記録

記録

2024年3月15日〜3月17日

3月15日(金)

とても晴れていた朝。山がとても綺麗に見えた。ハリボテのようなホログラムのような雰囲気で、美しすぎると偽物みたい見えるんだなといつも思う。

朝7時に出勤し、夜19時に退勤。行き帰りは先週の『三四郎のANN0』を聴いていた。無事、改編期を乗り越え10年目になるらしい。三四郎のラジオが続いていることは今の強者揃いのパーソナリティの中では救いだ。どうか終わらないでほしい。

帰りに市長選の期日前投票に行った。たくさんの人に見られていて緊張した。選挙に行くと必ずモー娘の『ザ☆ピ〜ス!』を聴きたくなる。

選挙の日ってウチじゃなぜか

投票行って外食するんだ


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何度聴いても歌詞全体が多幸感のある良い曲だ。

3月16日(土)

朝起きて原稿を書くもなかなか進まないし思うように書けない。普段日記を書いている時は淡々と書けるがいざ依頼されるとカッコつけたくなってしまう。午後は年末に亡くなった祖父の納骨。お墓に骨壷を納めようとしたがお墓の開け方が誰も分からず、まさか「お墓 開け方」で検索する日が来るとは。墓荒らしの検索履歴だ。夕方は本屋に行き、間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』を購入。読むのが楽しみだ。

 

3月17日(日)

午前中からまつもと市民芸術館でアキ・カウリスマキ『枯れ葉』を観た。

公開されてからずっと観たかった作品だったので地元で観れて歓喜。カウリスマキの新作が観れる日が来るなんて。大学1年生の時、映画サークルの新歓で一緒になった人にカウリスマキを教えてもらった。同じ1年生だったがとても映画に詳しくて、何度か一緒に授業終わりに早稲田松竹に行って、その後ラーメンを食べて帰っていたのをよく覚えている。まったく疎遠になってしまったが彼はまだ映画が好きだろうか。脱線してしまったが、『枯れ葉』はとても良かった。私たちの孤独と不安を切実に描きながら、それでも見出したい愛への希望。オフビートなユーモアと地続きの戦争。大島依提亜さんデザインのパンフレットを購入。劇場の屋上でパンフレットを読んだ。

冒頭にはカウリスマキのこのような言葉が載っていた。

取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味で馬鹿げた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。

劇中に出演し実際のライブシーンを演じていたマウステテュトットも良かった。


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お昼を食べにずっと行ってみたかった山山食堂へ。

とても良い雰囲気の店内と店主の方。店内には本がたくさんあるのだが、通されたカウンター席の目の前に大島弓子選集があり良いお店だと確信した。角煮定食を注文。

角煮はもちろんのこと、野菜がとても優しく繊細で美味しかった。お味噌汁もしっかり出汁から取った味がし、なにより白いご飯の美味しさに感動した。どうやって炊いてるんですかと聞きたかったが自信のコミュニケーション力のなさから聞けなかった。

タリーズに行き、ひたすら口ロロの「いつかどこかで」とSMAPの「たいせつ」と小沢健二のいくつかの曲をエンドレスで聴きながら原稿の続きを書いた。数時間滞在しなんとか書き終わり提出した。これらの曲に影響を受けまくった原稿になった。

夜、市長選の投票率がニュースで報じられていて、40%ほどだったとのこと。あまりにも低くて絶句した。

 

【お知らせ】

6月下旬に日記屋 月日から出版される『誕生日の日記』に寄稿しました。他の執筆者の方を聞いてあまりの豪華さに恐れ慄きました。なんでこの中に自分が…とびくびくしています。三宅唱監督の下に自分の名前が来る世界線が存在したんですね。詳細はこちら。

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2024年3月9日

3月9日(土)

午前中は部屋の掃除をして、お昼前に家を出て隣の市の塩尻市へ行った。目的は東座という映画館でケリー・ライカートの『ファースト・カウ』を観るためだ。東座は今では珍しい昔ながらの映画館だが、都会でしか上映されていないミニシアター系の作品を扱ってくれているのでずっと行ってみたかったのだ。雪が舞う中、塩尻駅から歩いて向かった。地方で暮らしながらいまだに電車と徒歩で生活している。車の運転に不安があり、駐車も広い場所でないとできないのをいつまでごまかしながらこの場所で生きていくのだろう。駅から20分ほど歩いた先に映画館はあった。

