記録

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2023年12月11日〜12月17日

12月11日(月)

相変わらず月曜は朝4時50分起床。その分仕事は15時半には終わるので明るいうちに家に帰ることができる。

ポール・キング『パディントン2』を久しぶりに観た。やはり傑作だ。優しさと誠実さの連なりで世界が良くなるという物語なのが素晴らしい。いま公開中の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』と同監督なので観に行くか悩む。クマが働いているお話からフィービ・ウォージントン『パンやのくまさん』や『ゆうびんやのくまさん』を思い出し久しぶりに本棚から引っ張り出してきて読んだ。『パンやのくまさん』の冒頭は、こう始まる。

くまさんは、あさ、とてもはやくおきて、

おおきな かまどに ひをいれます。

かまどがじゅうぶんあつくなるのを

まちながら、くまさんは、

あさいちばんのおちゃを のみます

「かまどが熱くなるのを待ちながら朝一番のお茶を飲む」誰しも1日の中でこんな時間はきっとあって、大したことはないかもしれないけれど大切な瞬間だったりする。

『ゆうびんやのくまさん』はこう始まる。

くまさんは、にちようびのほかは、

まいあさ、とてもはやく、おきます。

ふゆには、そとは、まだ、

くらいこともあります。

くまさんは1日働き、こう物語は終わる。

うちへ かえると、くまさんは、

とても つかれていたので、

あたたかい おふろに はいりました

このシリーズは可愛いくまが主人公だが特になにも起きず、朝起きて働き眠るという生活の営みの中でたしかに存在するささやかな瞬間を淡々と描いていて大好きな絵本だ。ちなみに『ゆうびんやのくまさん』はクリスマスの日の話なのでこの季節にぴったり。

 

12月12日(火)

深夜、バタバタと家の中を駆け回る音がして目が覚めた。外からはザーザーと雨の音が聞こえた。入院していた祖父の体調が良くないと病院から連絡があったようで父と母が家を出ていった。午前4時に祖父が亡くなった。老衰とのことだった。とりあえず今日は仕事へ行っても大丈夫とのことでいつも通り朝から仕事へ行った。

夜、両親が帰ってきた。まだ葬儀の日程は決まっていないとのことで明日もとりあえず仕事へ行くことになった。昨夜から両親は寝ていないためぐったりしていた。

12月13日(水)

昨日の『爆笑問題カーボーイ』を聴きながら出勤。いつものことだが2人でホテルのルームサービスを頼む話が好きだ。今週は生放送でミキがゲスト。たけしに「うるせえだけで面白くなかった」と言われたエピソードが面白すぎる。爆笑問題は鬼越しかり噛みついてくる後輩との相性が本当に良い。

仕事中、通夜が明日になるとの連絡が来たので職場へ伝え、2日間休みをもらうことにした。仕事を終え家に帰り、久しぶりに喪服を引っ張り出してきて着てみるとパツパツだった。最後に着たのは10年近く前になるので当たり前のように体型も変わる。

寝る前に真空ジェシカ川北さんのマリオRPG実況を見た。これが最近の楽しみ。M-1決勝の出演と審査員を両方やるので当日は高速で移動して画面上で点滅している状態になると話していて笑った。

12月14日(木)

平日の明るい朝を久しぶりに見た。土日以外は朝日が昇らないまだ暗いうちに家を出るので新鮮だった。通夜は夕方からなので特にやることもなくそわそわしながら家で過ごした。両親は午前中には諸々の準備のため家を出て行った。お昼過ぎに姉夫婦が東京から帰ってきた。久しぶりの姪との再会。まもなく生後3ヶ月になり、生まれてから約1ヶ月一緒に過ごしたので我が子のような心持ちになっている。表情が豊かになり、声を出して笑うようになっていて驚いた。ただただ可愛い。夜、通夜に参列した。お坊さんが、用意されていた木魚をポンとひと叩きし首をかしげ、「私のを使います」とカバンからマイ木魚を出したのにミュージシャンかよと思い、笑いそうになってしまった。布団に眠る祖父を持ち上げ、棺に入れる時のあの重さは、母方の祖父母の時も経験したが忘れることができない。

