8月4日(月)
ロロ三浦直之作詞による江本祐介の新曲『夏の保存』が配信された。
空調服着て飛び立っていく
入道雲の真ん中トロピカルピース
それを君が夏って呼ぶから
いまもここは夏のままです
扇風機が笑い声を運ぶ
届く頃にはほんとじゃなくなる
汗水 輝かない
それで僕らよくない?
ほら 永遠以外で今を言えてる
ポップで疾走感のある良い歌詞と曲だ。EMCと三浦さんのコラボ楽曲である『100%未来』は今でもよく聴いている。
センキューポップカルチャー全般
君も僕もいい歳さ
歌の中でいつ高シリーズの『校舎、ナイトクルージング』の紅茶王子に関する会話が挟み込まれるのだけれど、最近の再演ではその会話がなくなっていて少し寂しかった。
8月5日(火)
昨日の天気予報で40度近い気温になる地域も多いと報じられていたが朝は風が強くそこまでの暑さではなかった。『三四郎のANN0』を聴きながら仕事へ。小宮がアルピー平子のことを「ハンサムで少しだけ頭の回転が速い器用なインチキゴリラ」という聞いたことのない角度の悪口を言っていて笑った。
アマプラの『トモダチ100人できるかな』を一気見した。アマプラ企画のバラエティはその豪華さとは裏腹に拍子抜けすることが多いが今回はかなり面白かった。良く企画が練られているしルールが分からない中での芸人の立ち回りの上手さが際立っていた。キムタクがあまりにもキムタクの振る舞いだった。あの名企画『有吉弘行のドッ喜利王』のように2回目が難しいのが惜しい。
8月6日(水)
『空気階段の踊り場』を聴きながら仕事へ。広島に原爆が落とされた日。仕事中だったのでひっそりと黙祷。
8月7日(木)
『霜降りANN』を聴きながら仕事へ。風が強く雨がぱらぱらと降っている朝だった。帰りは雨は止み、風だけが吹いていて涼しく気持ち良かった。
シネマカリテ閉館のニュース。何度も通った映画館なのでショックだ。あの地下へ降りる階段をいつだって思い出せる。
8月8日(金)
涼しい朝だった。田んぼの周りにはトンボがびゅんびゅんと飛び回っていて、秋…?と思ったら蝉の声が聞こえて夏…?となった。そんな私はこの夏、桃を食べまくっている。桃が大好きだ。数年前に詠んだこの短歌は自分でもお気に入りだ。
昨日より上手に桃が剥けたから 汚い部屋でゆっくり頬張る
8月9日(土)
姉夫婦と姪が家に来るので午前中は部屋の掃除をした。もちろん部屋の掃除は順調に進まないし、本棚の整理などを始めてしまう。とてもだらしない人間なので、『まんが道 愛蔵版』1巻が『ルックバック』と『いやはや熱海くん』の間に挟まれていたり、2巻が乗代雄介『それは誠』と寺井奈緒美『生活フォーエバー』の間に居たりする。


午後に姉夫婦と姪が来た。姪と会うのは数ヶ月ぶりで、もう覚えていないだろうなあと思っていたら玄関で靴を脱ぐなり、ニコニコしながらダーッと自分の元に走ってきて足に抱きついてきた。こんな幸せなことはあるのだろうか。自分の中にある孤独や不安が一瞬にして消え去った。(この日以来、約1ヶ月日記が書けずブログを更新できなくなった)
8月10日(日)
父と母、姉夫婦、姪でトイザらスやゆず庵に行くなどした。夜、近所で花火大会があり、外に出て花火を見上げた。姪が花火が上がるたびに指差し、ドーンと音が鳴るとキャッキャと笑っていた。