左に見切れるポルノ

1階と2階があり、2階はポルノ映画を上映しているようだった。窓口で券を買うと飴を貰えた。

まだ一つ前の回の作品が上映されているようでロビーでしばらく待っているとちらほらと同じ回を観に来た人たちが集まり始めた。60代以降の人がほとんどで若い人はおらず、『ファースト・カウ』を観たいというよりもこの劇場に通っている人のように思えた。通う劇場があるって素晴らしいことだ。前の回の人たちと入れ替わりで中に入り適当な場所に座った。すっかり座席指定の映画館に慣れてしまったので新鮮だった。お客さんは10人もいないので快適だ。しばらくするとスタッフの方が「寒い人いませんかー?毛布ありますよー」と声をかけ始め、なんてアットホームなんだと感動した。『ファースト・カウ』は、冒頭の船が横切るショットから始まり自然を捉えた良いショットがいくつもあった。なにより川が良い。夜な夜な人の家の牛からこっそりミルクを搾り、そのミルクでドーナツを作り売る話というとどこかポップな印象を受けるがそんなことはなく、男社会から弾き出された人たちの切実な友情と連帯の話だった。友情の描き方も大げさではなく淡々とした描写で良かった。劇場の外には次に上映予定の作品として『ゴーストワールド』と『瞳をとじて』のポスターが貼られていた。この2本はなにが起きようとも必ず観に行く。

雪が舞う中また20分歩いて駅まで向かい、さらに電車を30分待って家に帰った。車の運転に慣れろ自分。

夜はR-1グランプリを観た。街裏ぴんくの優勝がとにかく嬉しい。面白い人がちゃんと認められる大会でよかった。決勝3組が吉住、ルシファー吉岡、街裏ぴんくだなんて信頼できる大会だ。お笑い賞レースでは空気階段が優勝したときのKOC以来の納得の3組のような気がする。(空気階段、男性ブランコ、ザ・マミィ)吉住の1本目のネタの炎上には首をかしげた。いわゆる一般的なデモとは違いますよという意味を込めて、火炎瓶や警察との衝突というワードを入れているわけで。でも受け取り方次第でしかない。

2024年3月2日〜3月3日

3月2日(土)

朝7時に出発して家族で東京へ。目的は姪の桃の節句のお祝いだ。道中、綺麗に富士山が見えた。富士山は見るたびに「でっけぇー」と思う。

11時前には東京へ着き、姪としばし戯れた。もう生まれて5ヶ月になるのでぼんやりとした表情ではなく意思のある表情をしていた。明らかに知らない人を見る顔をしてじっとこちらの目を見ていた。明日がお祝いの日なので、自分は日比谷へ移動し、シアタークリエでKERA CROSS『骨と軽蔑』を観た。

ケラさんの新作はどうしても見逃したくないのだ。社会情勢を反映した内容とめくるめく会話劇に3時間まったく飽きることがなく、紛れもない傑作だった。小池栄子の達者っぷりよ。バラエティも俳優もできるなんて万能すぎる。日比谷から歩いて銀座へ向かい、ナイルレストランへ行った。銀座へ来てもどこでご飯を食べていいか分からずいつもここへ来てしまう。席へ着き、ムルギーランチを注文。

目の前で鶏肉をほぐしてもらい、ぐちゃぐちゃと混ぜて食べる。相変わらずスパイスが効いていて美味しい。東京にしては寒い日だったが汗をかいた。お腹を満たし、姪にプレゼントを買うために絵本専門店の教文館ナルニア国へ行った。つい自分が欲しいものを探してしまうがここは我慢して姪のために絵本を吟味した。

すっかり夕方になってしまったので宿泊先のホテルへと移動し、どこか良いご飯屋さんはないかと探すもテンプレートのような小洒落たバルのようなお店しか見つからず悩んでいると、繁華街からはずれた場所に「Farm」というドリアのお店を見つけ、店構えから即入店した。

ネオン最高

ここがかなりの正解のお店だった。牡蠣とキノコのドリア、渡り蟹のトマトクリームドリア、帆立とエビのホワイトソースパスタを食べたのだがめちゃくちゃ美味しかった。

お店の雰囲気もとても良く、すでに人気店ではあるようだがマガジンハウス系の雑誌に取り上げられたら大変なことになるぞと思った。帰りにコンビニでアイスを買いホテルに戻った。旅行先でホテルに戻る道中で買うスイーツの特別さよ。

 

