラハへ移動しなければならないため、街のはずれにあるバス乗り場へ行く。

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プラハ行きのバスも日本から事前に予約していた。めちゃめちゃ安く、3000円もしなかったため不安だったのだが、コンセントあり、映画もありの快適空間だった。

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一つ一つの座席にモニターがあって驚いた。ここから2時間半ほどかけてプラハへたどり着く。駅で下ろされ、まずは切符を買うことに。3日間乗り放題みたいなのがお得らしかったのでそれを買う。

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ちなみに、プラハは物価がめちゃめちゃ安い。地下鉄に乗り、ホテルへ行く。チェックインし、荷物を置いてから街へ繰り出す。もうすっかり夜になっていた。夜ご飯を食べるためお店に入る。

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ここでもまた、お昼と同じようなものを食べた。そして、チェコといえばビールである。ビールは水より安く、200円とかで飲めてしまう。ほとんど苦くなく、お酒がまったく飲めない僕でも美味しいと思えた。しかし、アルコールには弱いので、半分ほど飲んでギブアップ。もう夜が遅かったので、この日はご飯を食べてホテルへ戻った。ちなみに地下鉄はこんな感じ。

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地下鉄ではかなり顕著だったのだが、どことなく無機質でどんよりした雰囲気は過去の共産主義の影響もあるのだろうか。勝手な思い込みかもしれないが。ホテルへ戻る前に近くのスーパーへ寄ると犬が飼い主を恋しそうに店内を見つめていて可愛かった。

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翌日は、朝から街へ出てプラハ城へ行くことにしていた。路面電車の走る街並みひとつひとつにいちいち感動して写真を撮った。

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プラハ城は高台にあるので周りを囲む階段をひたすら登っていく。

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しばらく歩き続けるとパッと景色がひらけ、プラハの街並みを見下ろす場所にたどり着いた。

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街そのものがこうして美しさを保っていることに感動してしばらく眺め続けた。ここからさらに歩き進め、お城の近くまでくると巨大な教会が目の前に現れた。聖ヴィート教会だ。

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とにかく大きい。ゲームのボスと闘う場所みたいだ。しかしこれは教会の側面であり正面へ回るとさらに立派な姿を見せてくれた。

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中へ入ると外からは想像のできない内側からのステンドグラスの美しさにうっとりした。

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こんなの神聖な気持ちにならざるを得ない。教会を出てからはお城を見学した。撮影禁止だったので写真はない。お城の敷地内にはちょっとした街があり、家々が並んでいる。そこの一角にはかつて牢獄だった場所がありこうして不気味な器具が並べられていた。

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拷問器具を見ると明治大学にある拷問器具博物館を思い出す。高校生の頃、クラスでオープンキャンパスに行った際に友達とこっそり抜け出し拷問器具の数々を見に行ったのだ。そんなことを思いながらプラハ城をあとにしていざ眼下に見えていた街へ。プラハの街はそれはもうどこを切り取っても美しかった。

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改めて写真を見ていると本当に素敵な街だったなと思う。適当なお店に入り、昼食をとった。

ここでもやわらかいパンが付け合わせで出てきた。やわやわのパンにソースをひたひたにして食べるのが美味い。カフカミュージアムへも行った。

プラハには本屋がとても多い。とくに街のいたるところに古本屋がある。

特に絵本が有名な国なので、絵本専門の古本屋も多数あり、何軒か周り絵本をたくさん手に入れた。とある小さな古本屋に入ると頑固そうなおじさん店主がいて、この作者の絵本が欲しいんですと恐る恐る話すとあいにくないと言われたが、こっちへこいと奥の事務所に案内され作業部屋みたいな場所を見せてもらえた。

旅先での優しさと貴重な経験にやたら感動してしまった。街をぶらぶらしているとおもちゃ屋が目に入り、ふと入ってみると中が遊園地のようになっていて驚いた。

ゴーレム伝説発祥の地と言われるシナゴークへも行った。裏には梯子があり、この屋根裏にゴーレムが眠っていると言われているらしい。

ちなみにゴーレムと聞いて真っ先に思いつくのはコントゴーレムのことである。プラハの街は歩いてるだけで楽しいのであっという間に夜になりホテルに戻った。ベッドの上で絵本を広げて満足感に浸った。