8月11日(月)
朝起きると姪はもう起きていて、顔を見るなりまたもや走ってきて抱きついてきた。姉夫婦と姪は今日帰り、自分は祝日だが仕事のため姪とさよならをして出勤した。
雨が降っていて折りたたみ傘を差していたのだけれどまたもや折ってしまった。私は折りたたみ傘を差す才能がない。
8月12日(火)
今朝も涼しかった。『THE SIGN PODCAST』の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』回を聴きながら仕事へ。
もやもやを言葉にしてもらえる気持ちよさと原作をリスペクトした内容であることを知れた。改めてこの作品のことを考えると本当に市井の人々が描かれなかったなと思う。『サンダーボルツ』のほうがよっぽど人が描かれていた。
ナナロク社のサイトでの近藤聡乃さんのエッセイが更新された。相変わらず抜群に面白い。
8月13日(水)
ここ数日の涼しさから一転し、じっとりと湿度の高い日だった。世間では今日から休みのところが多いがなぜか出勤日。
8月14日(木)
今日からお盆休み。祖父母の家に行き、仏壇の前で親戚と食事をした。畑で野菜の収穫をして帰宅。
8月15日(金)
朝6時に起きて信濃町にあるとうもろこし街道へ父と母と行った。とうもろこし街道とはその名の通りとうもろこし畑がたくさんある街道で、畑の脇で農家が朝採れのとうもろこしや焼きもろこしなどを販売している。このとうもろこし街道で1番有名なのが小林農園で、午前中に行かないと売り切れてしまうとのことで朝早くから訪れた。この日は生のとうもろこしの販売はなく、加工されたとうもろこしの販売のみだけだったが開店前からすでに人が並んでいた。しばらく並び、無事に焼きもろこしともろこしソフトクリームを手に入れた。


これまで食べたとうもろこしの中で間違いなく1番美味しいとうもろこしだった。もちろん甘いのだけれどただべらぼうに甘いのではなく、一粒一粒がしっかりとしていて、弾けるように瑞々しかった。食感はほぼイクラだ。美味しいとうもろこしってイクラだったんだ。とうもろこし街道から近くにある野尻湖へ行った。ちょうどよく寂れた湖で、事件が起きそうな気配があった。

湖畔にある3階建ての建物の中にはびっしりとかつて使われていたであろうアヒルボートが並んでいて目があったりした。


長野県と新潟の県境にある「道の歴史館」へも行った。


江戸時代に関川という関所が設けられていた場所で当時の道に関する資料が展示されていた。「道のはじまり」という説明書きに「太古の昔、人が狩猟や採集など食物を求めて同じところを行き来するうちに道ができた。やがて人々は普段手に入らないものを求めて、遠くの村々と物々交換するようなり、道はどんどん広がっていった」と書かれていて、なんでかよくわらないけれど、現代の公共事業的なものからかけ離れた「道」の原初にハッとした。江戸時代の旅行記に関する展示もあり、『虎勢(こせ)道中記』という旅行記が紹介されていたのだけれど、由来が「虎の勢いで旅をするぞ」らしく、良いタイトル過ぎるだろ!と思った。真似したい。博物館を出る時に受付のおじさんから「どこから来られたんですか?」と聞かれ、松本ですと答えると「松本ですかあ」と明らかに残念そうな返事をされた。お盆休みということもあってもっとはるばる遠くから訪れてほしかったに違いない。札幌です、とか言えばよかった。
飯綱町にあるサンクゼールワイナリーへも行った。人もまばらで過ごしやすい場所だった。このインターネットの時代に「見つかっていない場所」を見つけると嬉しくなる。


