記録

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T君とラジオ

実家に帰ってきている。帰ってきているというか東京での生活はもうまもなく終わり、これから実家で生活することとなる。開かれた窓の外からは水の張られた田んぼが見え、ゲコゲコと鳴く蛙の声と水路を流れる水の音が聞こえる。雨上がりのひんやりとした空気が部屋に入ってくる。東京よりもだいぶ涼しい。

地元で生活するのは10年ぶりだ。毎日気晴らしに近所を散歩している。相変わらずラジオは聴いていて、いつどこにいたってこの習慣が消えることはない。つい先日の『爆笑問題カーボーイ』を聴きながら高架下をくぐると、ふと中学の同級生のT君を思い出した。T君は違うクラスであったが帰る方向が同じということもあり、いつの間にか一緒に下校することが多かった。彼は決して良い人ではなかった。他人への態度は横暴だし空き家の柱を蹴飛ばしで半壊させるなどよく悪さをしていた。しかし勉強はできたので周囲の人もあまり口出しをできないようだった。そのせいもあり、T君は浮いていて同じクラスに友達がいなかった。だから違うクラスの自分が一緒によく帰っていた。中学3年生の時、T君は先ほどくぐったこの高架下で高齢者が運転する車に轢かれた。轢かれたといっても軽くぶつかった程度で怪我もしていない。しかし、彼はその高齢者に病院代という名目で数万円をもらい、そのお金でiPodを買った。T君は下校中、ひと通りiPodの自慢をした後、podcastの『爆笑問題カーボーイ』が面白いと教えてくれた。ちょうど自分もiPod nanoを親に買ってもらったばかりだったので聴いてみるとそれはもうくだらなくて面白かった。配信されているのはコーナーだけで、特に「人妻枠」というコーナーのしおふきんちゃんは今でも鮮明に覚えている。この出来事がラジオを聴くきっかけになったのだと、高架下をくぐりながら思い出した。『爆笑問題カーボーイ』を聴き始めて15年にもなる。T君とは中学を卒業して以来会っていないので15年顔を合わせていない。もうきっと会うことはないだろうが、元気にしているだろうか。しばらくはこの高架下をくぐる度にこの出来事を思い出す。彼が車に轢かれ、高齢者にお金をせびらなければ自分の人生にラジオはなかったかもしれないのだから。ちなみに今思い出しのだが、一度彼の家に遊びに行ったとき、本棚の後ろには『ToLoveる』が隠されていた。

あの時のiPod nanoは見つからなかったがiPod shuffleは見つけた

 

3月30日

意味もなく朝3時半に起きて自転車に乗る。派手な広告が付いたレンタサイクルだ。降り続いた雨でサドルが濡れていたのでコートの袖で拭う。日の出までまだ時間はあるので外は暗く寒い。数駅隣りまで走る。家へ帰る人か、それともこれから仕事へ向かう人か分からないがポケットに手を入れ身を縮こませた人たち幾人かとすれ違う。大きな道路に出ると何メートルにも渡って工事をしている。濡れたコンクリートに赤や白の電灯が反射していて眩しい。引き立ての真っ白な「止まれ」の文字を何人もの人がしゃがみながら見ている。住宅街に入ると小学校があり、校門前に桜が咲いている。やや散っているが見上げると空一面が桜で美しい。写真を撮る。自転車を降りて近隣の返却スポットにレンタルサイクルを返す。歩いて近くの駅まで向かう。始発までまだ少し時間があったので松屋に入ろうとしたが5時からの営業で閉まっている。仕方なく、始発の4時39分まで駅のベンチに座って待つ。同じように始発を待つ人が何人かいる。なんとなく足を前に伸ばすと靴の裏にびっしりと桜の花びらが付いていることに気がついた。先ほどの小学校の桜だろうか。きっと雨上がりの今日はたくさんの人が靴の裏に桜の花びらを忍ばせながら過ごすのだと思うと自分だけが世界の秘密を知ったような気分になれた。始発が来ると、どの座席にも等間隔で人が座っていて割り込むのが申し訳ないので扉横に立つ。数駅揺られ自宅の最寄りに着く。つい1時間ほど前にいた家に再び戻り、布団に潜る。眠れないのでなんとなくラジオを聴いていると、5時53分にラッキーオールドサンの「街の人」が流れてきて不意に泣きそうになった。

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中欧旅行記チェコプラハ編

WBCチェコ戦を観ていたらふとチェコでの旅行のことを思い出し、下書きに眠っていた2018年の思い出を2023年に更新する。中央旅行記の他の国はこちらから読めます。

miwa0524.hatenablog.com

 

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中欧旅行記の最後の国、チェコプラハでの出来事について書いていく。

チェコへは、ウィーンから個人で手配した相乗りタクシーで向かった。タクシーはホテルまで迎えに来てくれて、そこから別のホテルに泊まっている相乗り相手を拾っていく手順であるようだった。どんな人が乗ってくるのだろうとドキドキしていたのだが、一向に相乗り相手が現れない。運転手はイライラしているようで、何度も電話をかけていた。かれこれ30分ほど車内で待機するも現れず、僕たちだけを乗せてタクシーはチェコへ向かって走り出した。目的地は、チェコにあるチェスキークルムロフという街だ。2時間半ほどの間、ひたすらなにもない道を走る。

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ウィーンからチェコへ向かう道中は、一度だけガソリンスタンドでの休憩があった。

