記録

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夏野菜

実家からたくさんの野菜が届いた。祖父母の家の畑で獲れたもので、今年は父と母が一緒に育てたらしい。その野菜たちを粛々と毎日調理し食べている。まずは、きゅうり。これは、一口大に切り、塩昆布で和えた。副菜にちょうどいい。トマトはかなり熟れていたので、中華だしを入れた卵と炒めて中華風トマト卵炒めを作った。みょうがとオクラは刻んで、少しだけ余った塩昆布きゅうりと混ぜた。それをご飯にかけたり、そうめんに乗せて食べたりした。ナスは、煮浸しと天ぷらにした。ししとうは、フライパンで軽く炙り、醤油を垂らして食べた。こんな感じで夏野菜を毎日食べている。どれも特にレシピなどなく、なんとなくどこかで食べたことのあるものを想像しながら作っている。みょうがとオクラときゅうりを和えたものを食べた時に、これは山形だしだ!と気が付いた。昔山寺のふもとの蕎麦屋で山形だしそばを一度だけ食べたことがあり、その時のことを思い出した。ちなみに、実家からは桃も送られてきた。最近は、スーパーのすぐ入り口に桃が置かれていてその香りだけで思わず手に取ろうとしてしまうのだが、値段とにらめっこをして結局やめるみたいなのを繰り返していたので実家からのダンボールを開けた時に桃の香りが漂ってきてとても嬉しかった。3つの桃を毎日大切に食べた。大切にというのは嘘で、皮をむいて切り分ける前に一口かじり、その美味しさにそのままかぶりつき食べ切ってしまうというのを3日連続でやってしまった。桃の美味しさに抗えない。

とても久しぶりにブログを書くので一体なにから書いていけばいいか分からない。コロナ感染者は5000人を超える日がざらにあり、その中でいつの間にかオリンピックが始まり終わっていた。ワクチンも打ち、2回目はしっかりと熱が出た。結局、開会式と閉会式以外はなにも観なかった。やはりどうしてもスポーツに興味が湧かない。しかし、甲子園はテレビで放送していると見てしまう。いつエラーをしてもおかしくない危うさや、流れが変わる瞬間がはっきりと分かるから好きだ。当人たちにとってはそんな危うさなんてなくなって欲しいに決まっているが。

もう2ヶ月も前のことになってしまうが、ロロのいつ高シリーズファイナルの『ほつれる水面で縫われたぐるみ』『とぶ』を観た。まず、いつ高シリーズをすべて劇場で見届けることのできた喜び。STスポット、アゴラ、どらま館、KAAT、吉祥寺シアターと色々な場所へ行った。僕にとってのいつ高は、1作目のカーテンの揺れに全てが詰まっていたので、最後の『とぶ』で再びカーテンの揺れを見た瞬間に終わってしまう寂しさでいっぱいになった。教室が反転し、観客が外になった時も、その演出の巧みさと寂しさが同時にやってきた。いつ高番外編をいつかやりたいと三浦さんが書いていたので期待して待つ。

7月は、ほりぶん『これしき』、蓮見翔『夜衝』を観た。『これしき』は、いつものことながらめちゃくちゃに面白かった。ナカゴーとほりぶんの公演を観て後悔したことがない。期待以上のものを観ることができる。大声だけど内容は繊細。相変わらずのチェーン店固有名詞も健在で、今回は、モス、スタバ、バーミヤンベローチェが出てきた。そして次回公演は紀伊國屋ホール。広い劇場で公演をしているほりぶんが想像できないがとても楽しみ。『夜衝』は、玉田企画の玉田さんとテニスコートの神谷さんが企画し、ダウ90000の蓮見翔さんが作演出のコント公演。ラブレターズの溜口さんやロロの森本さんなどが出演していた。どのコントもとても面白かったが、「ランチタイム」がずば抜けて凄かった。この新鮮さは、『関西コント保安協会』を観た時と同じ感覚だった。