3月3日(日)

姉の家へ行く道中、二子玉の高島屋へ寄りお惣菜やさくら餅などを買った。代々木上原のパン屋「365日」が入っていたのでパンは自宅用に調達した。姉の家へ着き、姉夫婦がお昼の用意をしている間に姪と戯れた。始めは顔が強張っていたが、徐々に慣れてくると笑うようになり少し高く持ち上げるとキャッキャと喜んだ。その様子を後で写真で見せてもらうと、姪も笑っていたが自分も大きな口を開けて笑っていて、「こんなに自分って笑えるんだ…」と思った。ちらし寿司などを振る舞ってもらい、ひと段落した後にSUNNY BOY BOOKSへ行き、しばらくおしゃべりをした。地元に友達はいないし家族以外とはほとんど関わらないため久しぶりに知り合いに会うとおしゃべりが止まらなくなる。友田とんさんの『先人は遅れてくる』を購入し姉の家に戻った。

パリのガイドブックで東京の町を闊歩するシリーズ

姪の寝返りに家族で歓喜するなどし、帰り際に姉がてらおかなつみさんのイラストが描かれたカステラをくれた。姉は僕のことを分かっている。

可愛すぎるしちゃんと美味しい

帰りの高速道路から夕日に染まる富士山が見えて、「エンディングだ…」と思った。途中サービスエリアで美味しくないチャーハンを食べた。サービスエリアのラーメンやチャーハンは美味しくなくてもそれが醍醐味のような気がしてなぜか許せてしまうところがあるからずるい。

2024年3月1日

3月1日(金)

すっかり日記をさぼってしまった。義務ではないのでこれからもマイペースに書いていく。

昨日の夜降り続いていた雨が今朝には雪になりいつの間にか積もっていた。夜更けすぎに雪に変わったようだった。過去形の山下達郎だ。柴田聡子『Your Favorite Things』を聴きながら仕事へ。先日リリースされてからほとんどの時間このアルバムを聴いている。2024年が始まってまだ3ヶ月だが今年ベスト確定だ。アルバム中盤の「side step」から「Your Favorite Things」までの一連があまりにも好きだ。特にその中でも「Reebok」が素晴らしい。

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通勤中、前を歩いている人が雪の上をやけに慎重に歩いているので僕の中のママタルトひわちゃんが「スノーブーツ履いてるなら誰かの足跡の上を歩くんじゃなくて雪を踏み締めて新たな道を開拓してくれよな〜」と言っていた。

19時頃に仕事が終わり、『THE SIGN PODCAST』の『夜明けのすべて』回を聴きながら帰った。

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三宅唱『夜明けのすべて』は公開翌日に観に行ったが本当に素晴らしく、ここ数年で1番好きな映画になった。様々なレイヤーで考え込まれて丁寧に作られている。脚本の素晴らしさはもちろんのこと(生理、プラネタリウム、星、自転車、反対向きのヘルメット、逆さの手帳など円環や周期のモチーフ)、撮影や照明といった映画としての魅力(自転車に乗る松村北斗への光!ベランダに立つ上白石萌音への光!事務所の明かり!)にすっかり感動してしまった。撮影に関しては月永雄太氏のコダックのインタビューが詳細に語られていて良かった。

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きっと誰が観てもこの映画に心震わされると思うが、なにより自身もしくは身近にメンタルが不安定な人がいたことがある人はより大きく心が動いたと思う。三宅唱監督作では『ケイコ 目を澄ませて』も『きみの鳥はうたえる』も大好きだし素晴らしいが、俳優陣含めより大衆に開けているという意味でもこの作品はやはり特別だ。あの素晴らしいエンドロールでボールがこちらに転がってくるのは演出なのだろうか。

この構図の素晴らしさよ!

夜は『不適切にもほどがある!』6話を観た。これまではどこか惰性で観ていたが先週の5話から物語の全容が見えてグッと面白くなった。全体として粗い部分はたしかにあるが、フィクションの登場人物の発言をそのまま作者の意見として受け取るSNSの人たちにはぐったりしてしまう。

明日東京へ出かけるため準備をして早めに寝た。

2024年1月1日〜1月7日

1月1日(月)