翌朝、タクシーで空港へ向かいいくつかのトランジットを経て日本へ帰ってきた。

今になって5年も前の旅行を振り返るとコロナ前の世界が懐かしくて仕方がない。またいつか気兼ねなく海外へ行ける日が来ることを祈る。最後にプラハの橋で見かけた撫でられ過ぎて輝く犬を添えて終わりにする。

 

2023年1月23日〜2月5日

1月23日(月)

明日から10年に1度の寒波ということだが今日はそれほど寒くなかった。仕事は『ちいかわ』新刊の発売日なので問い合わせに追われるかと思いきやそれほどではなかった。しかし、2500円もする特装版がばんばん売れていくのでちいかわ恐るべしだ。

1月24日(火)

寒さに身構えて朝起きたがそんなことはなくむしろいつもより暖かいくらいだった。なーんだ、これは台風が来る来るといいながら朝起きたら嘘みたいな晴天のパターンと同じではないかと思った。心地良い気候の中出勤した。仕事で売り場の電気が切れていたので新しくしようと電球をテーブルに置いておくとアルバイトの学生が「電球替えております」と言った。なんで突然丁寧な口調になったんだ、執事か?と思い何度も聞き返すと「電球替えて降ります」という意味だった。夕方になると風がすごい音をたてて吹き、室内にいてもどことなく空気がひんやりし明らかに外の気温が下がっているのが分かった。ついに来たか寒波。仕事が終わり22時過ぎに外に出ると寒すぎて体の生身が出ている部分すべてがもげるかと思った。すれ違う人たちの会話すべてが「さみー」という言葉だけで成り立っていた。自分も誰かと「さみー」と言い合いたいと思った。

1月25日(水)

髪を切りに行った。いつものちょうどいい会話をしてくれる美容師さんは、年始に書き初めをして「自炊」と書き玄関に貼っているらしい。美容室の前になぜか覆面パトカーが止まっていて、美容師さんが「偽物のパトカーだ」とつぶやいていた。スーパーでかき揚げを買い、家で蕎麦を茹でてかき揚げ蕎麦にして食べた。『ガンニバル』最新話の6話が更新されたので観た。とても面白い作品だが、正直3話までがピークで4話以降は展開や見せ方があまり良くなかったので演出が片山慎三監督に戻る最終話でどうなるのか気になる。おそらくサブスク配信の日本のオリジナルドラマで『ガンニバル』はトップクラスのクオリティだ。この質のドラマを作れるのなら阿部和重シンセミア』もそろそろ映像化できるんじゃないかと思う。夜は『水曜日のダウンタウン』の「名探偵津田」がとても面白かった。企画に完全に乗っかるのではなく、あくまでも片足を突っ込むというスタンスが津田さんと見事にマッチしていた。シリーズ化待ったなしだ。

1月26日(木)

仕事。帰宅し手を洗おうと蛇口をひねり水を出しお湯になるのを待っているとまったく温かくなる気配がなくしばらくすると、ピーッと電子音が鳴った。給湯器を操作する電子画面にはエラーと表示されていた。こんな真冬に給湯器が故障した。最悪だ。とりあえず明日不動産屋に電話することにした。

1月27日(金)

朝から不動産屋へ給湯器の件で電話をした。すぐに修理の手配をするとのことで修理屋からの連絡を待ってくれという話になった。昨日からお風呂に入れていないのでとりあえず電車に乗って11時から営業している銭湯へ行った。午前中からゆっくりお湯に浸かれるのは幸福感があった。外からの空気が浴室内に入るたびにお湯のを上を白い湯気が走っていた。しかし、午後から仕事なのでのんびりできるわけではなくほかほかの体で職場へ向かった。休憩中、喫茶店で電話をしている人がいて「人力舎の岡野さんどうですかね?」と岡野さんのキャスティングをしていた。夕方になっても給湯器の修理屋から連絡がないので不動産屋に電話すると「午前中には連絡してるんですけどねーもう一度確認します」と言われ、10分後に修理屋から電話があった。絶対どちらかが連絡を忘れていたので少しむかついた。修理は30日の朝7時半になった。朝早すぎるがこの時間しか空いていないと言われたのでしょうがない。仕事を終え、帰宅。冷たい水で手を洗うのはしんどい。

