記録

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歩いて帰る

仕事が21時半に終わり、職場を出ながらさてどうしようかと考えた。明日は仕事が休みだ。休みのピークは休みの前の日の夜にあると思っていて、お腹いっぱいになるまで好きなものを食べたり、まとめてバラエティ番組や映画を見たり、ラジオを聞いたりして夜ふかしをする。人生においてこの数時間はこの上ない至福の時間である。今日はこの時間を何に費やそうかと考えた末、歩こうと思い立った。職場から自宅まで歩いて帰るのだ。本当に毎日仕事が辛いので思い切ったことをして逃避したくなったのだ。グーグルマップで調べると4時間弱。なんの根拠もないが、歩ける、と思った。春がすぐ目の前に来ているような夜で、少し肌寒いが歩いているうちに温かくなるだろう。そうと決まれば歩き出すしかない。

職場のある品川区から家を目指す。21時を回った平日の夜は住宅街に入ってしまえば人はまばらになり、街灯も少なくなる。マンションが立ち並ぶ中を歩いていくと、すぐに都内で一番の急坂に出くわした。まぼろし坂というらしい。

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自宅までの道のりにこの坂を登る必要は特にないが、一番の急坂と言われてしまえば登りたくなる。いざ登ってみると、もっと急な坂あるんじゃないかと思ったが4時間の帰路の前にほどよい足のトレーニングになった。登った坂をくだり、住宅街の中を進んでいく。高輪エリアに近づくと分かりやすく良い家が立ち並んでいる。タワーマンションや豪邸などの窓の明かりを見るたびにこの先こんな家々とは一生縁がないだろうと思う。これからもきっとアパートとマンションの間のような賃貸を転々とするのだ。それにしても高輪は異様なまでにお寺が多い。数メートル進むごとにお寺が現れる。誰もいないお寺の横を通るのはどこか怖く、びくびくしながら歩いているとふっと青い制服の人が遠くに見え、幽霊…?となって近づくと警備員だった。警備員が入り口に立つその建物はやけに緑に囲まれ、ただならぬ雰囲気があったのですぐにグーグルマップで確認すると高輪皇族邸だった。こんなところに皇族関係の住居があるとは知らなかった。高輪皇族邸を過ぎたあたりから住宅は少なくなり、ビルが増えてきた。ビルになにやら反射して見えるものがあると思ったら東京タワーだった。

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田町まで歩くとはっきりと東京タワーが目の前に現れた。東京タワーのオレンジの明かりはどこか安心する。

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夜の22時半くらいになりさすがにお腹が空いたのでファミマでファミチキとスパムむすびを買い食べながら歩いた。この周辺は異様にファミマが多い。さらに歩き進むと芝公園が現れ、遠くに虎ノ門ヒルズが見えた。内幸町の方へ歩くと日比谷公園にたどり着いた。一度だけcero野音ライブに来たことがあるなと思い出した。すぐに皇居外苑のお堀が見えてきた。この時点で23時もまわり人はほとんど歩いておらずしんと静まりかえっていた。

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お堀の端に立つこの謎の休憩所のような建物が気になり調べると江戸城だった時の守衛所跡らしい。

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皇居を過ぎて大手町に着くとビルとビルの間にかの有名な将門首塚が現れた。

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夜24時の首塚は怖いがあまりに整備されていて怖さは半減した。

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一応手を合わせてお参りをした。大手町から神田、秋葉原方面へ歩き進む。聖橋を渡ると秋葉原秋葉原はこれまでとは違いわずかに人が歩いていた。終電はもうない時間だが彼らはどこへ行くのだろうか。天下一品が現れ、これは先週のオードリーのラジオで春日が話してい天一ではないか!と1人興奮した。記念に写真を撮っておいた。

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秋葉原から御徒町、上野まで歩き進める。深夜1時に上野公園にたどり着いた。

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深夜2時過ぎに無事家に帰宅することができた。4時間以上歩き続け、最後の30分は足を引きずるようにしていたがしんと静まりかえった東京の夜を1人歩くのは驚くほど心が満たされた。普段電車に乗っていると地名という点と点をワープしているような気がしていたが、歩くことによって線となり東京の土地をより正確に捉えられた気がする。結局のところ仕事の辛さを紛らわすための長時間の散歩だったが謎の達成感と疲れによる安眠を手に入れられたので良しとする。

 

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ふがいない僕の社会距離日記 とりとめのない - GRIN | はみだした生き方も悪くない、と笑える世界。