記録

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ごとんと落ちるアボカドの種

今日、仕事の休憩中にコンビニへ行ったらナンチャンを見かけた。そう、南原清隆だ。カゴを持ってローソンをうろうろしていた。そして、職場に文章を書いたり本を作ったりしていることがばれた。並列して書いたがここにはなんの関連性もない。ただ1日の中で起きたことを書いただけだ。増刷分が納品され、絶賛発送作業中の『生活の途中で』が荻窪の本屋Titleに置かせてもらえることになり、Titleのツイートを見た職場の人にばれたのだ。書店で働いていれば、そりゃばれるか。自分の本を置きなよと言われたが悩ましい。そんなことより、Titleに置かせてもらえることが本当に嬉しい。

今は、仕事帰りで駅のホームで電車を待っている。もう12月も終わりに差し掛かり、じっとなにかを待っている時はいつだって手をコートのポケットに入れてしまう。この前、中野駅のホームでベンチに座りながら電車を待っていたら、目の前にある自動販売機の横に置かれたゴミ箱に、「ペットキャップ」と書かれた専用の箱が備え付けられていた。ペットキャップ?とハテナが頭に浮かんだ。もちろんそれがペットボトルのキャップを指していることは分かるが、自分の中でペットボトルのキャップをペットキャップと略したことがこれまでになかったので不思議な感じがした。言葉を略すのが本当に苦手で、誰かと会話している時も、相手が略した言葉を使おうがこちらは正しい名称を言ってしまう。「とりき行こう」と言われたら、「鳥貴族美味しいもんねー」などと返答する。

数週間前の怒涛の夜勤が終わったかと思えば、先週は朝7時に出勤などしていた。朝5時に起きて6時前に家を出ると外はまだ暗く、電車は空いている。ただ出勤しているだけなのに、なにか特別なことをしているような気になる。思わずカメラでうっすらと遠くに見える朝焼けを撮ってしまった。

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美しいものは揺るぎなくそこに在って、僕が普段寝ている時もこの瞬間は何度も訪れていることが惜しいような尊いような気持ちになった。

最近のことを思い出そうとしても、サイゼリヤへ行ったら求人のポスターに、「好きになったら正社員の路も」という文言があって、「路」ってなんなんだと思ったことしか思い出せない。使い方は正しいのかもしれないけれど、正しくないような気もする。あとは、つくねが食べれなかった日もあった。お世話になっているナナロク社の村井さん、歌人の岡野大嗣さん、木下龍也さんとご飯を食べに行ったのだが僕だけ遅れていくと、その店の名物だというつくねが完売して食べることができなかった。他のお三方の目の前にはつくねの串だけがあり、いかにそのつくねが美味しかったかということを語られ、写真を見せられた。悔しい。『生活の途中で』を皆さんに渡したら、木下さんがなんで声をかけてくれなかったんだとしばらく言い続けていた。ミワくんは岡野さんにはハマってるけど俺にはハマってないと言っていた。今度本を作る時は木下さんに声をかけよう。大好きで尊敬する3人だ。数日前に発売された、木下さん、岡野さん、谷川俊太郎の共著『今日は誰にも愛されたかった』もとても良かった。題名になっている岡野さんのこの短歌がとても好きだ。

四季が死期にきこえて音が昔にみえて今日は誰にも愛されたかった

こんな事書いているとまた木下さんに俺にハマってないと言われてしまう。

くどうれいんさんが書肆侃侃房のwebで書いていたエッセイ「うたうおばけ」の連載が終わった。とても好きだった。特に、最終回の1つ前の「抜けないボクシンググローブ」がとても良かった。

第15回 抜けないボクシンググローブ(くどうれいん)|書肆侃侃房 web侃づめ|note

特に、この部分がたまらない。

最悪なゲーセンから帰る途中、車はどんどん海へ、そして工場夜景に近寄った。「仙台で実はいちばんきれいだと思う」とミドリは言い、車を停めてくれた。潮風の混ざる夜の空気はキリっとして、生臭くて、とても気持ちがよかった。大きな工場をしばらくふたりで見上げた。湯気を出し紫や黄色にひかる大きな管はいつでも動き出せるようだった。星、きれーだね。とか、話していた。もうそろそろ仙台の暮らしも終わる。この夜のこと、ずっと覚えていたい、と思った。陳腐だし、そんなこと言ったらミドリはわたしのことを好きだから、きっとめちゃくちゃ喜ぶだろうと思って言わなかった。

「陳腐だし、そんなこと言ったらミドリはわたしのことを好きだから、きっとめちゃくちゃ喜ぶだろうと思って言わなかった」の一文に痺れた。

最近は、演劇も映画も観れていないし本も読むことができていない。どこから手をつければいいか分からないことが山ほどある。時折心臓が痛いし咳もとまらない。これが師走か。いや、関係ないな。短歌を詠みます。

なにもかも気づかないふりして目をつぶるごとんと落ちるアボカドの種

最後に最近見かけたガラス越しキャットで終わりにします。

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