記録

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5月と6月頭のこと

6月に入ってからの不安定な気候のせいか普段からほとんど持ち合わせていないやる気がさらに削がれ低い気分のまま日々過ごしている。毎日ねむい。まもなく梅雨に入るようだがもう明けてほしい。今年の梅雨は傘を職場に忘れて引き返すという往復を何度するのだろうか。傘を忘れて家や職場に引き返す人たちの1日分の歩数を集めたら100人分くらいのうどんが作れる気がする。5月のことを振り返っていく。
5月7日はマイク・ミルズ『カモン カモン』を観た。わかり合えないわかり合いたいを行ったり来たりしながら、それでもわかり合いたいにたどり着く。わかり合えたではなく、「わかり合いたい」というのが大事なような気がする。モノクロの映像と過度に説明のない淡々とした作風が相まって観終わってからも余韻に浸り、数日後にもふと映画の一場面を思い出したりした。大島依提亜さんによる最高のデザインのパンフレットも買った。

5月13日は『ベター・コール・ソウル』シーズン6を最新回まで観た。本当に面白い。脚本、演出、撮影などなにからなにまでハイクオリティだ。陰影のある絵作りが特に素晴らしいので大きなスクリーンで観たい。

5月18日、『佐久間宣行のANN0』を聞いていたら小山田壮平サニーデイが流れて胸がギュンとなった。懐かしさとは違うこの感覚はなんなんだ。10代後半から20代前半にかけての自意識がぐちゃぐちゃに絡み合っていた時期に触れていたものに久しぶり出会うとこの気持ちになる。

翌日に健康診断を控えていて食事制限が課されていたが仕事から帰ってきた24時過ぎにアスパラとタコのバター醤油炒めを作った。初めて作ってみたが美味かった。

5月19日、健康診断。もちろん朝ごはんを抜かなければいけないが、サンドイッチを食べてしまった。14時からという健康診断の空腹に耐えられなかったのだ。病院での採血の際に、朝からなにも食べてないから大変ですよね、あともうちょっとですから!と言われ、ドキリとした。健康診断の採血って血管が浮き出にくいんですよねーとも言われ、これまでの自分だったら「そ、そうなんですね…」と返答し会話が終了していたが、今回は「え!なんでですか?」と会話のラリーをしようと自然に返していた。水分控えてもらってるんでその影響ですと言われ、血を抜かれた。血を抜かれながら、見知らぬ人と少しでも会話をした自分に感動していた。体重が1年で10キロ増えていた。

健康診断が終わり、SUNNY BOY BOOKSへ本の納品に行った。手元に持っていた最後の『生活記録』の在庫を預けた。累計500冊ほどの在庫が1年をかけて全て旅立っていった。

健康診断が終わったのでその日は安堵の気持ちでほうれん草とホタルイカのバター醤油炒めを作った。これまた美味い。

5月21日、仕事から帰宅後セブンの金のあずき最中を食べた。これがあまりにも美味しくて一口かじってあっという間に幸せになれた。

5月23日、仕事から帰宅後なんとなくテレビを見ていたら『アンタウォッチマン』が芸人ラジオ特集だった。スタジオに伊集院光でVTRにオードリー、三四郎、ハライチという芸人ラジオ好きなら誰もがよだれが出てしまうようなメンツだった。そのまま『空気階段の踊り場』を聴いた。岡野さんゲスト回にハズレなし。「水川かたまりフライデー直撃結婚宣言!愛の巣はペットOK肛門ひた隠し裁判」が開廷しかたまりは有罪になった。「家は家!肛門は肛門!」というパワーワードにめちゃくちゃ笑った。

5月24日、28歳になった。お昼に職場近くの中華料理屋でバースデーチャーシューメンを食べた。

仕事から帰宅後、夜にケーキを売っているお店などないので冷凍の今川焼をあつあつにチンしてバターを乗せて食べた。これが自分なりのバースデーケーキ。

5月25日、柴田聡子『ぼちぼち銀河』がリリースされた。これがもう最高のアルバムだ。「旅行」「24秒」「夕日」が特に好き。『ベター・コール・ソウル』シーズン6の7話を観た。あまりにも衝撃的過ぎてテレビの前で声を出してしまった。こんな展開になるなんて思ってもいなかった。あらゆる演出に意味があり鳥肌が立つ。次の配信が7月なので待ち遠しい。