ここにあるレストランで食事をしたのだけれど、葡萄畑と街を一望できて最高のロケーションだった。誰かを連れてきて良い場所を知っているとドヤ顔をしたいお店だ。


夕方頃に帰宅してアニメ『窓ぎわのトットちゃん』を観た。劇場公開されていた時に評判を耳にしていたがタイミングを逃して観れていなかったので8月15日の今日に観ることにした。噂に違わぬ素晴らしい作品だった。徐々に忍び寄る戦争の気配や死を言葉で説明せずに表現する演出の数々。終盤の木下惠介『陸軍』オマージュのシーンには鳥肌がたった。監督は長年ドラえもんアニメに関わってきた八鍬新之介であり、原恵一に憧れてシンエイ動画に入社するというあまりにも信頼しかない経歴だ。原恵一が『はじまりのみち』を監督していることからも木下惠介『陸軍』の引用は明確に意識したものだろう。『陸軍』は戦意高揚を目的として撮られた映画だがそのラストシーンが戦意高揚にそぐわず批判を受けたことは知られている。木下惠介に関わらず、戦時中に国から依頼を受けながらも戦意高揚に葛藤が見てとれる作品に非常に興味がある。
8月16日(土)
白石晃士『近畿地方のある場所について』を観に行った。劇場は鬼滅の刃で混雑しており、「近畿地方の方はこちらから入場お願いしま〜す」と入り口を分けて誘導していて、出身地別の入場のように思えて面白かった。心の中で「三重出身でーす」と偽りの出身地を言いながらチケットを見せて入場した。映画はとても面白く、賛否のある終盤の展開も白石監督作品が好きなのでまったく問題なかった。映画を観終わった後、謎の頭痛に襲われた。
8月17日(日)
いつもの犬のいる美容院へ髪を切りに行った。普段は膝に乗せろとしつこくせがんでくるがこの暑さのせいか、近づいてきて軽く前足でタッチしてからトコトコと寝床へ消えていった。髪を切った後はいつもその風通りの良さに散歩をしたくなる。しかし熱風が吹いていてそんな気持ち良さはなくだらだらと汗をかいただけだった。逃げ込むようにラーメン屋の「ひづき」に入り、冷やし坦々麺を食べた。「ひづき」は何を食べても美味しい。

街の中は松本ぼんぼんの準備でばたばたしていて、その様子を少し眺めながら家に帰った。

ネトフリで『My melody&kuromi』を観た。

監督はプイプイモルカーの見里朝希、脚本は根本宗子。可愛いさとは裏腹に承認欲求を巡る話でとても面白かった。マイメロが仮眠を「ちっちゃく寝る」、夜の睡眠を「おっきく寝る」と表現していたのが最高だった。使いたい。
8月18日(月)
『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』を聴きながら仕事へ。1日でひっくり返った蝉を3匹見かけた。
8月19日(火)
『マヂラブANN0』を聴きながら仕事へ。山下達郎の「僕らの夏の夢」が流れた。
8月20日(水)
『空気階段の踊り場』を聴きながら仕事へ。もぐらがハイロウズの「夏なんだな」を流していて、連日ラジオで夏っぽい音楽を聴けて嬉しい。なにより山下達郎もハイロウズもサブスクでの配信がないので。
昨晩、火球が熊本で目撃され、その映像をSNSで何度も見かけた。夜中なのにパッと一面が明るくなり、こんなものを偶然誰かと見てしまったら一生の思い出になるだろうなと思った。
8月21日(木)
『爆笑問題カーボーイ』を聴きながら仕事へ。赤毛のアンの話からマーク・トウェイン、ルイス・キャロル、内村鑑三、カート・ヴォネガット、遠藤周作を信仰とは神とはで繋げて語り、最後に赤毛のアンで引用されるブラウニングの詩の「神は天にあり 世はすべてよし」で締める太田さんのオープニングトークがとても素晴らしかった。こんな芸人他にいない。
8月22日(金)
SNS上で星野源がまたもや理不尽に非難されていた。星野源に親でも殺されたのかと思いたくなるほどの物言いだった。星野源を追っていれば現在のポジションや考え方に至るまでの苦難が分かるだろうに。宇野維正や東浩紀もインターネットでは理不尽に非難されている印象があり本当にかわいそうだなと思う。
次の朝ドラの『ばけばけ』に関わる人たちが発表される度に期待感が高まっていく。スチール写真は川島小鳥、主題歌はハンバートハンバート、劇伴は牛尾憲介と素晴らしい布陣だ。衣装は伊賀大介あたりが参加しそうな気配もある。
最近は会社の食堂で高校野球が垂れ流されている。昔は高校球児たちが同級生に見えないとか年下に見えないとか思っていたけれど、さすがにこの年齢になると「子供たちが頑張っているなあ」と思うようになった。
8月23日(土)
深夜3時に目が覚めてしまい、リアルタイムで『三四郎のANN0』を聴いた。寝落ちすることなく朝5時まで聴いて、それでも寝れないので海外のディズニーのアトラクション動画をYouTubeで見漁った。海外には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のアトラクションがいくつかあることを知り、乗ってみたいなあなんて思っていたら映画を観たくなり、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を朝まで観た。久しぶりに観たが抜群に面白い。
寝不足のまま5枚切りの厚い食パンにブルーベリージャムを塗って二つ折りにして食べた。5枚切りでやる食べ方ではない。続けて『ガーディアン・オブ・ギャラクシー vol.2』を観てから午後は自転車で映画館へ。熱風が吹いていて、「くそ〜暑過ぎるだろ!」と怒りながらペダルを漕いだ。暑い日に歩いているときは「暑い…もうだめ…死ぬ」となるのに自転車の時は暑さに対して強気になれる。風が味方になってくれるから。
山下敦弘『リンダリンダリンダ 4K』を観た。中学生の時、誰が監督をしているとか誰が出演しているとかも分からず、ただブルーハーツが好きという1点のみでDVDをレンタルしてきて観たという記憶だけのある作品だったが今回映画館で再見してその素晴らしさに打ちのめされた。いくらでも起伏を作れるのにあえてドラマチックを避けるように物語はオフビートで進行し、カメラは距離がある定点に置かれる。一人ひとりの人物の掘り下げも上手く、さらっとした描写で生活の背景が見えてくる。とりわけ好きなのは、ペ・ドゥナが部室から出て文化祭の屋台の間を通り抜け、夜の誰もいない体育館のステージでメンバー紹介をする一連のシークエンスだ。さらにその後の部室での練習風景を捉えた距離のある美しいショットよ。スクリーンで観れて本当に良かった。