朝起きてからだらだらと『爆笑ヒットパレード』を観ていた。喪中なので初詣にも行かず特にやることもないのでまさに寝正月のごとく寝たり起きたりを繰り返していた。16時10分頃、スマホの緊急地震速報アラームがけたたましく鳴り、家が揺れた。ちょうどキッチンから珈琲を持ってリビングに移動している最中だったため、こぼさないようにそろりそろりとテーブルに置いて久しぶりの大きく長い地震に耐えた。すぐにテレビを見ると石川県で震度7の地震とのことだった。自分の住んでいる地域は震度4だった。しばらくすると大津波警報がテレビで叫ばれ、これは相当大きな震災になるなと思った。それからテレビは地震のニュース一色になった。

1日2日(火)

朝9時に自転車を走らせてイオンモールへ行った。トム・ブラウン新春お笑いライブの整理券を手に入れるためだ。配布30分前に着くともう100人ほど並んでいた。後ろに並んでいた高校生らしき子たちが昨日の地震の話をしていて、「昔にも東北で地震あったらしいよね1月とか2月に」と言っていて東日本大震災の記憶が今の高校生にとっては物心がつくかつかないかの頃の出来事であることを実感した。20代以降の人たちにとっては2011年3月11日という日付はどうしたって忘れないだろうが、阪神淡路大震災がいつ起きたかと聞かれたら自分は答えられないなと思った。無事整理券を貰い、一旦家に戻るとEテレで山田尚子監督の『リズと青い鳥』の放送が始まりつい最後まで観てしまった。やはり冒頭の登校のシークエンスがあまりに素晴らしく美しい。今年は山田尚子監督の新作が公開される予定なので楽しみだ。YouTubeに演出集があり思わず観た。


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午後、再びイオンモールへ。今朝、自転車は寒かったので今度は歩いて向かった。無事イス席に座りトム・ブラウンが出てくるのを待った。いわゆる営業というものを観に行くのが初めてだったので老若男女に囲まれながらお笑いを見るのが新鮮だった。トム・ブラウンが登場すると「みちおちゃーん」と色んなところから声が上がった。笑顔で手を振り続ける2人が可愛かった。敗者復活戦でのあの漫才を生で見ることができたので嬉しかったし見れば見るほど意味がわからないが大好きなネタだ。最後の色紙をかけたジャンケンには負けてしまったので悔しい。

お正月からトム・ブラウンを見れるなんて良い年明けになったなと思いながら本屋へ行った。姪が明後日来るためお年玉代わりに絵本を選んだ。センスがいいと思われたいのでディック・ブルーナのミッフィーではない絵本を購入。人になにかをプレゼントするなんてもう何年もしていないのでラッピングの包装紙を選ぶ時の相手を想像する時間に人としての気持ちを取り戻した気になった。

夜、JALの飛行機が着陸時に海保の飛行機と接触し燃えている映像がテレビで流れ、映画を見ているようだった。『ダイハード2』みたいだと思っていると父親がダイハードみたいだなとつぶやいていた。

年末に追悼番組として放送されていた山田太一『今朝の秋』を観た。それぞれの登場人物が嘘や矛盾を抱えながらも、それでも終盤の全員で歌うシーンで立ち上がる本当に感動した。まずもって「今朝の秋」というタイトルが良い。笠智衆に杉村春子と小津を感じさせる作品だった。

1月3日(水)

ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』を観た。批判されている部分はもちろん分かるしもやもやするところも確かにある(トイレ綺麗すぎ問題や企業のプロパガンダなど)。しかし、自分が過剰に汲み取りすぎているのかもしれないが、あらゆる選択肢の中から清貧さを選んでいるのではなく、あの生き方でしかこの世界で息をできない人を描いていると思った。役所広司演じる平山は不意に来る孤独や寂しさにずっと耐えているのだと思う。だから音楽や本を読んだり、木漏れ日やささやかなコミュニケーションに大きな喜びを感じているのだ。ラストシーンの泣き笑いの長回しが全てだった。たしかにそう考えると、この世界で息をできる持っている側がこの映画の資本を支えていると思うと複雑ではある。それでも好きな作品ではあるし、どこか自分を見ているようでもあった。

久しぶりに『芸人シンパイニュース』が放送された。この番組は芸人への愛がひしひしと感じられるから好きだ。

1月4日(木)

年末年始の観れていなかった番組を消化するために『令和ロマンの娯楽がたり』『日本怪奇ルポルタージュ』『マジ歌選手権』を一気に観て疲れた。

午後には姉夫婦が帰省してきたので早速姪に絵本をプレゼントした。まだ3ヶ月なのでなにも分かっていないが、事あるごとに何かを買ってあげる叔父さんムーブを今後もしていこうと思った。