映画は、細田守『竜とそばかすの姫』を観た。細田守脚本特有の冗長さや無駄が目についたが全体としては楽しめた。しかし、終盤の大人たちには、おい!それはだめだろ!と言いたくなった。あれは許してはいけない。横浜聡子『いとみち』も観た。これがとても素晴らしかった。朝ドラで放送されていてもおかしくない紛うことなき青春映画だ。自分の中で津軽弁の作品といえば山田百次さんの『或るめぐらの話』で、映画を見ながら思い出していたら山田百次さんが出演していて驚いた。

漫画は、大山海『奈良へ』が面白かった。変な漫画なのだが、現実と虚構が入り混じる作品は好きなのでたまらない。現実と虚構と言えば、藤本タツキ『ルックバック』が本当に素晴らしかった。いくつも好きな要素があったので並べていく。まず、認められた喜び、誰かが見ていてくれた喜びを味わう雨のシーンの美しさ。そしてまんが道的な青春。あり得たかもしれない世界が、藤野と出会っていなくても京本が漫画を描き続け同じ運命を辿ること。あり得たかもしれない世界の中で描かれる希望。これは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でも描かれたことだが、『ルックバック』はそこに留まらず、虚構(フィクション)の力によって現実に立ち返り、再び漫画を描き始めるのだ。あの背中が忘れられない。現実と虚構の接続の仕方だったり、映画的な構図や時間の描き方などとにかく好きだった。

アニメは、『オッドタクシー』を観た。良い評判を散々聞いた後に観たのだが、そのハードルを軽々と超えてくる傑作だった。終始温度感が低い中で描かれる、都市生活者の孤独と夢を追うものたちの物語。オーディオドラマも面白い。

本は、栗原康『サボる哲学』と上野千鶴子鈴木涼美『往復書簡 限界から始まる』を読んでいる。

ラジオは、最近の『ハライチのターン』で岩井さんがこち亀葛飾ラプソディを長尺で歌う展開がたまらなく好きだ。低いテンションのまま歌い上げるので電車の中でニヤニヤ笑ってしまう。『霜降り明星オールナイトニッポン』の陰毛みくじを管理できるかどうかの20分に渡る喧嘩も面白くて印象に残っている。『三四郎オールナイトニッポン0』は、2部に降格してから明らかに面白さにブーストがかかっている。水シャワーとか、今週のポピーポロコンにもゲラゲラと笑った。『ゴッドタン』の「ラジオ芸人サミット」は、空気階段、マヂラブ、三四郎で納得の3組。『99人の壁』も芸人深夜ラジオのクイズで熱かった。ラジオを聴いている時間がなによりも好きだ。

最後に、久しぶりに本を作った。『生活記録』という本でこれまでに作った『やがてぬるい季節は』と『日々はすべて穏やかな一日に』を合本したものだ。表紙は三好愛さんで、帯は木下龍也さん。いつもは文フリのために作って終わり、作って終わりの繰り返しだったのだが、今回は書店に長く置いてもらえる本を作ろうと思い制作した。ありがたいことに全国の15店舗ほどの個人書店に置いてもらえることになり、今ではほとんどのお店で品切れなってしまった。書店に自分の本が置いてある風景はいつ見ても嬉しい。これはSUNNY BOY BOOKSの店頭。

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もうすぐ増刷分が届くので、早く納品したい。『生活記録』のあとがきには、『見えない性的指向 アセクシュアルのすべて』や『A子さんの恋人』、『大豆田とわ子と三人の元夫』のかごめについてなどを書いた。一応、数日後に増刷分が上がってくるので下記のサイトから購入もできます。

生活記録 | 記録

 

今は雨がしとしとと降っていて、久しぶりにエアコンをつけずに過ごしている。窓からの風が心地よい。本当に夏なのかと思いたくなるが、きっとまたすぐにうだるような暑さがやってくる。いつだって夏はそうなのだ。