記録

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お盆のこと

帰省したので実家のベッドで仰向けになりながら書いている。更新する頃には、東京の家のベッドの上だろう。先週は、KAATでハイバイ『ハイバイ、もよおす』とSTスポットで範宙遊泳『その夜と友達』を観た。ハイバイは中編3作品の上演で、個人的には3つ目の「ごっちん娘」が好きだった。範宙遊泳もとても素晴らしかった。今年観た演劇ではベスト級だ。まず、武谷公雄さんの語りというか台詞回しがめちゃくちゃ良い。そして時間を行ったり来たりして、時には全ての時間が重なってしまう瞬間なんかもあるわけで、とても演劇的であった。小説にしても演劇にしても、複数の時間をたとえ辻褄が合わなかったとしても1つの場所に描く表現が好きだ。

実家には各駅停車の電車で4時間半ほどかけて帰省した。電車では一度読み終わった滝口悠生『茄子の輝き』をもう一度読んだ。というのも違う本をカバンにいれたつもりが間違えて持ってきていてそれを読むしか4時間半を過ごす術がなかったのだ。それでも改めて良い作品だなあと電車に揺られながら思った。いくつも好きな台詞というか場面がある。例えば、観光で来た島根でカルガモを見た主人公の元妻がこんなことを言う。
島根にもカルガモがいるんだね、って思う。当たり前だけどこうやって実際にその場に来て、見たら、やっぱりそう思う。でも観光ってそういうものか。人間だってそうでさ、島根県に人が住んでることは知ってるけど、来てみてああ本当に住んでるんだな、って思うでしょ。あの女将さんが、民宿を経営して、犬を飼って、ていうのは、別に驚くようなことじゃないけど、私たちがここに来なくても、帰っちゃったあとも、関係なく行われていることって、こうして来てみなくちゃ、思いつかないでしょ

 

この部分がとても好きだ。旅行をよくするのでこの感覚がとてもわかる。個人の認識なんか関係ないところで世界は存在しているし、誰かの生活は絶え間なく続いているのだと旅行をする度につくづく思う。あとは、最終話「今日の記念」が本当に素晴らしい。特に、歩きながら電話をするシーンがあるのだけどそこの流れるような描写と視点の移り変わりは読んでいて感動すら覚えた。そして、最後の一文のかっこよさが半端ない。鳥肌が立った。おすすめなので読んでほしい。
 
帰省している間は祖父母の家に行くなどした。祖父が趣味で絵を描くので昔から家にアトリエがあるのだけど冷静に考えるとアトリエがあるって普通にかっこ良いのでは。

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牛の絵を描いていました。

あとは入笠山というところにも行った。山道を歩いたり、湿原に行くなどした。

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ロープウェイにも乗った。

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高いところが苦手なので風景を楽しむ余裕などなかったのですが上りよりも下りの方が怖くないという発見があった。そりゃ地面が近づいて行く方が怖くないのは当たり前なのだけど。

5日間ほど実家にいて家族と出かけた以外は特になにもなかった。帰りの電車では、ラジオを聴いていた。最近は、もう何年も聴いてきためがねびいきとバナナムーンをまったく聴かなくなってしまった。爆笑問題のラジオは中学の頃から相変わらず継続して聴いていて、ついには日曜サンデーまで手を出すようになった。あとは、エレ片とオードリーのANNも最近は毎週欠かさず聴いている。radikoに感謝としか言えない。

 

 

 

久しぶりの1週間のこと ナカゴーやマームなど 7月24日〜7月30日

1ヶ月ぶりに書きます。この1ヶ月はいつにも増して無為な毎日を過ごしておりました。とりあえず、就職は決まっていませんし就活もしていません。なんだかもやもやしたものを抱えながらずるずると部屋に引きこもっていました。この1ヶ月の間、特段楽しいことはなかったので引きこもっていた間に読んだ本を羅列します。

スペース・オペラ (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)

スペース・オペラ (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)