良い映画を観た後は遠回りして家に帰りたくなるので薄川沿いを自転車でゆっくりと走った。夕方になり気持ち良い風が吹いていて、映画の余韻に浸った。生きているなかでこういう瞬間が1番好きかもしれない。


川沿いに並ぶ木々の枯葉を踏んだ時のシャクシャクという音が心地良かった。
8月24日(日)
午前中は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol.3』を観た。MCUの中でもとりわけ大好きな作品だ。ラストのダンスシーンの素晴らしさったらない。ラストシーンでダンスを踊る作品になぜか惹かれる。最近では『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』も『ロボット・ドリームズ』良かったし、少し前だと『ジョジョラビット』のダンスも心が震えた。演劇だと範宙遊泳『その夜と友達』の時間も場所も溶け合うようなダンスシーンがとても好きだ。ダンスは出鱈目であればあるほど良いと思っている。姪が自然にテレビの音楽に合わせて体を揺らしたり、教えてもいないのにダンスの振り付けを真似したりしている姿を見ると、踊るという行為は生まれた時から備わっている衝動なのだなと思う。
午後はセイジ・オザワ松本フェスティバルのプログラムの一つであるブリテンによるオペラ『夏の夜の夢』を松本市民芸術館へ観に行った。

生で演奏されるサイトウ・キネン・オーケストラの音は、こんなにも音楽って柔らかいんだと衝撃を受けた。オペラに関しては教養がなく比較もできないため良い作品だったのかは分からないが3幕目は楽しんで見ることができた。
8月25日(月)
『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』を聴きながら仕事へ。他の記憶はなし。
8月26日(火)
『霜降りANN』を聴きながら仕事へ。昨日と同じく記憶はなし。
8月27日(水)
『空気階段の踊り場』を聴きながら仕事へ。もぐらが札幌に美味しいラーメン屋があるが教えないと言っていて、なんと信頼できるんだと思った。常々書いているが美味しいお店は教えたくないに決まっている。
8月28日(木)
ここ数ヶ月で1番涼しい朝だった。近所の田んぼの稲もすっかり黄色く色付き穂が頭を垂れている。仕事中、新しいハサミで指先を切った。その切れ味の良さからスパッと深くまで切れたのに血が出ることがなかった。
8月29日(金)
『マヂカルラブリーのANN0』を聴きながら仕事へ。2時間の残業。帰りの電車で高校生たちが虫を捕まえたと騒いでいて、車内がピリッとした雰囲気になっていた。どうかその虫を解放しないでおくれと皆んなが祈っているのがわかった。
8月30日(土)
朝8時の電車で東京へ。mudaさんと新宿で待ち合わせて洋食屋のアカシアでお昼を食べた。自分は帆立のクリームコロッケとロールキャベツのセット、mudaさんはハンバーグとロールキャベツのセットを選んだ。