1月5日(金)

憂鬱な気持ちで仕事へ。休み明けは本当に働きたくない。『令和ロマンのANN』を聴いた。冒頭からこれでもかと固有名詞が飛び出し、固有名詞の海に溺れそうになったが令和ロマンとはほぼ同世代のためなんとかついていくことができた。

松本人志が自身の性加害事件についてあまりにも悪手なつぶやきをしていて最悪だった。権力者を前にした本音と建前が分からないのか。やはりこのまま引退もあり得る。

1月6日(土)

土曜だがなぜか仕事。しかも3時間も残業をしてへろへろになって帰宅。即就寝。

1月7日(日)

朝食に七草粥を食べた。午後は柴田聡子×ハダタカヒトのトーク&ライブを観るために車で辰野町まで行った。場所は旧安藤精麦という元々建材置き場だった建物で趣きがあった。

トーク30分の後に柴田聡子のライブが1時間半ほど行われた。神保町ひとりぼっちにはよく行っていたためこの距離で柴田聡子の歌を聴くのは慣れてはいるが、地元の長野県で聴けるのは本当に嬉しい。天才っぷりを存分に浴びた。小規模なイベントということもあり豚汁や温かいお茶なども振る舞われてアットホームな空間でとても良かった。仕事をしている時は常に誰かに心臓を掴まれているかのようなしんどさがあるが、文化的なものを体感している時は全てから解放される。

夜からちらちらと雪が降り始め、いつの間にか外が真っ白になるほど積もっていた。深夜、カーテン越しの窓の外がぼんやりと白く、雪が積もった日は夜でも外が明るいのを思い出した。

2023年12月25日〜12月31日

12月25日(月)

昨日のM-1の熱が冷めやらぬまま仕事へ。電車に乗っている人も職場にいる人もみんなM-1を観ているに違いないと思ってしまうが、そんな話をしている人はいない。

家で新聞に挟み込まれているチラシを見ていると、地元のイオンモールにトム・ブラウンが来るとの情報が載っていた。昨日の敗者復活戦を見て以来、トム・ブラウンとスタミナパンのネタを繰り返し見ていたので俄然行くしかないと気持ちが高ぶった。朝10時から整理券配布らしく、この地域でのトム・ブラウン熱が分からないがとりあえずお正月は朝からイオンモールへ走るしかないと決めた。

12月26日(火)

仕事を終えて職場を出ると夕焼けがとても綺麗だった。それほど寒くもなく、このまましばらく歩きたい気分だったが一駅隣りまで歩いたとして平気で30分は超えるので諦めた。隣駅まで30分以内で歩けて電車は10分も待たずに来る東京は改めて凄い。帰り道、紅茶姫という見たことない紅茶を自販機で見かけた。

売切れなんかい

おそらく紅茶花伝から引っ張られたネーミングだが、漫画の『紅茶王子』の可能性も無くはないのかと思った。ロロのいつ高シリーズ『校舎、ナイトクルージング』で『紅茶王子』の名前が出てきた時は自分以外も読んでいた人がいたのかと興奮したのを思い出す。EMC「100%未来」でもその時のセリフが使われていて嬉しかった。

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12月27日(水)

昨日の『爆笑問題カーボーイ』を聴きながら出勤。冒頭から松本人志の文春について触れていて、おそらくここをいじれるのはもう太田さんしかいないなと思った。記事の内容が事実なら本当に酷いがダウンタウンのここ数年の動きを見ていると、引退しそうな雰囲気がずっとあったのでこれきっかけで芸能界を辞めるのではないかとさえ思えてくる。そう思うと先週の『水曜日のダウンタウン』のドッキリはとても怖かった。いわゆる枕営業を提案されるのではないかという怯えの表情が生々しかった。

今日配信された星野源の新曲「光の跡」がとても良かった。


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12月28日(木)

仕事納め。15時で仕事が終わったので晴れ晴れとした気持ちで本屋に行った。和山やま『ファミレス行こ。』と薄場圭『スーパースターを唄って。』2巻を買い帰宅。『相席食堂』『テレビ千鳥』『チャンスの時間』を観て千鳥まみれの時間を過ごした。『テレビ千鳥』の「玉デニム」と「カニ玉」にめちゃくちゃ笑い、自分はいつまでこんな下ネタで笑い続けるのだろうかと思った。