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海外のスタンドというだけで少し気分が高揚した。オーストリアから国境を超え、チェコへ入ると少しだけ家々が現れ始めた。チェコらしいどれも可愛い家ばかりだ。そして、目的地であるチェスキークルムロフへたどり着く。タクシーの運転手とさよならをする。事前に調べた情報によると観光案内所で荷物を預けられるとのことだったので、案内所へ向かう。街の地面が石畳なため、キャリーケースが非常に持ち運びにくい。無事荷物を預け、街の散策を始める。チェスキークルムロフは、街全体が世界遺産なので、どこを切り取っても美しい。

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チェスキークルムロフのメインはお城なのだが、ちょうどお昼時だったので、お城へ行く前にお店に入ることに。チェコでの初食事は、グラーシュというチェコの郷土料理。ビーフシチューのような感じ。蒸したパンが添えられていた。この蒸したやわらかいパンは、プラハに行ってからも何度も食べることになる。

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寒い体にはとても温かく美味しかった。お店もとても良い雰囲気だった。

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隣のこの席に老夫婦が座っていて、お茶をしながら手紙を書いていた。旅先からの手紙、憧れてしまう。お腹を満たし、いざお城へ。

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場内の門をくぐり、坂をぐんぐんと上へ登っていく。すると眼下には、先ほどまでいた街が広がっていた。

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奥の建物がこの街の教会だ。美しい景色にしばしうっとりし、城を下る。川が凍っていた。

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もう少し街を散策していると、現地の人が住んでいる住宅街のエリアに迷い込んだ。何人もの子どもたちとすれ違った。坂を登ると、先ほど登った城を反対側から見える場所にたどり着いた。

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本当にこじんまりとした街だ。少し歩けば端から端まで見て回ることができる。協会へも行ってみた。

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協会のすぐ外のあたりで音楽が聞こえてくるなあと思っていると、近くの建物の中にバイオリンを背負った子どもが吸い込まれていく。その建物を覗くと、子どもたちがたくさんいた。

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何かの授業を受けているようだった。ここは学校なのだろうか。見知らぬ土地で、子どもたちの奏でる音楽に耳をすます幸福な瞬間に浸る。ぐるっと街を見終わり、この日のうちに、チェスキークルムロフからプラハへ移動しなければならないため、街のはずれにあるバス乗り場へ行く。

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プラハ行きのバスも日本から事前に予約していた。めちゃめちゃ安く、3000円もしなかったため不安だったのだが、コンセントあり、映画もありの快適空間だった。

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一つ一つの座席にモニターがあって驚いた。ここから2時間半ほどかけてプラハへたどり着く。駅で下ろされ、まずは切符を買うことに。3日間乗り放題みたいなのがお得らしかったのでそれを買う。

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ちなみに、プラハは物価がめちゃめちゃ安い。地下鉄に乗り、ホテルへ行く。チェックインし、荷物を置いてから街へ繰り出す。もうすっかり夜になっていた。夜ご飯を食べるためお店に入る。

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ここでもまた、お昼と同じようなものを食べた。そして、チェコといえばビールである。ビールは水より安く、200円とかで飲めてしまう。ほとんど苦くなく、お酒がまったく飲めない僕でも美味しいと思えた。しかし、アルコールには弱いので、半分ほど飲んでギブアップ。もう夜が遅かったので、この日はご飯を食べてホテルへ戻った。ちなみに地下鉄はこんな感じ。

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地下鉄ではかなり顕著だったのだが、どことなく無機質でどんよりした雰囲気は過去の共産主義の影響もあるのだろうか。勝手な思い込みかもしれないが。ホテルへ戻る前に近くのスーパーへ寄ると犬が飼い主を恋しそうに店内を見つめていて可愛かった。

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翌日は、朝から街へ出てプラハ城へ行くことにしていた。路面電車の走る街並みひとつひとつにいちいち感動して写真を撮った。

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プラハ城は高台にあるので周りを囲む階段をひたすら登っていく。

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しばらく歩き続けるとパッと景色がひらけ、プラハの街並みを見下ろす場所にたどり着いた。

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街そのものがこうして美しさを保っていることに感動してしばらく眺め続けた。ここからさらに歩き進め、お城の近くまでくると巨大な教会が目の前に現れた。聖ヴィート教会だ。

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とにかく大きい。ゲームのボスと闘う場所みたいだ。しかしこれは教会の側面であり正面へ回るとさらに立派な姿を見せてくれた。

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中へ入ると外からは想像のできない内側からのステンドグラスの美しさにうっとりした。

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こんなの神聖な気持ちにならざるを得ない。教会を出てからはお城を見学した。撮影禁止だったので写真はない。お城の敷地内にはちょっとした街があり、家々が並んでいる。そこの一角にはかつて牢獄だった場所がありこうして不気味な器具が並べられていた。

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拷問器具を見ると明治大学にある拷問器具博物館を思い出す。高校生の頃、クラスでオープンキャンパスに行った際に友達とこっそり抜け出し拷問器具の数々を見に行ったのだ。そんなことを思いながらプラハ城をあとにしていざ眼下に見えていた街へ。プラハの街はそれはもうどこを切り取っても美しかった。

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改めて写真を見ていると本当に素敵な街だったなと思う。適当なお店に入り、昼食をとった。