 
台湾生まれ 日本語育ち

台湾生まれ 日本語育ち

 
星の子

星の子

 
谷郁雄エッセイ集日々はそれでも輝いて

谷郁雄エッセイ集日々はそれでも輝いて

 
史群アル仙作品集 今日の漫画2

史群アル仙作品集 今日の漫画2

 
冬のUFO・夏の怪獣

冬のUFO・夏の怪獣

 
茄子の輝き

茄子の輝き

 

どれもとても面白く読めた。特に谷郁雄さんのエッセイが素晴らしかった。今週は色々と出かけたりしたので月曜日から書いていきます。

 

月曜日

2週間ほど前から新しくアルバイトを始めた。その2回目の出勤日だった。このアルバイトを始めたことは自分の中ではかなり大きな選択で、なにか得ることができればと思っている。この日は、インタビューの書き起こしをした。某有名詩人のインタビューの書き起こしだったのだけど、働くということについて話されていて1つ1つの言葉が刺さりまくった。ちなみに3年働いていた前のバイト先は、就活のために1ヶ月ほどシフトに入っていなかったら、家のポストに退職通知書が届けられていた。チェーンの喫茶店ではあったけれども俳優やら作家に珈琲を出すことができていたのは、東京にいる!という感覚が味わえていいものでした。

 

火曜日

三鷹SCOOLへ滝口悠生×柴崎友香の対談を聞きに行った。好きな小説家の話を生で聞ける機会はあまりないのでありがたいイベントだ。記憶の話、場所の話、小説の長さのことなど面白い話をいくつも聞けた。特に、小説を書くとは思い出すことである、という話が興味深かった。場所のことは、自分の関心の対象でもあるのでたくさん話を聞けて良かった。お二人とも、小説の人物は現実での何人かの知り合いをモデルにして書くらしく、小説でのその人物の行動を、現実の知り合いが本当にしたことだと勘違いしてしまう話も面白かった。

 

水曜日

久しぶりに部屋の掃除をした。もう1つ本棚が欲しいのだけど、その本棚を置くスペースすらないのでどうにかしたい。

 

木曜日

さいたま芸術劇場でマームとジプシー『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと』を観た。この作品は、3年前東京に来た時、初めて観た演劇だったので個人的に思い入れがある。東京にはこんな面白いものがあるのかと衝撃を受けたのがつい昨日のようだ。改めて観ると、エモーショナルが過ぎるよと思わなくもないけど、やっぱりとても好きな作品だ。この3年の間にマームも自分も変わったなあと感慨深かった。劇場からの帰り道、手を繋ぎながら歩く女子中学生4人を見かけた。その光景を見てなにかどきどきするものがあったけれど、その感覚自体が10年くらい古いような気がして、ただの手を繋いでいるという現象に過ぎないのだと自分に言い聞かせた。

 

金曜日

浅草九劇でナカゴー『ていで』を観た。めちゃくちゃ面白かった。あらすじや場面を事前に観客に教える大胆さと、それをもろともしないディテールの細かさと役者の演技。どこを抜き出しても必ず面白いのではないだろうか。あらゆる「ていで」が散りばめられていた。そもそも演劇自体が「ていで」で成り立っている部分がほとんどのわけで。メダルゲームの説明と、映画のあらすじを話すシーンが個人的には好きだった。最終的には少し感動というかほっこりするところに落とす構成も良い。正確には思い出せないのだけれど最後のセリフの、楽しい話は何度でもしましょうよ、がとても良かった。何度でもってところがある種ナカゴーのしつこさとも繋がるような気がした。

夜は友達と下北でご飯を食べる約束をしていたので、夕方ごろ電車で向かっていたら、隣に座っている20代ぐらいのカップルが「今日の夕飯なに食べる?」と会話をしていた。結局なにを食べるのか決まる前に僕は電車を降りて行ってしまったのだけれど、誰かの生活をのぞき見した気持ちになった。そして、下北の駅前で待っている時にもまた別の知らない人たちの「今日の夕飯なに食べる?」という会話を耳にした。その時ははっきりと「焼き肉!」という男の人の声が聞こえてきた。あのカップルは焼き肉を食べたのだろうか。ちなみに僕はその日、YOUNGというお店でカレーを食べた。

