記録

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春の夜の公園の7時1分の時計

ダンボールの中にぎっしりと詰められた何百本ものアダルトビデオにひたすらシールを貼り続けた。異動して2日目の出来事だ。ここ数年、変化しかない4月を過ごしている。2年前に今の会社に中途で入社し、1年目で異動。そしてまた1年で異動だ。その場に慣れることなく様々な場所を転々としている。そして3年目の今はアダルトビデオにシールを貼っているのだ。新しい場所に慣れることが本当に苦手なので毎日胃がきりきりしている。
もう東京の桜の季節は過ぎてしまい、道路の端には薄汚れたピンクの花びらだけが微かに残っている。休みの日は狂ったように散歩をして写真を撮っていたので幸いにも色々な場所の春を閉じ込めることに成功した。

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桜ばかりだ。春なのだから仕方ない。ちなみにビルの写真は上から京橋、上野、立川だ。京橋の春。上野の春。立川の春。春をつけるだけで素敵に思える。春をつけなければ夏にも秋にも冬にもみえる。写真フォルダには春の夜の公園まである。

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春の夜の公園の7時1分の時計もある。

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僕の今の写真フォルダは春にまみれている。

送別会が相次いだ。3日連続で送られる人となった。3日連続でお金を出さず夕飯を食べた。色紙に書かれていた言葉のほとんどは、「優しい」「穏やか」だった。僕は優しいのではなく誰かを甘やかしているだけだし、穏やかなのではなくその場を穏便に済ませたいだけなのだ。怒られたくないし怒っている人を見るのも嫌だ。それにしても、遅れて参加した飲み会で言われる「もうみんな食べてるから好きなもの頼んで」という言葉に緊張してしまう。趣味は映画鑑賞ですと言った時の「どんな映画観るの?」ぐらい緊張する。僕が頼むものなんて誰も気にしていないのになぜだか気にしてしまう。

評価面談があった。僕は自分の手の届く範囲の仕事しかすることができない。誰かを動かすとか使うみたいなことができない。でも組織で働くとどうしてもそういう能力が求められてしまうので辛い。なるべく自分の周りだけで完結する仕事がしたい。会社という組織で働く以上難しいけど。

異動前の最後の出勤日に、近くにある行ったことのないラーメン屋さんでお昼を食べた。近くに座っていた小さな女の子がチャーハンを食べながら「良い色だね、チャーハンの季節だね」と言っていた。良い色のチャーハンがあるとしたらそれはうす黄色でべちゃっとしていなく、チャーハンの季節があるのだとしたらそれは土曜日の実家のお昼だよなと思った。

この前の土曜日に、学芸大学駅へ行った。姉夫婦がしばらく前にマンションを購入したので遊びにいったのだ。手土産に可愛いお菓子を持っていったら気が利くじゃんと褒められた。マンションはリノベーションされていてお洒落な建築事務所みたいな装いだった。自分の荒れた部屋を思い出して悲しくなった。しばらくおしゃべりをして家の周りを散歩をしてから別れた。僕はそのまま「SUNNY BOY BOOKS」へ行った。年明けから店長になった方が元同僚というか先輩なのでここでも手土産を渡してしばらくおしゃべりをした。一方的にシンパシーを抱いているのでたくさん話をしてしまった。ELVIS PRESSから出ている歌集『ここでのこと』と夏葉社から出ている小山清『風の便り』を買った。とても良さそうな本たちだ。いつでもそこに知っている誰かがいるという安心感は大きくて、いきつけのバーとかがある人はこんな感じなのかなと思ったりした。さよならをしてから渋谷へ向かい、Bunkamuraのル・シネマでエドワード・ヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』を観た。初めて観たのは5〜6年前で、大学の図書館で借りて観たのだ。数年ぶりに観たが本当に素晴らしい映画だと改めて思った。結婚式で始まり葬式で終わるという筋書きからして、この映画は私たちが人生で経験する全てが描かれているのではないかとさえ思う。さらにはすべてのショットが豊かさに満ちている。スクリーンいっぱいに広がる完璧なまでのショットにうっとりした。人生で1番好きな映画は変わりなく『ヤンヤン 夏の想い出』だ。

今月の『かがくのとも』5月号の付録に今井麗さんのポスターが付いているので買った。早速部屋に飾った。

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映画館でもらった『ヤンヤン 夏の想い出』のチラシもちゃっかり壁に貼った。部屋にポスターを貼るみたいなことをあまりしたことがなかったのだがこれだけで空間に少しだけ豊かさが生まれたような気がした。いつか今井麗さんの本物の絵を買いたい。

ドラマは今のところ『生きるとか死ぬとか父親とか』と『大豆田とわ子と三人の元夫』を観ている。どちらもとても面白いのでこれからの楽しみだ。ラジオは『マヂカルラブリーのANN0』が抜群に面白くて、『ぺこぱのANN X』も『フワちゃんのANN X』も最高。ラジオ黄金期だ。特にフワちゃんのラジオは元気がでる。