記録

記録

2024年3月9日

3月9日(土)

午前中は部屋の掃除をして、お昼前に家を出て隣の市の塩尻市へ行った。目的は東座という映画館でケリー・ライカートの『ファースト・カウ』を観るためだ。東座は今では珍しい昔ながらの映画館だが、都会でしか上映されていないミニシアター系の作品を扱ってくれているのでずっと行ってみたかったのだ。雪が舞う中、塩尻駅から歩いて向かった。地方で暮らしながらいまだに電車と徒歩で生活している。車の運転に不安があり、駐車も広い場所でないとできないのをいつまでごまかしながらこの場所で生きていくのだろう。駅から20分ほど歩いた先に映画館はあった。

左に見切れるポルノ

1階と2階があり、2階はポルノ映画を上映しているようだった。窓口で券を買うと飴を貰えた。

まだ一つ前の回の作品が上映されているようでロビーでしばらく待っているとちらほらと同じ回を観に来た人たちが集まり始めた。60代以降の人がほとんどで若い人はおらず、『ファースト・カウ』を観たいというよりもこの劇場に通っている人のように思えた。通う劇場があるって素晴らしいことだ。前の回の人たちと入れ替わりで中に入り適当な場所に座った。すっかり座席指定の映画館に慣れてしまったので新鮮だった。お客さんは10人もいないので快適だ。しばらくするとスタッフの方が「寒い人いませんかー?毛布ありますよー」と声をかけ始め、なんてアットホームなんだと感動した。『ファースト・カウ』は、冒頭の船が横切るショットから始まり自然を捉えた良いショットがいくつもあった。なにより川が良い。夜な夜な人の家の牛からこっそりミルクを搾り、そのミルクでドーナツを作り売る話というとどこかポップな印象を受けるがそんなことはなく、男社会から弾き出された人たちの切実な友情と連帯の話だった。友情の描き方も大げさではなく淡々とした描写で良かった。劇場の外には次に上映予定の作品として『ゴーストワールド』と『瞳をとじて』のポスターが貼られていた。この2本はなにが起きようとも必ず観に行く。

雪が舞う中また20分歩いて駅まで向かい、さらに電車を30分待って家に帰った。車の運転に慣れろ自分。

夜はR-1グランプリを観た。街裏ぴんくの優勝がとにかく嬉しい。面白い人がちゃんと認められる大会でよかった。決勝3組が吉住、ルシファー吉岡、街裏ぴんくだなんて信頼できる大会だ。お笑い賞レースでは空気階段が優勝したときのKOC以来の納得の3組のような気がする。(空気階段、男性ブランコ、ザ・マミィ)吉住の1本目のネタの炎上には首をかしげた。いわゆる一般的なデモとは違いますよという意味を込めて、火炎瓶や警察との衝突というワードを入れているわけで。でも受け取り方次第でしかない。