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チキンカレーとドライカレーの二種盛り。美味しかった。

 

土曜日

ユーロスペースへ『テアトロコントvol.20』を観に行った。今回の出演者は、ラブレターズうしろシティ、チョコレートプラネット、玉田企画の4組。演劇からは玉田企画だけだったのだけど、芸人と引けを取らない面白さだった。最近の公演『今が、オールタイムベスト』でも見せた玉田さんのあの演技がここでも炸裂していた。アフタートーク九龍ジョーさんも言っていたけど玉田さんのプレイヤーとして凄さは目を見張るものがある。

 

日曜日

少年文芸vol.1とvol.2を読んでいた。

少年文芸〈2005年初夏創刊号〉

少年文芸〈2005年初夏創刊号〉

 
少年文芸〈VOL.2〉

少年文芸〈VOL.2〉

 

この本、2005年が創刊号なのだけどすでに星野源滝口悠生が小説を載せているのに驚く。星野源SAKEROCKでファーストシングルを出したのがこの年で、滝口悠生は2011年に新潮新人賞でデビューなのでかなり早い段階で注目していたことになる。

Aマッソのゲラニチョビが久しぶりに更新されだした。やはりめちゃくちゃ面白い。

www.youtube.com

個人的には、14分12秒あたりのジャングル育ちのボケがとても好き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サマーブロンド』や散歩のことなど 6月19日~6月25日

今週も一旦就活を休憩中なので暇を持て余していた。水曜日は大学で開かれたトミヤマ先生と清田さんの『大学1年生の歩き方』出版記念のトークを聞きに行った。『大学1年生の歩き方』という本はとにかく優しい。表向きは大学生に向けて書かれた本だけど、生きづらさを感じている世の中すべての人を肯定してくれている。大学生はこうあるべきだといったような常識から外れても大丈夫だよとそっと寄り添ってくれる本だ。世の中にはこんな優しいことを言ってくれる大人もいるのだからなんとか頑張らなければと思う。

木曜日はシアタートラムでチェルフィッチュの『部屋に流れる時間の旅』を観た。会場で又吉を見かけた。ちょうど『劇場』を読んだばかりだったので変に親近感が湧いた。

今週は色々と本や漫画を読んだ。ふりむいて裕『川沿いで未来からやってきたというネコに会ったけど、これといって特別感はなかった。』が面白かった。
個人的には地底人のエピソードが好きだった。おすすめです。あとはパク・ミンギュ『ピンポン』も良かった。
ピンポン (エクス・リブリス)

ピンポン (エクス・リブリス)

 
それとエイドリアン・トミネ『サマーブロンド』も読んだ。
サマーブロンド

サマーブロンド

 
4つの短編全てに自分がいるような気がしてひたすらに辛かった。エイドリアン・トミネは本当に天才だ。多くの人に読まれてほしい。ちょうどいまNetflixで『13の理由』を観ているのだけどそれとも重なるところがあった。 
土曜日は、またまた写ルンですを持って散歩をした。今回はサンダルで片道10キロを歩いたせいで足が血まみれになってしまって痛くて泣くかと思った。もはや自分でもなにがしたいのかわからない。就活しろよと言いたくなる。
前回は高円寺から中野方面に行ったので今回は阿佐ヶ谷方面へ向かった。これはあの有名な阿佐ヶ谷住宅の今の姿。

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当時の様子は写真でしか見たことなかったので取り壊されてしまう前の姿を見てみたかった。そのまま善福寺川沿いを歩いた。

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遠くにずっと白いタワーのようなものが見えていたのでそれを目指して歩いた。

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高いところに登ればあのタワーをもっと見れるかもと歩道橋へ行ったがビルが邪魔して見えなかった。ほんとだったら左に見えるはずなのに。

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いつの間にか高井戸駅周辺まで来ていた。そこから神田川沿いを歩いた。どこからでも白いタワーは見える。僕にとってこの風景はなんでもないものに過ぎないけれど、もしかしたら誰かにとっては特別な思い出の風景だったりするのかもと想像した。

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神田川沿いの高井戸から富士見ケ丘を過ぎて久我山までの道のりは意外にも緑に溢れていて東京じゃないみたいだった。