ここでもやわらかいパンが付け合わせで出てきた。やわやわのパンにソースをひたひたにして食べるのが美味い。カフカミュージアムへも行った。

プラハには本屋がとても多い。とくに街のいたるところに古本屋がある。

特に絵本が有名な国なので、絵本専門の古本屋も多数あり、何軒か周り絵本をたくさん手に入れた。とある小さな古本屋に入ると頑固そうなおじさん店主がいて、この作者の絵本が欲しいんですと恐る恐る話すとあいにくないと言われたが、こっちへこいと奥の事務所に案内され作業部屋みたいな場所を見せてもらえた。

旅先での優しさと貴重な経験にやたら感動してしまった。街をぶらぶらしているとおもちゃ屋が目に入り、ふと入ってみると中が遊園地のようになっていて驚いた。

ゴーレム伝説発祥の地と言われるシナゴークへも行った。裏には梯子があり、この屋根裏にゴーレムが眠っていると言われているらしい。

ちなみにゴーレムと聞いて真っ先に思いつくのはコントゴーレムのことである。プラハの街は歩いてるだけで楽しいのであっという間に夜になりホテルに戻った。ベッドの上で絵本を広げて満足感に浸った。

翌朝、タクシーで空港へ向かいいくつかのトランジットを経て日本へ帰ってきた。

今になって5年も前の旅行を振り返るとコロナ前の世界が懐かしくて仕方がない。またいつか気兼ねなく海外へ行ける日が来ることを祈る。最後にプラハの橋で見かけた撫でられ過ぎて輝く犬を添えて終わりにする。

 

2023年1月23日〜2月5日

1月23日(月)

明日から10年に1度の寒波ということだが今日はそれほど寒くなかった。仕事は『ちいかわ』新刊の発売日なので問い合わせに追われるかと思いきやそれほどではなかった。しかし、2500円もする特装版がばんばん売れていくのでちいかわ恐るべしだ。

1月24日(火)

寒さに身構えて朝起きたがそんなことはなくむしろいつもより暖かいくらいだった。なーんだ、これは台風が来る来るといいながら朝起きたら嘘みたいな晴天のパターンと同じではないかと思った。心地良い気候の中出勤した。仕事で売り場の電気が切れていたので新しくしようと電球をテーブルに置いておくとアルバイトの学生が「電球替えております」と言った。なんで突然丁寧な口調になったんだ、執事か?と思い何度も聞き返すと「電球替えて降ります」という意味だった。夕方になると風がすごい音をたてて吹き、室内にいてもどことなく空気がひんやりし明らかに外の気温が下がっているのが分かった。ついに来たか寒波。仕事が終わり22時過ぎに外に出ると寒すぎて体の生身が出ている部分すべてがもげるかと思った。すれ違う人たちの会話すべてが「さみー」という言葉だけで成り立っていた。自分も誰かと「さみー」と言い合いたいと思った。

1月25日(水)

髪を切りに行った。いつものちょうどいい会話をしてくれる美容師さんは、年始に書き初めをして「自炊」と書き玄関に貼っているらしい。美容室の前になぜか覆面パトカーが止まっていて、美容師さんが「偽物のパトカーだ」とつぶやいていた。スーパーでかき揚げを買い、家で蕎麦を茹でてかき揚げ蕎麦にして食べた。『ガンニバル』最新話の6話が更新されたので観た。とても面白い作品だが、正直3話までがピークで4話以降は展開や見せ方があまり良くなかったので演出が片山慎三監督に戻る最終話でどうなるのか気になる。おそらくサブスク配信の日本のオリジナルドラマで『ガンニバル』はトップクラスのクオリティだ。この質のドラマを作れるのなら阿部和重シンセミア』もそろそろ映像化できるんじゃないかと思う。夜は『水曜日のダウンタウン』の「名探偵津田」がとても面白かった。企画に完全に乗っかるのではなく、あくまでも片足を突っ込むというスタンスが津田さんと見事にマッチしていた。シリーズ化待ったなしだ。

1月26日(木)

仕事。帰宅し手を洗おうと蛇口をひねり水を出しお湯になるのを待っているとまったく温かくなる気配がなくしばらくすると、ピーッと電子音が鳴った。給湯器を操作する電子画面にはエラーと表示されていた。こんな真冬に給湯器が故障した。最悪だ。とりあえず明日不動産屋に電話することにした。

1月27日(金)

朝から不動産屋へ給湯器の件で電話をした。すぐに修理の手配をするとのことで修理屋からの連絡を待ってくれという話になった。昨日からお風呂に入れていないのでとりあえず電車に乗って11時から営業している銭湯へ行った。午前中からゆっくりお湯に浸かれるのは幸福感があった。外からの空気が浴室内に入るたびにお湯のを上を白い湯気が走っていた。しかし、午後から仕事なのでのんびりできるわけではなくほかほかの体で職場へ向かった。休憩中、喫茶店で電話をしている人がいて「人力舎の岡野さんどうですかね?」と岡野さんのキャスティングをしていた。夕方になっても給湯器の修理屋から連絡がないので不動産屋に電話すると「午前中には連絡してるんですけどねーもう一度確認します」と言われ、10分後に修理屋から電話があった。絶対どちらかが連絡を忘れていたので少しむかついた。修理は30日の朝7時半になった。朝早すぎるがこの時間しか空いていないと言われたのでしょうがない。仕事を終え、帰宅。冷たい水で手を洗うのはしんどい。

1月28日(土)

