12月9日
朝、姉から姪が立った動画が送られてきていた。1歳2ヶ月が過ぎ、つかまり立ちしかできなかった姪がその2本の足で立っていた。数秒立ち上がり、すぐにへたり込んでしまっていたがたしかに立っていた。先月家に来て、2週間ほど一緒に過ごしていたのでその成長に感動。姪の動画を見て、おいでと手を伸ばしたら向こうも手を伸ばしてくれるあの喜びを思い出した。
12月10日
『The W』を観た。お世辞にもあまり面白いとは思えなかった。にぼしいわし、忠犬立ハチ公、もじゃがちゃんとネタとしての体裁が整っていた。特にもじゃのネタはとても好きで、4分間で不条理な世界を立ち上げ、擬似家族を作り、夕日に照らされるというオチがとても美しかった。正直なところキンタロー。に期待していたがあまりにもなネタ構成に、作家を入れてないのか…?と思った。誰かのモノマネを軸にしてそこから行ったり来たりしながら展開していけばもっと面白いのに。審査員たちの誰も傷つけようとはしない姿勢は他の賞レースでは見られない光景でよかった。
12月11日
『空気階段の踊り場』を聴きながら仕事へ向かっていたら、カクバリズムからCDを出さないかというメールが届いた話をしていて、曲を出して紅白に出たいという夢が現実味を帯びてきて笑ってしまった。カクバリズムから歌手デビューする空気階段のルックが容易に想像できる。
12月12月
なにもなし
12月13日
なにもなし
12月14日
早朝に雪が降っていたがすぐに止んだようだった。休日だがなにもやる気が起きずYouTubeや昨年のM-1を見るなどして1日が終わった。夕方、窓の外を見るとまだ外は明るいのに月が煌々と輝き、そして丸く大きかった。
鉛筆の先かなにかで空にぷすりと穴を開け、その奥にある光がこちらに見えるような月だった。
12月15日
午前中は部屋の掃除をして、午後は本・中川での佐内正史写真集『写真がいってかえってきた』の刊行記念トークイベントへ行った。
とても面白い話をたくさん聴けたが、佐内さんは「瞬間」を撮っているがそれは決定的な瞬間や劇的な瞬間ではないという話がまさに佐内さんの写真を自分が好きな理由だと思った。「瞬間」が不意に迫ってきたり立ち上がってくると言っていて、どこか柴崎友香の小説を思い出した。あとは、写真の外を撮っているという話も興味深かった。たしかに切り取られた枠の外の広がりを想像させる写真は良い写真だ。なんの流れでその話になったのか分からないが、狂気は持つべきだがそれを垂れ流すのではなく制御できている人が好きという話と、近所の写真は見慣れすぎて撮れないという話に「わかる〜」と思った。初めて対面で佐内さんの話を聞いたが、詩的な人だが俗っぽさもあり仕事に対する考え方も好感を持った。15時からトークイベントが始まったのだが、窓の外の光が午後の光から夕方の光、夜の光に移り変わりっていくのも、猫が窓の外に何度も現れ木を駆け上ったりしているのもとても良かった。
17時過ぎにトークイベントは終わり、寒いなか歩いて家に帰った。昨日よりも月がさらに大きくて、ぷすりと鉛筆の先で刺した穴が広がっているようだった。