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川沿いの階段は長い。

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久我山に着いて向かったのは都営久我山アパート。この珍しい給水塔が見たかった。櫓みたいだ。

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アパートも階段が外側に面しているのがたまらなく良い。

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いつかそれぞれ違う場所にある団地の番号を1〜10ぐらいまで集めたい。

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どこにでも猫はいる。

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帰りは足がぼろぼろになってしまったので不覚ながら電車に乗ってしまった。冗談抜きで足の裏の皮がべろべろに剥けてしまって痛過ぎてやばいです。もはや散歩のレベルじゃなかった。来週からはまた就活を始めなければ。

 

 

良いY字路に出会えたことなど

とても暇になってしまいました。無事就職先が決まったわけではなく、受けていた企業全てに落ちてしまったからです。これがこだわりを持って就活した結果です。とりあえず、また1からのスタートということで頑張っていこうと思います。しかし張り切りすぎないで卒業するまでに働くところが見つかればいいやぐらいのスタンスでいこうと思います。

とりあえずやることがないので昨日は写ルンですを買って散歩をした。写真を撮りながら3時間ほど住宅街をさまよった。気づいたら10キロも歩いていた。撮った写真をさっそく現像したので適当に貼っていく。夕方に散歩したのとフィルムなので見にくいのは申し訳ないです。

なかなか良いY字路に出会えた。わかりにくいのだけど真ん中のアパートの側面が青いタイルなのが味わい深い。

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このアパートは、くり抜かれた丸いところが好きで撮った。

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青い柵が最高な秀和レジデンス。

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そのすぐ近くにある誰も住んでいない団地らしき建物。

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このブログで何度か書いている好きな場所の囲桃園跨線橋からの景色と跨線橋に描かれた絵。

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奥に猫が2匹いたので撮った。

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教会。

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あとは適当に住宅街の写真。

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なんてことない景色ばかりなのに写ルンですで撮っただけで全ての写真が叙情的になってなんだかずるい。散歩中は叙情のかけらなんかなくてずっとアルコ&ピースのオールナイトニッポン聴いて1人でニヤニヤしてただけなのに。

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終わり。

 

『キリング・アンド・ダイング』や羽衣『愛死に』のことなど6月5日〜6月11日

月曜日

お昼から面接。就活してて気付かされたのは、世の中で求められる「普通」ってめちゃくちゃ高いところにあったのだなということに尽きる。これまで自分のことを普通の人だと思ってたのだけど、よくよく考えるといわゆる普通の人だったらサークルとかに入って楽しそうな大学生をやっているはずだ。それが今の普通というものなのだ。自分でも気付かない内に「普通」から遠く離れてしまっていたらしい。


火曜日

深夜ラジオ好きとして佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』を読んだ。アルコ&ピースのオールナイトニッポンががっつり小説の内容に関わってくるので、読みながら思わず笑ってしまう。まさかビッグ・テキサンという文字を小説の中で目にする日が来るとは。くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンも少しだけ登場する。ツイッターであったりニコ動なども重要な要素として作中で描かれていてまさに現代にしか書かれない小説だ。10年後になんとなく読もうとした人にとっては、意味のわからない固有名詞だらけになるのではないかと思う。しかし、正直なところあまりにもくだけた文体に読みにくさを感じてしまった。


水曜日

この日は朝から面接。午前中に終わったのでそのまま新宿に向かい石井裕也監督の『夜空はいつも最高密度の青色だ』を観た。最果タヒの詩集をどんな風に映画にするのだろうか思っていたけれど、想像の何倍も素晴らしい作品だった。この時代、特に東京という街を見事に掬い上げていた。ある意味で現在の新宿と渋谷の記録映像にもなっている。池松壮亮石橋静河の演技も素晴らしくて、個人的には何度かある石橋静河が歩きながらくるくると回るシーンが好きだった。ピカデリーで観たのだけど、エスカレーターで降りる時に外に広がる新宿の街並みを目にして不意に泣きそうになってしまった。

 