5月26日、松屋に行ったら創業ビーフカレーが無くなっていた。これまで期間限定だったチキンカレーがレギュラーになる代わりに創業ビーフカレーが外れたようだ。たしかに松屋のチキンカレーは最高に美味い。しかし、創業ビーフカレーもまったく別の土俵で最高に美味いのだ。この両者がレギュラーになることはできなかったのかと松屋に問いたい。

エイドリアン・トミネ『長距離漫画家の孤独』を読んだ。

モレスキン風の凝った装丁もさることながら自意識と孤独、恥ずかしい失敗をめぐる自伝で共感と愛おしさに溢れていた。あまりにも共感する部分が多いので読みながら何度も天井を見上げて「く〜ったまらない…」という気持ちに浸っていた。この感覚は、福満しげゆきの『僕の小規模な失敗』やオードリー若林の『社会人大学人見知り学部卒業見込み』を読んだ時の感覚と同じだ。自意識をめぐる話が僕は好きだし救われる。「ああ一人になりたい」の次のコマがああ寂しい」なのだ。 

トミネの作品はこれまでも好きだったがさらに好きになった。大学生の時、トミネの『サマーブロンド』と『キリング・アンド・ダイイング』を友達に貸したら代わりに豊田徹也の『アンダーカレント』を貸してくれて、これがあまりに素晴らしい作品で震えた思い出がある。

夕飯に、海老とブロッコリーのガーリックバター炒めを作った。これまた美味しかった。最近はとにかく海鮮と野菜を炒めるのにハマっている。

5月27日、アイロンをかける際にテーブルの上にあったペットボトルのミネラルウォーターをアイロンの水を入れる場所に注ぎ込んだ。水道まで行くのがめんどうだという怠惰さでよくやってしまう。その後も平然とそのペットボトルの水を飲んだりする。

5月29日、高妍『緑の歌』を読んだ。台湾の作家の作品。

なにかを好きになった気持ちはずっとこの先も人生を照らし続けるという好きなテーマの作品だった。装丁も高妍さんなのだけれど凝っていていいデザイン。ずっと好きなイラストレーターだったので連載が始まると知った1年前にコミックビームを買ったのを思いだして本棚から引っ張り出してきたら良い表紙で改めて感動した。

台湾の風景がたくさん出てくるので何度も台湾に行ったことのある身としては懐かしさを感じた。また台湾に行きたい。

5月29日、世間では文フリ東京が開催されていた。ツイッターで盛り上がりを見て出ればよかったか…と少し後悔した。しかし仕事なので仕方がない。

5月30日、『空気階段の踊り場』でandymoriが流れた。今の20代後半から30代前半にとってandymoriはとても特別な存在だったと思う。スマホもない高校生のときTSUTAYAで借りてきたandymoriフジファブリック銀杏BOYZもこの音楽を聴いているのは自分だけだと思っていた。

5月31日、『爆笑問題カーボーイ』で毎年恒例の太田さんによるサラリーマン川柳の発表。その川柳に対するウーチャカの反応がいつも良くて2人がキャッキャしてるのが本当に好き。僕の芸能界の推しは爆笑問題だ。

6月3日、『ストレンジャー・シングス』シーズン4の最新話まで観終わった。わたしたちの好きなもの全てが詰まっていた。暗闇を照らす光、自転車だけで泣けてくる。5話のポップカルチャーを愛する気持ちにもやられた。新しい登場人物も他のキャラクターと同じように愛おしい。次の配信は『ベター・コール・ソウル』と同じく7月なので楽しみ。6月は後半に『アンブレラ・アカデミー』シーズン3の配信が始まるので楽しみが止まらない。予告を見た限り今回もかなり面白そう。

6月4日、ユニクロで男の人がポロシャツをしばらく凝視したかと思ったらその前でゴルフのスウィングをしていた。イメージでポロシャツを着たのだろうか。仕事の休憩中に植本一子さんと滝口悠生さんの『ひとりになること 花をおくるよ』を読み始めた。とても良い。晴れた日のこの季節に公園のベンチで本を読むのは気持ちがいい。