記録

記録

2019-01-01から1年間の記事一覧

生々しい生活

街は、様々な人の生活が折り重なってできているのだと意識する機会が度々ある。それは、すれ違った人々や、ファミレスでの会話、電車やバスの中など、ふとした瞬間に目の前の人のこれまでとこれからを想像する。ここ数日は、そのことを強く意識する日々が続…

美味しいという記憶

最近は家にいることが多いため、ずっとラジオを聴いている。深夜ラジオはもはや10年ほど前から日常のルーティーンの中に組み込まれているが、ここ数ヶ月は午前中に放送されている『伊集院光とらじおと』をよく聴くようになった。そのラジオの中で毎週火曜に…

いつだって途中だから

劇場を出ると雪が降っていたことがある。それは2年前の2月9日にアゴラ劇場でペニノの『ダークマスター』を観た時だった。偶然にも、ちょうど2年後の2019年2月9日も、劇場を出ると雪が降っていた。東中野のビルの9階、街を見下ろせる場所でウンゲツィーファ『…

暖かい真夜中

とても暖かい日があった。その暖かさに気がついたのは深夜4時で、ゴミを出しに外へ出た時だった。気持ちの良い、ぼんやりとした暖かさで、なぜだかハワイを思い出した。先日、髪を切りに行ったら美容師さんに、行きたい国はありますか?と聞かれた。ハワイと…

うるせえ!と僕は思ってしまう

いま目の前にあるのは、自分がどうするかの選択のみで、いや、そもそも人生はその連続なわけだけれども、誰かの人生に思いを馳せるみたいな余裕がなぜか自分の中にはある。1年半ほど前に、散歩をしながら道ゆく人の会話の断片をメモしたことがある。 miwa05…

Things So Faint But Real

高層ビルやマンションに夕日が当たり、まるで最初からそれが綺麗な橙色の建物だったのではないかと見間違えるような日がある。そういう美しい夕暮れを、人々が行き交うなかで立ち止まって見つめている人がいる。残念ながら僕はそんな人にはなれなくて、誰も…

目の前には水蒸気

起き上がる気力もなく、ベッドで横になり、枕元に置かれた加湿器から白く水蒸気が立ちのぼるのをぼーっと見つめている。この状況、短歌とかで詠まれてないかと思ったがまったく思い出すことができない。 2日前からインフルエンザにかかってしまった。アルバ…

なにもかもが輝いて手をふって

静岡駅前行き、と書かれたバスが信号待ちをする僕の前をゆっくりと走っていく。窓際に座る人が、窓ガラスに頭をもたれさせながら、ぼんやりと外を眺めている。松屋、渋谷マークシティ、サンデーコーヒー、道玄坂マンモス、餃子の王将。目に見える看板の言葉…

一生枯れさせない

このペン、今朝借りたままで。すみません あっ!どこかで無くしたかと思ってたんです!よかった。 日がすっかり沈んで、室内と外の境目のぼんやり薄暗い場所でかわされたほんの数秒の会話に、どうしたって喜びを感じてしまう。アルバイト先に毎日来る佐川さ…

ゆるい坂の上から

苦しくても書いて、苦しいから書いて、楽しかったこともうれしいことも、ゆるい坂の上から町全体を公平に見下ろすような視線で書いていってほしいです。 先日、このような言葉をいただいた。ここにその言葉を載せることは、その言葉をくれた人を自分のために…

西日が差すだけ泣きそうで

初めは危い谷の小川の橋を渡るような心配事があるが驚き迷うことはありません 後には何も彼も平和に収まります 凡て小さいことも用心していればよろしい おみくじの言葉だ。今年2回目のおみくじも大吉であった。2019年は大吉を乱獲している。この調子で世の…

古いハム

すみません!そのパニーニ、古いハムでした! 帰省する前の年末、家までの坂を登りながらパンをかじっていたら、パン屋さんのお兄さんが走りながらそう伝えてきた。僕の手にはもう3口ほどかじられたパニーニがあり、お兄さんもそのかじった跡を見つめていた…