木曜日

この日も面接。夜はこまばアゴラでコトリ会議『あ、カッコンの竹』を観た。初めて観た劇団の作品だったのだけど面白かった。しかし上手く言語化できない。面白かったことは確かです。


金曜日

なんにもしていない。


土曜日

久しぶりに神保町へ行った。適当に古本を見て回って、三省堂坂元裕二が特集されている『熱風』を手に入れ、ずっと読たかったエイドリアン・トミネの『キリング・アンド・ダイング』を買った。

キリング・アンド・ダイング

キリング・アンド・ダイング

いい値段がするのでなかなか手を伸ばせなかったのだが買って損はなかった。6つの短編が入っていて、そのどれもが胸を締めつけるような切なさを持っている。個人的に好きだったのは、ポルノ女優とそっくりだという理由で人生がうまくいかない女性を描いた「アンバー・スウィート」という作品と表題作の「キリング・アンド・ダイング」でした。どの作品も淡々とコマが進んでいくのだけど、その一コマ一コマの間には時間の経過や感情の動きが潜んでいる。とにかくおすすめです。


日曜日

芸劇でFUKAIPRODUCE羽衣『愛死に』を観た。これまでにいくつか羽衣の作品は観てきたけれど今回が一番だったかもしれない。羽衣はいつでもとてつもない熱量で生と性を描いてきた。しかし今回はそこに色濃く死というものが加えられたことによって、より一層燃えるような生を見た気がする。大きな物語的なものがないのも素晴らしいです。

『ひよっこ』のことや『三の隣は五号室』など 5月29日~6月4日

月曜日

くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンがまたまた復活した。復活もこれで3回目ということでこれまでの特別感よりは、通常の放送といった感じでずっとくだらなくて最高だった。布団に潜りながら1人で笑ってる時間が我ながらたまらなく愛おしい。深夜ラジオのある生活が当たり前になってる身としては社会人になって働き始めたらどうなるのだろうかと思う。聞かなかったら聞かなかったで生活にまったく支障はきたさないんだろうなと想像してしまうことが悲しい。爆笑問題カーボーイに関しては中3から聞いてるので離れてしまいたくないな。

 

火曜日

この日の『ひよっこ』も泣けた。まず、澄子の「おれ、和夫さんの娘になりてえわ」で泣いて、その後の食堂でみんなが山羊の鳴き真似をしたシーンで泣いた。なんてことないシーンなのに向島電機がなくなってしまうとなってからは、乙女寮の彼女たちの全てが愛おしい。

 

水曜日

この日の『ひよっこ』も泣けた。「見上げてごらん夜の星を」を合唱するシーンで号泣ですよ。この週のタイトル「小さな星の、小さな光」はここからの引用で、まさにドラマのテーマとぴったりだった。

 

木曜日

長嶋有『三の隣は五号室』を読んだ。

三の隣は五号室

三の隣は五号室

 

ほんとに素晴らしくて、読み終わった後にこれまで住んできた家の記憶が蘇ってきた。転勤族だったので幼稚園から小学校4年まで計4回引っ越しをしてきたのだけど、いまだにその間取りを覚えている。というよりもこの本読んで思い出した。これまで住んできた家のすべてに、今は自分の知り得ない誰かが生活していると考えると不思議だ。そして、今の一人暮らしをしているアパートの部屋にも歴代の住人の幾人もの生活があったわけだ。ちなみに築23年のアパートなので自分と同い年。僕が生まれたその時には、このブログを書いている部屋には恐らく初代の住人がいたということになる。

 

金曜日

この日の『ひよっこ』53話は、これまでの中で一番良い回だった。素晴らしいセリフで溢れていた。立て壊されてしまう工場に豊子が立て籠もった時にみね子が言った

悲しいけど無くなんないよ、無くなんない。私たちがずっと忘れないでいれば、工場は無くならない。ずっと無くなったりしない

そして豊子が無事に工場から出てきた後のみね子による独白の

豊子の小さな反乱は時間にしたらほんの何分かのことで歴史に残るようなことではないのかもしれないけど、たしかに今ここで起きた事件です。私の歴史年表ではとっても大きな出来事になると思います。いつかみんなで笑い話にしてやろうと、何度でも笑い話にしてやろうと思いました