ランジャタイMCの『ブチギレ-1グランプリ』が面白かった。本当に大声を出している人を見たら怖くて仕方がないが、フィクションであると分かった上で見る、同時に色々な人が大声を出している状況はどうしてこんなにも面白いのか。

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12月29日(金)

あまりにも晴れていて、お正月が一足先に来たような日だった。仕事がある日の朝は憂鬱だが、同じ朝でも休みの日はなんでもできるような気分で目が覚める。午前中から『トーク・トゥ・ミー』を観に行った。


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降霊が明確にドラッグの比喩として扱われていて、ティーンたちがアルコールもドラッグもなしにハイになるのだ。呪いによって徐々に生と死の世界が曖昧になっていく演出も上手かった。映画を観終わり、そのまま歩いて本・中川へ行った。

本・中川

お店の場所が変わってからは初めて訪れた。良い雰囲気と品揃えで店主の方も優しい。nakabanさんの展示も開催されていた。年末年始のお供に『さがるまーた』、『生活フォーエバー』、台湾特集の『ランバーロール』を購入した。

13時も過ぎ、お腹が空いたのでキッチン南海でカツカレーを食べた。映画を観て、本屋へ行き、キッチン南海でカツカレーを食べるなんて理想的な休日にもほどがある。年の瀬の街の中をうろうろと散歩し帰宅した。

長すぎるセブンを見かけた

鬼越トマホークのYouTubeで永野ゲスト回がとんでもなく面白かった。永野の悪口の精度の高さとエンタメとのバランスがあまりにも良すぎる。1時間があっという間だった。


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12月30日(土)

年末のみ一般に解放されるとのことで、朝8時に市の公設市場へ行き、蟹やブリを買った。そのまま祖母のいる老人ホームへ行った。会いに行くたびに、「大きくなったねえ」と言われる。もう祖母は95歳で、先日亡くなった祖父と夫婦であった。その場での会話は成立するが、数分後には同じことを聞いてきて昔のことしか覚えていることができないのだが不思議と祖父が亡くなったことは記憶しているのだ。亡くなったのがいつなのかは覚えていないが、亡くなったという事実は記憶している。また来るねとさよならをした。次に会った時はまた「大きくなったねえ」と言われるのだろう。

夜はかつ玄でカキフライを食べた。

最高

かつ玄のカキフライは牡蠣が数個くっつけられて揚げられているので大きく満足感がある。もちろん美味しい。一年に一度の楽しみ『正解は一年後』を観た。こんなくだらないことをしている有吉とバカリズムが明日紅白の司会と審査員をしているとは思えない。

ツイッターで、オードリーから気持ちが離れていっているというブログが話題になっていた。どこか分かるような気もするし、実際この半年くらいはラジオを聴かなくなってしまった。でもこれはオードリーが悪いとかそういう話ではなくて、誰でも好きなものとの距離は近くなったり遠くなったりする。たまたま自分の中の人生のそういう時に一方的に伴走者としていただけなのだ。自分の中ではかつてのバナナマンや星野源もそうで、ゆっくりと距離が離れていってもかつて好きであったという気持ちは残り続けていると思いたい。

12月31日(日)

朝から雨。ここ数日の晴天も大晦日までは持たなかった。どこへも出かけず部屋の掃除をしていた。数日前から鼠蹊部が痛く歩くのがしんどい。これは病院に行くべきなのか悩む。しかし、部位が部位だけに診察時の恥ずかしさもある。数年前に前立腺炎になった時はおじいちゃんの医者にお尻の穴に指を入れられたわけでそれを超える恥ずかしさはもう無いはずだと信じたい。

夜は紅白を観た。冒頭からバカリズムが昨日の『正解は一年後』でやると言っていたポーズをしていて笑った。そして、不意に出てきたアルピーと平子さんの居合い斬りに笑いながら変な感動をしてしまった。浜辺美波と橋本環奈の歌、寺尾聰、けん玉失敗からのエレカシ、NewJeans、緊張して歌う有吉、そして実質大トリYOASOBI「アイドル」のアイドル大集結があまりにもハイコンテクストで痺れてしまった。こういうものを紅白に期待したい。