この日も朝から銭湯に行った。土曜日ということもあって混んでいた。サウナ目当ての若者の集団が多数いた。ゆっくりとお湯に浸かれなかったのでシャワーだけを浴びた。仕事へ向かう途中、オフィスビルの前にスーツを着た女性がピザハットの箱を抱えて立っていた。違和感あるなあと横目に通り過ぎると遠くから青いマイクポップコーンの袋を抱えた男性が走ってきてすれ違った。きっとさっきの女性と合流するに違いない。パーティーの気配。

1月29日(日)

芸劇シアターイーストで柴幸男演出『わが町』を観た。

ソーントン・ワイルダーの戯曲もとても好きだし柴さんのこれまでの作品も好きだが今回はなんとも言えなかった。自分の理解力が足らない部分もあるが、やりたいことが分かるようで分からなかった。好きな戯曲は聴きたい台詞があったりするがそこをあえて聞かせないような演出をしていてむずむずした。ちなみに好きなのはエミリーのこの台詞だ。

さよなら、世の中よ、さようなら。グローヴァーズ・コーナーズもさようなら。ママもパパも、さようなら。時計の音も。ママのヒマワリも。それからお料理もコーヒーも。アイロンのかけたてのドレスも。あったかいお風呂も。夜眠って朝起きることも。ああ、この地上の世界って、あんまりすばらしすぎて、だれからも理解してもらえないのね。

アフタートークが大学時代お世話になったゼミの先生で久しぶりに姿を見れて嬉しかった。先生の時間を確認する時の所作で不意に当時を思い出しグッときて懐かしさに泣きそうになった。

観劇後ポポタムに行くと高妍さんのポスターが売っていて思わず買ってしまった。明日館をチラ見した。帰り、高架を走る電車の窓から橙色の夕焼けが見えた。夕焼けを背景にしたビルや家々の影がとても美しくて思わず写真を撮ろうとしたが電車の中でスマホを出す勇気がなくてやめた。小さい子どもが靴を履いたまま膝立ちで窓の外を見ていて、あの電車であの景色を眺めていたのは彼と自分だけだった。帰宅し、部屋にポスターを飾った。

1月30日(月)

朝、給湯器の修理屋屋さんが来た。1時間ほどの交換作業でお湯が出るようになった。しかし、あくまでも代替機らしくまた新しい給湯器を設置するらしい。スマホの代替機や代車などは聞いたことはあるが給湯器の代替もあるんだと思った。ネットフリックスで『舞妓さんちのまかないさん』を一気見した。話ごとに演出する監督が異なるのでその違いを楽しみながらも1話2話の是枝監督の演出の間違いなさを再認識した。まなざしの捉え方にグッときた。主演の2人はもちろんのこと、松岡茉優がとても良かった。橋本愛とのコンビも最高だなあと思っていると劇中劇でゾンビをやり始めて『桐島、部活やめるってよ』じゃんとなった。作品の中で明日館の話が出て昨日見たばかりだったのでタイムリーだった。夜から咳が出始め、乾燥のせいかと思い白湯をひたすら飲んだ。

1月31日(火)

朝から体がだるく、体の節々が痛かった。体を引きずるようにして職場へ行った。頭痛、寒気に襲われ室内でもずっとコートを着ていた。確実に風邪かコロナだ。早退したかったが月末業務があったので帰ることができず、明日休む可能性が高かったので念のため代わりに出勤できる人を見つけ諸々連絡をして22時に退勤。震えながら電車に乗り帰宅し熱を計ると38度。明日病院に行くことにしてとりあえず寝た。

2月1日(水)

朝起きても体調は悪く、熱を計ると39度あった。職場に休みの連絡をいれ、近所の病院に事前に電話をしてから向かった。廊下の椅子で待たされ、そのままそこでコロナとインフルの抗原検査をした。15分ほどで陰性の結果が出た。その後PCR検査をし、解熱剤や咳止め薬などを処方された。結果は明日の朝になるとのこと。このまま外出できなくなる可能性が高いので薬局やスーパーで飲み物や食材を買い込み帰宅した。解熱剤を飲むとだいぶ体が楽になったが食欲がなくひたすら寝ていた。

2月2日(木)-2月5日(日)

熱はしばらくあったが薬でなんとかごまかしていた。とにかく頭がぼんやりした感覚がずっとあった。風邪とはやはり少し違う感じだ。1週間近く休みがあったのは数年振りだったので思う存分休んだ。ひたすりネトフリ、ディズニープラスを観ていた。観れていなかった『ウェンズデー』がとても好きな作品だった。自分ははぐれものたちが主役の学園モノが好きなんだと改めて思った。どのキャラクターもとびっきりキュートで、ウェンズデーはもちろんのことイーニッドとユージーンのようなキャラクターも抱きしめたくなる。全体を通して児童文学のシリーズもののような手触りもあった。あとはどドキュメンタリーの『ガンサーの相続金』も話が二転三転して面白かった。

週末まで咳は続き、頭はぼんやりしたままだった。

 

 

2023年1月16日〜1月22日

1月16日(月)

雨。『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』を聴きながら仕事へ行く準備をした。職場へ行く前に秋葉原に寄り、福島鉄平『放課後ひみつクラブ』を買った。ヨドバシカメラにガチャガチャがたくさんあり、もしかしたらと思い探すと『たぷの里』のガチャガチャがあった。ちょうど今週ぐらいから発売されたばかりだったのでやりたかったのだ。2度回した。いいのが出たような気がする。