ほんとに素晴らしい。もう最終回を迎えるかのようなセリフだ。こんな良いセリフを聞けただけでも満足なのに、最後のみね子によるモノローグがさらに素晴らしかった。

お父さんへの心の手紙ではどうしても私の近くにいる人の話になってしまうけど、ここには大勢の乙女たちがいました。みんなそれぞれに、私とおんなじように物語があります。なんだかそれって、すごいなあと思います。そんな物語がものすっごくたくさんあるのが、東京なのかなあって思いました

まさに『ひよっこ』で描かれていることのすべてが詰まっている。たった15分の中にこれだけのセリフがあるってどうかしてるし、下手な人だったら臭くなってしまうようなセリフなのにそうならない脚本の素晴らしさよ。

 

土曜日

家に引きこもっていた。

 

日曜日

シベリア少女鉄道『たとえば君がそれを愛と呼べば、僕はまたひとつ罪を犯す』を観た。とても高度なことをやっているのに本当にくだらなくてめちゃくちゃ面白かった。最後は客席から拍手喝采であんなお芝居の終わり方は観たことなかった。よくある映画とかドラマのゾンビって生前の習慣と同じ行動をするので、過去の「きっかけ」に囚われてしまった人たちの動きに納得でした。

ここ数週間のこと

就活の諸々で忙しくあまり更新できていませんでした。就活に関してはまったく順調ではないのでどうしようかと考えています。

そういえば先週の24日で23歳になった。年齢を重ねることに特になにも思わなくなってしまったのでいつの間にか30歳ぐらいになっていそう。だけどどんな年齢になっても、年下の人に「若いねー」とか死んでも言いたくない。同年代でそういう人を見かけると恥ずかしくる。そんな時はいつも自戒の意味も込めて「成熟してない考えで頭はいっぱいなのに、なんでもう若くはないとか言っちゃってんだろ」というFUKAIPRODUCE羽衣の歌詞を思い出します。

最近の楽しみは相変わらず毎日『ひよっこ』を見るぐらい。あとは先週だと『キングちゃん』の「冷やし漫才王」がどうかしてるんじゃないかってぐらい面白かった。ある程度それぞれの漫才の定型を知っているから面白いってのはあるのだけれど、本当に漫才の新たな可能性を見た気がした。映画は2週間ほど前にやっと『牯嶺街少年殺人事件』を観た。そりゃ素晴らしいに決まってるわけで。台湾に無性に行きたくなってしまって旅行した時の写真ばかり見返してしまう。

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来週からユジク阿佐ヶ谷で台湾映画特集があるらしいので台湾欲を埋めるためにも通いまくります。

今週は久しぶりにお芝居をたくさん観に行った。木曜日はナカゴー『紙風船文様』をあさくさ劇亭で観た。岸田國士の戯曲をちょうど大学のゼミで読んだばかりだったのでタイムリーに楽しめた。いくら原作があるとはいえ、完全にナカゴーの作品に仕上がっていた。金曜は芸劇でイキウメ『天の敵』を観た。ほんとに傑作でした。何から何まで完璧で舞台に視線が釘付けになった。前川知大天才だ。僕は観れていないのだけど『散歩する侵略者』が黒澤清によって映画化されるらしいのでそれも楽しみだ。日曜はあうるすぽっとで木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談』を観た。6時間の長丁場まったく飽きることなく楽しめた。牯嶺街もそうなのだけど面白いものはどんなに上演時間が長くても耐えることができるし、それだけの時間を費やすに値する。昨年観たコクーン歌舞伎東海道四谷怪談よりも素晴らしかった。ロロの亀島一徳も大活躍でした。これだけ面白いものを1週間に3つも観れて満足です。

音楽は柴田聡子『愛の休日』をずっと聴いている。

愛の休日

愛の休日

特に「後悔」と「あなたはあなた」と「遊んで暮らして」は、曲も良いし歌詞も素晴らしい。この中で一曲選ぶなら「あなたはあなた」かなあ。ライブに行きたいものです。