1月28日(土)

この日も朝から銭湯に行った。土曜日ということもあって混んでいた。サウナ目当ての若者の集団が多数いた。ゆっくりとお湯に浸かれなかったのでシャワーだけを浴びた。仕事へ向かう途中、オフィスビルの前にスーツを着た女性がピザハットの箱を抱えて立っていた。違和感あるなあと横目に通り過ぎると遠くから青いマイクポップコーンの袋を抱えた男性が走ってきてすれ違った。きっとさっきの女性と合流するに違いない。パーティーの気配。

1月29日(日)

芸劇シアターイーストで柴幸男演出『わが町』を観た。

ソーントン・ワイルダーの戯曲もとても好きだし柴さんのこれまでの作品も好きだが今回はなんとも言えなかった。自分の理解力が足らない部分もあるが、やりたいことが分かるようで分からなかった。好きな戯曲は聴きたい台詞があったりするがそこをあえて聞かせないような演出をしていてむずむずした。ちなみに好きなのはエミリーのこの台詞だ。

さよなら、世の中よ、さようなら。グローヴァーズ・コーナーズもさようなら。ママもパパも、さようなら。時計の音も。ママのヒマワリも。それからお料理もコーヒーも。アイロンのかけたてのドレスも。あったかいお風呂も。夜眠って朝起きることも。ああ、この地上の世界って、あんまりすばらしすぎて、だれからも理解してもらえないのね。

アフタートークが大学時代お世話になったゼミの先生で久しぶりに姿を見れて嬉しかった。先生の時間を確認する時の所作で不意に当時を思い出しグッときて懐かしさに泣きそうになった。

観劇後ポポタムに行くと高妍さんのポスターが売っていて思わず買ってしまった。明日館をチラ見した。帰り、高架を走る電車の窓から橙色の夕焼けが見えた。夕焼けを背景にしたビルや家々の影がとても美しくて思わず写真を撮ろうとしたが電車の中でスマホを出す勇気がなくてやめた。小さい子どもが靴を履いたまま膝立ちで窓の外を見ていて、あの電車であの景色を眺めていたのは彼と自分だけだった。帰宅し、部屋にポスターを飾った。

1月30日(月)

朝、給湯器の修理屋屋さんが来た。1時間ほどの交換作業でお湯が出るようになった。しかし、あくまでも代替機らしくまた新しい給湯器を設置するらしい。スマホの代替機や代車などは聞いたことはあるが給湯器の代替もあるんだと思った。ネットフリックスで『舞妓さんちのまかないさん』を一気見した。話ごとに演出する監督が異なるのでその違いを楽しみながらも1話2話の是枝監督の演出の間違いなさを再認識した。まなざしの捉え方にグッときた。主演の2人はもちろんのこと、松岡茉優がとても良かった。橋本愛とのコンビも最高だなあと思っていると劇中劇でゾンビをやり始めて『桐島、部活やめるってよ』じゃんとなった。作品の中で明日館の話が出て昨日見たばかりだったのでタイムリーだった。夜から咳が出始め、乾燥のせいかと思い白湯をひたすら飲んだ。

1月31日(火)

朝から体がだるく、体の節々が痛かった。体を引きずるようにして職場へ行った。頭痛、寒気に襲われ室内でもずっとコートを着ていた。確実に風邪かコロナだ。早退したかったが月末業務があったので帰ることができず、明日休む可能性が高かったので念のため代わりに出勤できる人を見つけ諸々連絡をして22時に退勤。震えながら電車に乗り帰宅し熱を計ると38度。明日病院に行くことにしてとりあえず寝た。

2月1日(水)