終業間際にアルバイトの学生が大きなミスをし、終電近くの電車に乗った。露骨にいらいらした態度をとってしまった。普段、怒ることやいらいらすることがほとんどないため、いざ自分がそういう行為をしてみると、感情をそのまま出す気持ちよさというか楽さみたいなものがあることに気がついた。これは気をつけないといけない。終電間際の電車では隣にひどい酒の匂いをさせた年配の人がいて、さらに狛犬ポジションの人が座席側に過剰にもたれかかり端の席に座る自分の顔にダウンのもこもこが当たり嫌な気持ちになった。電車の降り際にちらっと見るとモンクレールだった。つい先日も誰もいない駅のホームでモンクレールのダウンを着た30代くらいの男性に思いっきり肩をぶつけられてもやもやした。モンクレールのダウンを着た人への偏見が増した。いまだに若林が春日のモンクレール事件を擦り続けているのは正しい。

1月17日(火)

数日前に届いていたてらおかなつみさんのポスターを額装して部屋に飾った。生活に1匹の犬が加わった。見るたびに可愛さに癒される。

洗濯や本の発送作業を済ませ、『カネコアヤノ 日本武道館 単独演奏会 2023』へ行った。

開演すると、スッとカネコアヤノが小さいステージに現れそのまま弾き語りで1時間半歌い続けた。MCも休憩もアンコールも一切なくそのストイックさとかっこよさに痺れた。しかし、力強くギターをかき鳴らし歌い上げたかと思えば時折り声を詰まらせて泣いていたりと感情の起伏が何度も感じられた。この広い武道館で1人の人間の繊細な感情の動きを見れたことになんだか感動してしまった。終盤、「恋しい日々」からの「とがる」そして「やさしい生活」という流れがありとても良かった。ちなみに前から4列目という嘘みたい席だった。

武道館ではオザケン銀杏BOYZ星野源もオードリーもゴッドタンのマジ歌も見たので行く度にその時のことを思い出す。あの時はあの辺りの席だったなとか。なので今度武道館に来た時はほぼ最前でカネコアヤノを見たなと思い出すのだろう。小雨が降っていたが神保町まで歩き、エチオピアでカレーを食べた。チキンカレーにした。相変わらず美味い。

1月18日(水)

先週の『オードリーのANN』を聴きながら出勤。2人のフリートークがいつにも増して良かった。若林さんの車を擦られた話からのドライブレコーダーが記録していた映像の話、春日さんの家族でディズニーに行った際の最も春日らしさが出ているエピソード。

職場のトイレが詰まり水が溢れ出し、床が海になっていた。水を排出させる場所がないのでペーパータオルを床にばら撒きひたすら水を吸わせた。

1月19日(木)

この日は職場の別のトイレで詰まりが発生し水が溢れていた。自分はいつからトイレ清掃業者になったのか。人事から先週受けた社内公募の面接結果の連絡がきた。同じ部署内の別ポジションはどうかという提案だった。また面談をすることになった。

豊田徹也『アンダーカレント』映画化のニュースが出ていた。とても好きな漫画なので不安半分楽しみ半分だ。坂元裕二の『それでも、生きてゆく』『カルテット』あたりが好きな人はたぶん好きな作品だと思う。

1月20日(金)

仕事は休み。しかし、無理矢理休みにしたので自宅でオンライン会議に参加した。つかの間の在宅勤務気分を味わえた。自宅で仕事ができるというだけで気持ちが軽くなる。だってジュースを飲んだってお菓子を食べたっていいのだ。夕方、渋谷WWWでの『ayU tokiO presents new solution 8』へ行った。

ayU tokiOと柴田聡子のツーマンだ。柴田聡子は「夕日」から始まった。とても凄い曲だと思うし好きな曲だ。涙、雑感、後悔、ワンコロメーター、サイレントホーリーマッドネスオールナイトなど大好きな曲もたくさん聴けた。改めて歌の歌詞というより詩に近いよなと思った。ayU tokiOは「九月の雨」で始まった。10人編成なのでとにかく音の重厚感が凄かった。新曲も素晴らしく、ああ今いい音楽聴いてんなあとずっと思っていた。最後のエレキ弾き語りでの「恋する団地」「米農家の娘だから」も素晴らしかった。会場で大阪から来ていたヒコさんに偶然会い、駅まで一緒に歩いた。

1月21日(土)

朝、風が強く吹く音が窓の外から聞こえてきた。大寒波が来ているらしく、とても寒い。昨日のライブの影響で柴田聡子とayU tokyOを流しながら仕事へ行く準備をした。外へ出ると、東京ではあまり感じることのないひんやりとした空気に地元を思い出した。仕事はなんとなくこなした。休憩中にサイゼに行き、ミラノ風ドリアとコーンクリームスープを注文した。「ミラノ風ドリアとコーンクリームソーダですね」と言われたが聞き間違いだと思いしばらく待っていると、「お待たせしましたコーンクリームソーダです」とコーンクリームスープを持ってきた。やっぱりクリームに引っ張られていた。帰宅中に「たばこは心の日曜日」という看板を見つけた。

日曜なんて翌日が仕事で憂鬱なことが多いのでしっくりこない。たばこを吸わないので分からないが、個人的には「たばこは心の金曜夜」にしたほうがしっくりくる。しかし、たばこの有害性を考えれば日曜の憂鬱とも合わなくもない。

1月22日(日)

親が東京に来たので家族で食事をした。つばめグリルでハンバーグを食べた。アルミホイルをつーっとナイフで切り開く時に、手術ってこんな感じなのかなと一瞬思った。

姉が妊娠したとの報告を受けた。年内に自分は叔父になるらしい。子どもができないことを悩んでいると親経由で聞いていたのでおめでたい。責任のない子どもはただ可愛いだけなので楽しみだ。ひとしきり東京観光をして親は地元へ帰って行った。