年明けすぐのEテレで柴田聡子が辰年の歌を歌っていた。新年最初に聴いた曲が柴田聡子なのは嬉しい。たなくじをした。

太田さんが出た。嬉しい。

今年は、10年近く住んだ東京を離れて地元に戻ってきた。東京への想いはまだまだ自分の中にはあって、地元で生きていくというこの現実をどうにか肯定するために今の生活に向き合おうとしている。来年は30歳になる。だからなんだという話なんだけれど不安はあって、でも自分の人生は自分のものでしかないのでどうにかこうにか生きていくんだと言い聞かせている。

2023年12月18日〜12月24日

12月18日(月)

朝4時50分起床。相変わらず外は暗いし寒すぎるが15時半には帰れるしと思いながら仕事へ。しかし、仕事でトラブルが起きまくり帰宅したのは夜21時。お風呂に入り寝て1日が終わった。

12月19日(火)

労働。帰宅してからもなにもする気力が起きなかったが先週の日記を書けていなかったのでなんとか力を振り絞り書いた。誰かに強制されているわけではないし、義務でもないがなんとなく書かないともやもやする。基本的に日記を書く時は、生活の中での出来事の断片やその時の気持ちをメモしておいて後から見返してその周辺の記憶を思い出し肉付けするという作業で書いている。まったく書くことないやと思うときもあるが意外にひとつの出来事から連なるようにして別のことを思い出すこともあり書き始めないと分からないなといつも思う。

12月20日(水)

労働。アルピーDCGを聴きながら仕事へ。ナカゴーからメールが来ていて、えっもしかして中止になった新作を上演するのか!と思ったが過去の公演の再配信のお知らせだった。それでもナカゴーの作品が観れるのは本当に嬉しい。

アキ・カウリスマキの新作『枯れ葉』の評判を色んなところで見かけて早く観たいが地元では公開されない。『ゴーストワールド』だって上映されていないのだ。こういう時に、東京…と思う。もし僕にお金があれば地方で孤独に映画に飢えている人たちに観るきっかけを作っていただろう。来年はビクトル・エリセの新作も公開されるがどうか地元で上映されることを願う。大学生のとき、新文芸坐で観た『ミツバチのささやき』と『エル・スール』のことをどうしたって忘れることができないのだ。

12月21日(木)

朝、とても寒く雪が舞っていた。『空気階段の踊り場』を聴きながら出勤。オズワルド畠中の熱愛に怒り狂うもぐらが最高。ニュースを見たとき特に何も思わなかったが、ラッキーオールドサン「すずらん通り」を流したあの回の彼女と同一人物ということだったのか。


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職場のおじさんに「雪降ってますね!」と言ったら「舞ってるだよ」と諭されて、雪国マウントをとられた。

帰り道、サンタクロースの格好をしてバイクに乗るピザーラの配達員を見かけた。自主的にサンタのコスプレをすることはないけれど、仕事で仕方なくこんな格好していますという自意識の持ち方だったら普段することのない格好をできることに恥ずかしさよりも嬉しさのほうが勝つかもしれない。

12月22日(金)

冬至。明日から日が少しずつでも長くなると思うと嬉しくなる。

仕事を終えて家に帰ってくるとなぜか急に濱口竜介『寝ても覚めても』のラストシーンを観たくなり、U-NEXTで観た。お互いの視線が交わることなく、ただスクリーンのこちら側を見つめる2人のショットは何度観ても震える。音楽がかかるタイミングも完璧でtofubeatsの「リバー」も良い。続けて『東京物語』の好きなシーンを見返した。笠智衆によるあの名場面だ。

ああ綺麗な夜明けじゃった、今日も暑うなるぞ

本当に美しくて寂しい台詞だ。

夜は『爆笑問題の検索ちゃんネタ祭り』を観た。爆笑問題の漫才がとても良かった。

12月23日(土)

なにも予定はないが天気が良いので午前中から散歩に出た。街中をふらふらし、本屋に寄ったりお城まで歩いたりして帰りは少し遠回りして家に帰ってきた。今回の散歩のハイライトは、路地の奥の怪しげな神社とまん丸な造りのある可愛い橋だ。

奥に進む勇気はなかった

まん丸で可愛いね

散歩中はずっとラッキーオールドサンを聴いていた。ラッキーオールドサンのことはきっとずっと好きだと思う。

夜は、クリスマスも近いので名盤ヴィンス・ガラルディ『チャーリー・ブラウン クリスマス』を聴いた。

音楽を聴きながらケストナー『飛ぶ教室』、ウェストール『クリスマスの猫』の猫を読んだ。

どちらも大好きな物語だ。『飛ぶ教室』は何度読んでも涙ぐんでしまう。まえがきは何度だって引用したい。

人生、なにを悲しむかではなく、どれくらい深く悲しむかが重要なのだ。誓ってもいいが、子どもの涙はおとなの涙よりちいさいなんてことはない。おとなの涙よりも重いことだって、いくらでもある。

不運はしっかり目をひらいて見つめることを学んでほしい。うまくいかないことがあっても、おたおたしないでほしい。しくじっても、しゅんとならないでほしい。へこたれないでくれ!くじけない心をもってくれ!