自分が即決でクリームコロッケを選ぶとmudaさんに「クリームコロッケを見るとミワさんを思い出します」と言われて、無類のクリームコロッケ好きだということがバレていて恥ずかしかった。最近観た映画の話やmudaさんが参加している読書会の話、京都の文フリまた出ます?などの話をした。紀伊國屋書店に立ち寄り、川村元気や落合陽一は胡散臭いなどの話をして別れた。
三鷹で友達と待ち合わせをして三鷹芸術文化センター星のホールでいいへんじ『われわれなりのロマンティック』を観た。

クワロマンティックを描いた作品で、当日パンフレットの人物紹介には、ヘテロセクシャル、アセクシャル、レズビアン、ノンバイナリーなどそれぞれの性的指向が明記されている。上演される意味のある舞台だったと強く思うし、テーマに対して誠実に向き合い、描こうとしていた。登場人物たちが苦悩し考えながら他者と対峙し続ける姿は、作演出の中島さんが対話を諦めていない人なのだなと思った。自分はどうしても寂しさや1人で生きることを肯定してくれるような物語が好きなので、他者とのコミュニケーションを求め続ける登場人物たちと少し距離を置いてみてしまった。そういった意味では同じようなテーマを扱ったドラマ『恋せぬふたり』は自分の中ではとても響いた作品だったなと『われわれなりのロマンティック』を観ながら思ったりした。それでも最初に書いた通り、上演される意味のある舞台だとは強く思う。主宰の中島さんは大学の後輩で、学生演劇をやっている頃から観ているので勝手ながら応援している。
舞台を観た後は三鷹芸術文化センターの近くのお寺にある森鴎外と太宰治のお墓を見て、いつも通り水中書店へ行った。良い古本屋がある街には住みたくなる。新宿駅の構内でシルバニアのポップアップが開催されていてつい近づいて見てしまった。駅構内で1番嬉しいポップアップは間違いなくシルバニアだ。

夕飯はずっと行ってみたかった幡ヶ谷にある「yum」で点心を食べた。小籠包、鴨肉の紅油ソース、ラム餃子、鱧と山わさびの春巻などどれも本当に美味しかった。




好きな人たちと会って食べるご飯の美味しいこと。別れ際、今度松本に遊びに行くと言われて飛び上がるほどに嬉しかった。
8月31日(日)
東京国立近代美術館で『記録をひらく 記憶をつむぐ』を見た。

以前同美術館へ行った際に、常設の戦争画の部屋にくらってしまったのでどうしても見たい展示だった。解説も丁寧で非常に見応えがあり、映像や写真ではなく戦意高揚がなぜ絵画によって行われたのかなど非常に興味深かった。展示を見ながら、限られたメディアしかない当時にもし生きていたら自分も大きな流れに呑み込まれてしまっていただろうなと思った。藤田嗣治の戦争画の数々はいつ見ても圧巻で、本当にこれが戦意高揚になったのだろうかと思う。

1932年の上海事変で敵陣に爆弾と共に乗り込み自死した軍人を「肉弾三勇士」と称えて森永がオリジナルパッケージのキャラメルを発売していたのも衝撃だった。

他の美術館へも行きたかったが思ったよりも時間と体力を消耗してしまい、松本へ帰ることにした。帰りがけに伊勢丹のデパ地下へ立ち寄り、鈴掛でどら焼きと白玉あんみつを買った。帰りの電車で、駅のホームで買ったチキン弁当を食べた。午後の柔らかな日差しにチキン弁当が包まれていた。

spotifyでランダムで音楽を流しながら夕暮れの外を眺めていると、柴田聡子「雑感」、スピッツ「みなと」、cero「ロープウェイ」、カネコアヤノ「栄えた街の」が連続して流れる瞬間があり、奇跡みたいだと思った。
今年はもうきっとどこへも行けない
憎らしい暑い夏も今では恋しく思えるよ