夜は『ブラッシュアップライフ』3話を観た。1話から引き続きずっと面白い。会話劇も本当に巧みだしタイムリープという設定の中で、自分いた時にはしていなかった会話をしている同僚を見かけるみたいな小さい出来事を描いているところにグッとくる。最後の「前野朋哉で死んだかー」に笑った。

2022年の年末

M-1が終わってからはもう今年は消化試合のような日々だと思っていたが『ゴールデンラヴィット』がとても良い年末の番組だった。笑っていいとも特大号を思い出した。嫌な感じのない歌と笑いの祭典だ。今年の出来事を振り返ろうかと思ったけれど、もう数時間で今年も終わるようでそんな時間の余裕もなく、そもそも大きな環境の変化のない1年だった。仕事では例年の異動はなく、2年続けて同じ場所で働いた。来年はおそらく異動があると予想しているが、社内公募で自分の働きたい場所があり応募しようか悩んでいる。どうせ異動するなら自分の希望くらい出してみようかと思っている。しかし、なかなか上司に切り出せず期限が差し迫っているのではやく決断しないとならない。

今年もあまり映画も本も読めなかったけれど、映像作品で年間ベストだったのは『ベター・コール・ソウル』の最終シーズンだった。

もはや年間ベストではなく、人生ベストに入るような作品だ。最終話は何度も見返している。本のベストはエイドリアン・トミネの『長距離漫画家の孤独』だ。卑屈で自意識過剰で、恥ずかしい失敗を巡る自伝に共感し、トミネの作品だけでなく彼自身のことも好きになった。

いつも通り最近のことを少しだけ書いて今年を終わりにする。来年の抱負とかは特にないのだけれど、少しでも今よりは自分にとって納得のいく選択をして生きていきたい。

12月23日(金)

『検索ちゃん ネタ祭り』を観た。芸人が10分越えの長尺の漫才やコントをテレビで披露する機会はほとんどないのでこうして観れるのは年末の楽しみだ。この番組ならランジャタイの伝説のネタ「T.Nゴン Nの秘密」もできるのではないかとふと思った。後にも先にも生で観たお笑いであんなに笑ったことはない大好きなネタだ。

今月の連載が更新された。

https://grinweb.jp/stories/miwa0006.html

12月24日(土)

仕事へ向かう電車の中でダウンを着た人に挟まれた。この季節によくある出来事なのだけれど、肩をぎゅっと内側に寄せて身を縮こまらせている時、自分グラビアアイドルみたいなポーズしてんなーっと思った。ダウンに挟まれて冬の電車で人知れず胸を寄せる男ありけり。

12月25日(日)

職場のトイレを掃除していたら個室から糞尿まみれのパンツが見つかった。定期的にこういうことがあるが、大体は便器の下に隠されている。我慢できず漏らしたのは許すが、隠すな。自分でゴミ箱に捨てろ。クリスマスに自分はなんで他人のパンツの処理をしているんだと悲しくなったが、この犯人はクリスマスに漏らしたのだと思ったら可笑しかった。自分へのクリスマスプレゼントに『向田邦子ベストエッセイ』を買った。日記と並行してエッセイも書けるようになりたい。

12月26日(月)

てらおかなつみさんの個展が最終日だったので仕事前に見に行った。相変わらずとても可愛いイラストだ。絵はがき本を購入した。

仕事の休憩中に、ずっと食べたかったカキフライをスワチカで食べた。カキフライが本当に好きなので、カキフライはなんでこんなに美味しいのでしょうかと街ゆく人たちに問いかけたくなる。冬が終わるまでに色々なお店のカキフライを食べに行きたい。

12月27日(火)

『エルピス』最終話を観た。ずっと面白いドラマだったがやや中盤以降の展開に都合の良さというか陰謀論のように見えてしまい不安になっていたが、最終話は納得のいく着地になっていた。納得というか落とし所をそこにしないと現実的ではないよなと思った。『オモウマい店』スペシャルが放送されていたのでなんとなく観ていたのだが、予想以上に面白い番組で驚いた。勝手に大盛り料理を出すお店を紹介するような番組だと思っていたが、対象のお店の人にフォーカスし、その人とディレクターのやり取りを見るドキュメンタリーだったとは。今回がスペシャルだったので特別だったのかもしれないが今後も見続けようと思った。そのまま『プロ野球戦力外通告』を観た。まったくプロ野球のことを知らないが、数千万稼いでいた人が無職になる瞬間を見ているんだという下世話な気持ちが生まれた。しかし、30代にして消耗品のように切り捨てられてしまうスポーツ選手のことを考えるとしんどくもなった。次は『ドキュメント72時間』歴代ベストの再放送を観た。ドキュメンタリーからドキュメンタリーのはしごだ。途中で寝る予定だったがやはり面白く結局深夜2時過ぎまで観てしまった。

12月28日(水)

仕事

12月29日(木)

近所に無人の餃子販売所ができたのだが、その店舗の前でじいさん2人が「こんな商売許されるのか!」とキレていた。年の瀬に良いものが見れた。夜は『あらびき団』を観た。

12月30日(金)