この日は線香を絶やさないためにセレモニーホールに泊まった。亡くなった祖父が眠る横で、通夜で余ったお弁当をバクバクと2人前平らげた。

深夜、葬儀場の外にて

12月15日(金)

葬儀場で朝を迎えた。朝9時半に出棺し、霊柩車へ棺を運んだ。霊柩車の扉が閉まる音の静かさにしんみりした。火葬場へ着き、いざ火葬される前になると、この瞬間が一番悲しいことを思い出した。火葬場の機械的で妙につるっとした雰囲気がそうさせるのだろうか。1時間半、知らない親戚に囲まれながら火葬が終わるのを待つ。火葬が終わり、遺骨と対面する。この時に、ああ死んだのだなと実感する。骨上げをした。骨上げの時にはサビが2つあると思っていて、骨壷に納める時に火葬場の人がパキパキと上から骨を潰す時間と、喉仏を説明する時間だ。どちらも、来るぞ来るぞと思っていたらやはりその時間が来た。泣いている人もいる中でなんで自分はこんなことを考えてしまうのだろうかその不謹慎さに嫌になった。昨日の通夜の時も泣いている人が多くいたが泣けなかった。こういう時に自分はまともな感情を持ち合わせていないんだと思ってしまう。

火葬場から葬儀場へ戻り、葬式になった。受付をした。「この度はご愁傷様でした」と言われて香典を受け取る。その際の返答の正解が分からず、ごにょごにょ言いながら頭を下げるしかなかった。祖父は教員だったため教え子が多く訪れていた。また、絵を描いていて美術館の館長をやったりもしていたので美術会の人も多く来た。葬式は淡々と終わった。

12月16日(土)

昨日の葬儀の片付けをした。ひたすら香典の封を開けてお金を数えた。記帳された額と実際の額が合った時は気持ちよかった。ばたばたと毎日が過ぎていき、つい数日前に祖父が亡くなりもう骨になっているとは信じられない。

ツイッターに2年前に訪れた真鶴での旅行記を投稿した。この時の文章が自分の中のピークのような気がしていて、またこんな文章を書いていつか本にしたい。

昨年ネットプリントや文フリで配布した真鶴旅行記です。自分でも好きな文章。 pic.twitter.com/mTX2eEohm4

— ミワ (@Not_sanrinsya2) 2023年12月15日

 

『ジブリと宮崎駿の2399日』を観た。宮崎駿の高畑勲への想いに圧倒された。編集がやや恣意的ではあるものの、ドキュメンタリーも作品なのでそこはそう受け取るしかない。『君たちはどう生きるか』の正解のようなものを出していたが、大叔父には高畑勲も宮崎駿もいるし、キリコは保田道世でもあるし高畑勲なのだと思う。なんというか混ざり合っているのだ。

12月17日(日)

朝9時起床。午前中から『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観に行った。家父長制への批判と戦中戦後の弱者の搾取を現代へも続くものとして鬼太郎の物語に上手く組み込み描いていて素晴らしかった。中盤のアクションシーンの作画も見応えがあった。個人的には鬼太郎の映画といえば、南方妖怪チンポなので少し登場を期待してしまったがそんな余地はなかった。

ストレートだ

帰り道、自転車に乗っていると喪服の人たちとすれ違った。宮崎駿のドキュメンタリーでも高畑勲の葬儀で喪服を見て、鬼太郎の映画でも葬式から話は始まった。祖父の葬式を数日前に経験したせいかやけに喪服ばかりが目に止まる。

姉夫婦と姪が東京へ帰って行った。またお正月に帰ってくるらしい。今年は姪が生まれて祖父が亡くなった年になった。人は死ぬし人は生まれる。