ボクシングで言えば、ガードをかたくしなければならない。そして、パンチはもちこたえるものだってことを学ばなければならない。さもないと、人生がくらわす最初の一撃で、グロッキーになってしまう。人生ときたら、まったくいやになるほどでっかいグローブをはめているからね!

12月24日(日)

午前中は祖父の家に行き、お参りをした。セブンでずっと気になっていたが手を出せずにいたデカ豚ラーメンワシワシMAXをついに食べた。祭壇にあげられていたお供えの白飯と一緒に。まさか祖父も自分にお供えされたご飯が二郎系ラーメンと共に食されるとは思いもしていないだろう。

午後は15時からM-1敗者復活戦を観た。1年に1度の待ちに待った楽しみな日。今年から決勝までぶっ続けの放送になり、さらに審査方法も変わった。Aブロックはママタルトがロングコートダディをまくった時は熱かった。Bブロックがとにかくめちゃくちゃなネタばかりでトム・ブラウンにゲラゲラと笑った。死体でリズムをとるなんてどうやったら思いつくのだろう。もうこれはトム・ブラウンが優勝だと思ったらエバースの正当な漫才にあっさりと負けて、それも含めてよかった。


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Cブロックはシシガシラのネタが本当に良くできたネタで笑いながら感心してしまった。ななまがりも大好きで、「黒部ダムに粉ポカリ1袋を入れて世界一薄いポカリを富山県に飲ませる活動をしている人」に声を出して笑った。まったく触れる必要はないが改めてフースーヤがめちゃくちゃ苦手なことだけを再確認した。敗者復活は納得のシシガシラ。審査方法が変わらなければ絶対に選ばれていなかったので本当にルールが変わってよかった。もう敗者復活戦だけでお腹いっぱいになり、決勝は明日に持ち越しでいいよと思ったが続けて決勝が始まった。

願望のみの順位予想

トップバッターの令和ロマンがあまりにも面白く、けどトップバッターだからなあと思っているとあれよあれよという間に優勝した。スター性と才能に溢れていて完璧すぎる。それにしてもずっと面白かったのにくすぶり続けてきたヤーレンズがちゃんと世間に知られたのが本当に嬉しい。ランジャタイ、モグライダー、錦鯉などあの頃ライブで輝いていた人たちがちゃんと日の目を見ている。一方で真空ジェシカは圧倒的に面白いのに審査員の点数がいまいち伸びないのが毎度のことながら悔しい。僕は今回の決勝の中で真空ジェシカが1番面白かったと信じてやまない。だってネタの冒頭から最高過ぎやしないか。

休みの日はB画館ばっかり行ってて

映画館じゃなくて?

映画館はちょっと高くて、かといってC画館までいくと客層が悪くて内容が入ってこない

ちょっと待って、A画館、B画館、C画館ってこと?

そこから?

映画館しか知らないから

やばいお前Z画館から勉強してこい

1番下ってこと?

下って言うとまたあれなんだけど

配慮がいるかどうかもわからないから

本当にこのやり取りには痺れちゃうね。さや香の2本目は誰が見ても消費レース向きではないことは明らかだが、発想は大好きだしやりたいネタをあの場所でやるのがかっこいい。M-1終わりは毎年恒例の千鳥による打ち上げを観た。これが本当に好きで、M-1の苦しさを知っている千鳥がとにかく優しいのだ。それぞれのコンビのやりたいことや意図の分析も的確で、審査員に否定されたところも肯定しようとしていて良い。


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毎回お笑い賞レースのたびに興奮してテレビにかじりついている。ただのバラエティ番組の一つじゃないかと思う人もいるかもしれないが、そんなただのバラエティ番組を観る時間が誰かにとっては生きていく中でかけがえのないものだったりするのだ。それは、毎日聴くラジオも毎週観るテレビ番組も同じで、それが僕にとっては生活の中の祈りなのだ。