もう中学生を見かけた。今年2回目だ。いい年の締めくくりになった。『おグッズ』本当に好きな番組でしたと声をかけようと思ったが勇気が出なかった。仕事を終え帰宅するとちょうど『正解は一年後』が放送されていた。毎年楽しみにしている番組のひとつだ。今年もめちゃくちゃ面白かった。寺田心の反対語の神社畑心臓にゲラゲラ笑った。そして、もう中が出演していた。夕方見かけた時はこの番組に行く途中だったのか。

12月31日(土)

仕事。帰宅して紅白を観ながらこれを書いている。加山雄三に対する少女のような黒柳徹子にグッときた。いつもながら紅白の勝敗の意味のなさに笑ってしまった。世の中で誰も関心のない勝敗ランキング第1位だ。年明け恒例のたなくじ。

 

2022年12月10日〜12月18日

12月10日(土)

朝起きて、明日の日記祭で必要な資材が届くのをそわそわしながら待った。素材がトレーシングペーパーの封筒だ。素材がトレーシングペーパーだというだけでお洒落感を出せるのではないかという安直さが自分にはある。しかしなかなか届かないので昨日買った和山やま『女の園の星』3巻を読んだ。

相変わらず面白い。ちゃんと声を出して笑っている自分にハッとした。午後になっても届かないので明日のための作業をしながら見ようと思っていた『ほら!ここが父ちゃんちの踊り場〜空気階段真空ジェシカ・オズワルド忘年会2022〜』の配信を観た。終始ぬるっとしたイベントだったがそこがラジオのイベントらしくて良い。やはり荷物が届かないので日記本の特典につけるポストカードを印刷しにコンビニへ行った。ネットプリントに5千円ほどつぎ込んだ。せっかく来てくれる人がいるのだからとなにか特別感を出したくなる。コンビニへ行くわずかの間に荷物って届くものだよなと思いながら帰宅すると届いていなかった。なんだか期待はずれだった。もうどうにでもなれとスーパーへ買い物に行き、豚肩ロースのブロックを買った。家に帰るとやはり届いていない。買ってきた豚肉の表面を焼き、醤油、酒、砂糖、しょうが、にんにくを加えた鍋にぶちこみチャーシューを作った。さらにそこにゆで卵も投入し味の濃すぎる煮玉子も完成した。午前指定の荷物はチャーシューが出来上がった17時過ぎに届いた。とりあえずチャーシューを食べた。たったこれだけの調味料で煮込むだけでこんな美味しいものができるなんてちょろ過ぎるぜと思った。『THE W』を観ながら作業を開始した。ただ封筒に本とポストカードを入れていくだけだ。『THE W』はヨネダ2000のことをただただ好きだという気持ちが増した大会だった。ヨネダ2000vsAマッソというどちらかが敗退するにはあまりにも惜しい戦いは、KOC2014のシソンヌvs巨匠を思い出させた。すべての作業を終え、明日は朝早いので早めに布団に入った。

12月11日(日)

朝8時に起きて9時過ぎの電車に乗り下北へ向かった。日記祭は初めて参加するイベントかつBONUS TRACKというお洒落空間のため不安しかなかった。なんとかお洒落感を出すためのトレーシングペーパーの封筒では心許なかったため、数年前に台湾で買ったペンギン柄の可愛い封筒も持参した。会場で受付でもするのかと思っていたが各々のブースで準備を始めていいようだったので設営をした。11時になり開始すると思っていたよりも来てくれる人が多く、文フリよりもハイペースで売れていった。途中でインターネットのブログ仲間の皆さんが集結する時間がありとても嬉しかった。本名も年齢も職業も分からないけれどとてもよく知っている気がした。仙台の萩の月、広島の新平家物語藤井隆からもらったというクッキーをそれぞれお土産にいただいた。滝口悠生さんと植本一子さんにも久しぶりにお会いできて嬉しかった。自分なんかのことを覚えてもらえているだけでありがたい。しかもわざわざブースに来てもらえるなんて。後半は持参した本がなくなってしまい3時間ほどただの人として座っていた。運営の方に撤収しても大丈夫ですよと何度も心配してもらえたが、来てくれた人にごめんなさいを言うために最後まで座っていた。17時になり日記祭は終わった。さすがに12月の屋外に6時間座り続けたのは体に堪えた。家に帰り、すぐに風呂に湯を張り浸かった。風呂の中で、いいイベントだったなあとしみじみ思った。今回は特に、「日記に出てくる劇団の演劇観に行きました」とか「自分も日記を書くきっかけになりました」とか言われることが多く嬉しかった。こうやって自分の好きが誰かに伝わってそれがまた他の誰かに伝わるのかもしれないと思うとこんなに喜ばしいことはない。風呂から上がり、今日一日なにも食べていなかったのでいただいたお菓子たちを食べた。疲れた体に甘いものがじんわりと染みた。

12月12日(月)

仕事。最近は、休憩中にモスバーガーへ行くことが多い。クラムチャウダーとオニポテをよく頼む。持ち帰りではなく店内でモスのハンバーガーを食べる勇気はいまだない。もちろんレジで自分で注文しているのだが、モスは座席まで商品を持ってきてくれるため、注文したという記憶を消し、なんとなく寒い日にお店に行き何も言わず座席に座っていたら勝手に温かいクラムチャウダーと揚げたてのオニポテを目の前に出してくれたんだというていにすると不意に誰かに優しくされたような気がして泣きそうになる。

12月13日(火)

仕事。

12月14日(水)

