記録

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僕のイヤフォンや『この世界の片隅に』など 11月14日〜11月20日

月曜日

朝、音楽を聴きながら駅の階段を登っていた。上からすごい勢いでおじさんが下りてくるので怖いなあと思っていると、おじさんの腕が僕の上着のポケットから伸びていたイヤフォンのコードに引っかかった。引っ張られたiphoneがポケットから飛び出し階段を滑り落ちていく。おじさんは後ろを振り返ることもなく腕に引っかかったイヤフォンを、ゴミを捨てるように階段の下に投げた。たしかにいきなり腕に白くて長いものが巻きついていたら驚くかもしれない。しかし、投げ捨てなくてもいいではないか。僕は呆然とするしかなくて、階段の下に落ちたiphoneとイヤフォンを人混みの中から拾った。やるせない気持ちになった。

大学から帰ってきてバイトも無く暇だったのでアップルパイを作った。我ながらに美味しくできた。バニラアイスを買ってきたりしてアップルパイの上に乗せたりなんかして最高だった。

 

火曜日

大学で授業を受けてからバイト。一緒にシフトに入った人が1年ぶりに実家に帰ったと言っていた。友達と会ったりどこかに行った?と聞くと、誰とも会ってないしどこにも出かけてないけど、しまむらだけ行きました!教えてくれた。

 

水曜日

シャムキャッツの新譜『君の町にも雨はふるのかい?』を買った。

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とても良い。しかもアルバムではないのに10曲以上入っているのだ。

「すてねこ」という曲が好き。

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木曜日

2回目のロロ『すれちがう、渡り廊下の距離って』を観に行く。何回観ても素晴らしい。一瞬一瞬が愛おしくて仕方ない。

横浜から帰る途中、新宿で月曜日に起きたことと全く同じことが起きた。またもや知らないおじさんの腕が僕のイヤフォンに引っかかったのだ。案の定ポケットからiphoneは飛び出すし、イヤフォンはおじさんの腕に絡みつく。しかも今回はおじさんが腕にイヤフォンが絡みついたことに気づかない。スタスタと歩いていくおじさんを必死に追いかけるも群衆の中におじさんと僕のイヤフォン消えて行った。1週間に同じことが2回も起きるなんてどう考えても僕のせいだ。あのイヤフォンは今頃どうなっているのだろうか。腕に絡みついていることに気づいた瞬間におじさんはどんな反応をしたのだろうか。

雨宮まみさんが亡くなったというニュースをツイッターで見かけた。たまたま岸政彦さんと雨宮さんの共著『愛と欲望の雑談』を読んでいたので驚きと共に自分でも理解できない気持ちになった。岸さんが雨宮さんの死に際してネットに書いていたことに胸を打たれた。

 

体に気をつけてとか、なにかひとこと声をかけたらよかったのかなと思います。たぶん、雨宮さんに少しでも関わりのあるひとは、全員同じことを思ってるでしょう。

間に合わなかった一言があって、でも、間に合った一言もたくさんあると信じたいです。ちょうどいいタイミングでかけられるちょうどいい一言が、実は、自分たちも気づいてないだけで、この世界にはあふれてるんじゃないでしょうか。それが間に合ってくれたおかげで、私たちはその存在に気づかないだけなんです。ほんとうはそういう一言がたくさんあって、それで私たちは何とかやっていけているのだろうと思います。

自分たちでも気づかない、そういうことがたくさんあって、この世界が成り立っている。そう信じたい。

 

 

金曜日

この世界の片隅に』を観た。誰がなんと言おうと傑作に違いない。その生活描写に胸を震わされた。戦争があろうがなかろうが、常に生活は私たちの目の前にあってそこを生きているのだ。しかし、事実として戦争はあった。気づかないうちにじわじわと迫ってくる戦争はいつの間にか生活を侵食し始めるのである。丁寧に生活することこそ、それへの唯一の抗いなのかもしれない。反戦などというわかりやすいメッセージが語られることもなく、観客の想像力に任せている点も良かった。また、微笑ましい場面も多く、劇場でも笑いの声が多く上がっていていい雰囲気だった。しかし、平日ということもあったせいか年齢層の高さに驚いた。40代以上が8割方を占めていた。若い人こそ観るべき作品だと思う。

作中は呉が舞台なわけだが、2年ほど前に呉に行ったことを思い出した。これは呉の軍港の写真。

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映画を観た後だと2年前とはまた違った風景に見える。

 

土曜日

ずっと家にいた。柴崎友香が文を書いた絵本のような『いつか、僕らの途中で』を読んだ。今は絶版になっているのでネットで古本として手に入れた。

いつか、僕らの途中で

いつか、僕らの途中で

 

遠距離恋愛をしている男女の手紙交換の物語だ。どこかとどこかという柴崎友香らしいテーマだった。

 

日曜日

来月に台湾に行くので旅行本を探しに色々と本屋を回った。2度目の台湾なので珍しいところに行ってみたいと思い、面白い場所を紹介している本を探したのだがいいものが全くなかった。挙句の果てには代官山のツタヤにまで足を伸ばしたがめぼしいものは見つからなかった。代官山という超絶おしゃれな場所で肩身の狭い思いをするだけだった。歩いている人みんなが自信に満ち溢れているというかお金を持ってそうというかとにかく苦手だ。収穫のないまま、家に帰ってきてラジオを聴きながら部屋の掃除をした。夕飯にごま豆乳鍋を食べた。美味しかった。