朝起きても体調は悪く、熱を計ると39度あった。職場に休みの連絡をいれ、近所の病院に事前に電話をしてから向かった。廊下の椅子で待たされ、そのままそこでコロナとインフルの抗原検査をした。15分ほどで陰性の結果が出た。その後PCR検査をし、解熱剤や咳止め薬などを処方された。結果は明日の朝になるとのこと。このまま外出できなくなる可能性が高いので薬局やスーパーで飲み物や食材を買い込み帰宅した。解熱剤を飲むとだいぶ体が楽になったが食欲がなくひたすら寝ていた。

2月2日(木)-2月5日(日)

熱はしばらくあったが薬でなんとかごまかしていた。とにかく頭がぼんやりした感覚がずっとあった。風邪とはやはり少し違う感じだ。1週間近く休みがあったのは数年振りだったので思う存分休んだ。ひたすりネトフリ、ディズニープラスを観ていた。観れていなかった『ウェンズデー』がとても好きな作品だった。自分ははぐれものたちが主役の学園モノが好きなんだと改めて思った。どのキャラクターもとびっきりキュートで、ウェンズデーはもちろんのことイーニッドとユージーンのようなキャラクターも抱きしめたくなる。全体を通して児童文学のシリーズもののような手触りもあった。あとはどドキュメンタリーの『ガンサーの相続金』も話が二転三転して面白かった。

週末まで咳は続き、頭はぼんやりしたままだった。

 

 

2023年1月16日〜1月22日

1月16日(月)

雨。『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』を聴きながら仕事へ行く準備をした。職場へ行く前に秋葉原に寄り、福島鉄平『放課後ひみつクラブ』を買った。ヨドバシカメラにガチャガチャがたくさんあり、もしかしたらと思い探すと『たぷの里』のガチャガチャがあった。ちょうど今週ぐらいから発売されたばかりだったのでやりたかったのだ。2度回した。いいのが出たような気がする。

終業間際にアルバイトの学生が大きなミスをし、終電近くの電車に乗った。露骨にいらいらした態度をとってしまった。普段、怒ることやいらいらすることがほとんどないため、いざ自分がそういう行為をしてみると、感情をそのまま出す気持ちよさというか楽さみたいなものがあることに気がついた。これは気をつけないといけない。終電間際の電車では隣にひどい酒の匂いをさせた年配の人がいて、さらに狛犬ポジションの人が座席側に過剰にもたれかかり端の席に座る自分の顔にダウンのもこもこが当たり嫌な気持ちになった。電車の降り際にちらっと見るとモンクレールだった。つい先日も誰もいない駅のホームでモンクレールのダウンを着た30代くらいの男性に思いっきり肩をぶつけられてもやもやした。モンクレールのダウンを着た人への偏見が増した。いまだに若林が春日のモンクレール事件を擦り続けているのは正しい。

1月17日(火)

数日前に届いていたてらおかなつみさんのポスターを額装して部屋に飾った。生活に1匹の犬が加わった。見るたびに可愛さに癒される。

洗濯や本の発送作業を済ませ、『カネコアヤノ 日本武道館 単独演奏会 2023』へ行った。

開演すると、スッとカネコアヤノが小さいステージに現れそのまま弾き語りで1時間半歌い続けた。MCも休憩もアンコールも一切なくそのストイックさとかっこよさに痺れた。しかし、力強くギターをかき鳴らし歌い上げたかと思えば時折り声を詰まらせて泣いていたりと感情の起伏が何度も感じられた。この広い武道館で1人の人間の繊細な感情の動きを見れたことになんだか感動してしまった。終盤、「恋しい日々」からの「とがる」そして「やさしい生活」という流れがありとても良かった。ちなみに前から4列目という嘘みたい席だった。

武道館ではオザケン銀杏BOYZ星野源もオードリーもゴッドタンのマジ歌も見たので行く度にその時のことを思い出す。あの時はあの辺りの席だったなとか。なので今度武道館に来た時はほぼ最前でカネコアヤノを見たなと思い出すのだろう。小雨が降っていたが神保町まで歩き、エチオピアでカレーを食べた。チキンカレーにした。相変わらず美味い。