ひたすら封筒に宛名を書き、本の発送作業をした。いつもはスマートレターで送るのだが今回はサイズが不安だったので普通の茶封筒にした。さすがに腕が疲れしんどくなったので途中で買い物に出た。スーパーで豚バラブロックを買った。数日前のチャーシューに味をしめ、今度は角煮を作ることにした。まったく同じ手順で豚バラを調理した。相変わらず1つの食べ物にハマると短い期間で繰り返し作ってしまう。角煮をコトコトと煮ている間に再び封筒に宛名を書き、本の封入作業が終わった。封筒に甘じょっぱい角煮の香りが染みついてしまっていたら申し訳ないなと思った。郵便局へ行くと年賀状を買い求める人がたくさんいてしばらく窓口に並んだ。郵便代が1万円近くになりギョッとした。一仕事終えた達成感でノンアルコールビールを買って帰り、角煮を食べた。

12月15日(木)

仕事。

12月16日(金)

仕事。

12月17日(土)

数日前に注文して午前着にしていたベッドのマットレスをわくわくして待っていた。8年間使い続けた今までのマットレスはもうペラペラで寝ていると腰が痛かったので思いきって買い替えることにしたのだ。12時頃に荷物が届き、圧縮されていた袋を開けると明らかに大きい。ベッドの倍以上ある。注文するサイズを間違えたかと思い納品書と控えのメールを見ると間違っていない。しかし、マットレスは大きい。問い合わせると向こうの納品ミスだった。交換は1週間先になるとのことでマットレスが部屋の半分を専有した状態でしばらく過ごすことになった。今日は夜勤のため、新しいふかふかのベッドで仮眠を取ってから仕事に行こうと思っていたがその計画は消え去った。仕方なく8年使ってきたマットレスを再び敷いた。もしかしたら捨てられてしまうことを悟り最後の抵抗をしたのかもしれない。夕方まで仮眠を取り家を出た。学大のSUNNYBOY BOOKSへ本の納品をして少しおしゃべりをしてから職場へ向かった。仕事は深夜3時に終わり、始発まで連載の原稿を書いていた。無事に書き終わり、深夜と明け方の間のような時間の駅前を少し歩いた。工事現場での仕事が終わって始発を待っている人や、トラックから荷物を運び飲食店に納品している人など普段自分が寝ている時間に働いている人たちをたくさん見かけた。始発に乗った。誰も乗っていない電車はつい写真を撮ってしまう。

途中下車し、日暮里の「一由そば」で温かい蕎麦を食べた。夜勤明けの朝5時の胃に染みた。ここは24時間営業しているのでオアシスのようだ。店内はこれから仕事へ行く人、自分のように終わった人でひしめき合っていた。蕎麦は250円の安さだ。

12月18日(日)

今朝帰宅し、死んだように眠り目を覚ますとお昼過ぎだった。今日はM-1なので体調を整えたかったがさすがに夜勤明けは頭がぼーっとしていた。そのまま敗者復活戦を観た。令和ロマンのあまりの面白さに頭があっという間に冴えた。終盤のかもめんたるの漫才も痺れてしまった。敗者復活戦の投票は、令和ロマン、かもめんたる、ななまがりにした。ヤーレンズもオズワルドもママタルトもハイツ友の会にも投票したかった。

19時になり、M-1が始まった。まずカベポスターは本当に良い漫才。山田邦子の点数にはギョッとしたが初期M-1を彷彿とさせてしばらくしたら面白くなってきた。2組目の真空ジェシカはもちろん面白いし、大笑いした。けれど一番応援していたので順番が早すぎて悔しかった。3組目は敗者復活からオズワルド。真空ジェシカからのオズワルドの流れにラジオリスナーとしては面白かった。しかし、敗者復活の仕組みはどうにかしないといけないのではないかと常々思う。トップバッター問題も同じだ。あまりにも運の要素が大きすぎる。ロングコートダディさや香男性ブランコという完璧な流れ。準決勝の配信ではさや香のネタで一番笑ったので決勝でもこのネタを見れて嬉しかったし何度見ても完璧で面白い。ヨネダ2000はもうただただ大好きですという気持ちしかない。あなたちが面白いと思うものをこれからも自由に表現し続けてください、ずっと追いかけ続けますからと誓った。ぶっ飛んだことをやろうとしてやっているのではなく、結果的にそう見えるだけであって彼女たちの世界ではまったく不条理ではないのだと思わせてくれるところが好き。最後はタイタンライブだった。キュウは準決勝で披露した「全国弁」をやっていれば3位以内に食い込めた可能性が十分にあったので悔しかった。全国弁のネタが本当に面白かったのだ。結果的にウエストランドが一気に駆け上りそのままの勢いで優勝した。正直、ウエストランドの優勝は予想していなかったのでその分とても嬉しかった。真っ先に、太田さん喜んでるだろうなあと思った。ネットでは一部で炎上していた。ウエストランドのネタは部分的には共感はしながらも極端な偏見を言っている人を笑うという見方のはずなので悪口礼賛だみたいに炎上するのはちょっと違うんじゃないかと思った。しかし、審査員がそういう方向に持っていこうとしていたのは事実なのでそれはだめだよなとは思った。そのままM-1反省会、打ち上げを観た。打ち上げでの千鳥の優しさよ。敗退組を存分に労っていた。そんな中での真空ジェシカ川北さんとヨネダ2000誠さんの唐揚げ爆食いが最高だった。今年のM-1は好きな人たちがたくさん観れた良い大会だった。1年に1回のこの楽しみを見届け、幸せな気持ちで寝た。