1月18日(水)

先週の『オードリーのANN』を聴きながら出勤。2人のフリートークがいつにも増して良かった。若林さんの車を擦られた話からのドライブレコーダーが記録していた映像の話、春日さんの家族でディズニーに行った際の最も春日らしさが出ているエピソード。

職場のトイレが詰まり水が溢れ出し、床が海になっていた。水を排出させる場所がないのでペーパータオルを床にばら撒きひたすら水を吸わせた。

1月19日(木)

この日は職場の別のトイレで詰まりが発生し水が溢れていた。自分はいつからトイレ清掃業者になったのか。人事から先週受けた社内公募の面接結果の連絡がきた。同じ部署内の別ポジションはどうかという提案だった。また面談をすることになった。

豊田徹也『アンダーカレント』映画化のニュースが出ていた。とても好きな漫画なので不安半分楽しみ半分だ。坂元裕二の『それでも、生きてゆく』『カルテット』あたりが好きな人はたぶん好きな作品だと思う。

1月20日(金)

仕事は休み。しかし、無理矢理休みにしたので自宅でオンライン会議に参加した。つかの間の在宅勤務気分を味わえた。自宅で仕事ができるというだけで気持ちが軽くなる。だってジュースを飲んだってお菓子を食べたっていいのだ。夕方、渋谷WWWでの『ayU tokiO presents new solution 8』へ行った。

ayU tokiOと柴田聡子のツーマンだ。柴田聡子は「夕日」から始まった。とても凄い曲だと思うし好きな曲だ。涙、雑感、後悔、ワンコロメーター、サイレントホーリーマッドネスオールナイトなど大好きな曲もたくさん聴けた。改めて歌の歌詞というより詩に近いよなと思った。ayU tokiOは「九月の雨」で始まった。10人編成なのでとにかく音の重厚感が凄かった。新曲も素晴らしく、ああ今いい音楽聴いてんなあとずっと思っていた。最後のエレキ弾き語りでの「恋する団地」「米農家の娘だから」も素晴らしかった。会場で大阪から来ていたヒコさんに偶然会い、駅まで一緒に歩いた。

1月21日(土)

朝、風が強く吹く音が窓の外から聞こえてきた。大寒波が来ているらしく、とても寒い。昨日のライブの影響で柴田聡子とayU tokyOを流しながら仕事へ行く準備をした。外へ出ると、東京ではあまり感じることのないひんやりとした空気に地元を思い出した。仕事はなんとなくこなした。休憩中にサイゼに行き、ミラノ風ドリアとコーンクリームスープを注文した。「ミラノ風ドリアとコーンクリームソーダですね」と言われたが聞き間違いだと思いしばらく待っていると、「お待たせしましたコーンクリームソーダです」とコーンクリームスープを持ってきた。やっぱりクリームに引っ張られていた。帰宅中に「たばこは心の日曜日」という看板を見つけた。

日曜なんて翌日が仕事で憂鬱なことが多いのでしっくりこない。たばこを吸わないので分からないが、個人的には「たばこは心の金曜夜」にしたほうがしっくりくる。しかし、たばこの有害性を考えれば日曜の憂鬱とも合わなくもない。

1月22日(日)

親が東京に来たので家族で食事をした。つばめグリルでハンバーグを食べた。アルミホイルをつーっとナイフで切り開く時に、手術ってこんな感じなのかなと一瞬思った。

姉が妊娠したとの報告を受けた。年内に自分は叔父になるらしい。子どもができないことを悩んでいると親経由で聞いていたのでおめでたい。責任のない子どもはただ可愛いだけなので楽しみだ。ひとしきり東京観光をして親は地元へ帰って行った。

夜は『ブラッシュアップライフ』3話を観た。1話から引き続きずっと面白い。会話劇も本当に巧みだしタイムリープという設定の中で、自分いた時にはしていなかった会話をしている同僚を見かけるみたいな小さい出来事を描いているところにグッとくる。最後の「前野朋哉で死んだかー」に笑った。