記録

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金木犀の香りに敏感でいたい

道行く人たちがいつのまにかコートや上着を羽織っている。どうして暖かい日から寒い日へ移り変わるばっちりのタイミングで適切な服装をすることができるのだろうか。駅のホームでふと周りを見回すと、自分だけ上着を着ていないみたいなことが起きる。実は、国が管理してる超巨大なライングループみたいなのがあって、そこで全国民で口裏を合わせてたりするのではないか。

最近はというと、相変わらず仕事の休憩は深夜の公園にいたりする。さすがに寒くなってきたが、コンビニのおでんが美味しくて幸せだ。日勤の日に、いつも通り公園に行くと、ベンチの上にある木が金木犀だった。深夜の暗闇のなかではまったく気がつかなかった。この季節になると、金木犀の香りだ!みたいなことを言う人がいるが、あまり金木犀の香りが分からない。分かるんだけど、分からない。金木犀の香りに敏感でいたい。

この1ヶ月で観た映画は『HELLO WORLD』のみだ。演劇は、ゆうめい『姿』と、藤田貴大作『蜷の綿』『まなざし』だ。『HELLO WORLD』は、ロロの三浦さんがツイッターで絶賛していたので観に行った。がっつりSFであった。観ている最中は頭の整理が追いつかず、全体がぼんやりとしか見えていなかったのだが、観終わってこの作品のことをふと考える度に、ああそういうことかと輪郭がはっきりしてきて、素晴らしい作品だったと気がついた。誰かのことを想う気持ちで人が生き返るのは、ハイバイの『霊感少女ヒドミ』っぽいし、せめてデータの中だけでも幸せでいて欲しいというのは、身勝手ではあるけれど、世の中に溢れる物語の救いの部分であり、マキューアンの『贖罪』を思った。ゆうめいの『姿』は、これまでの作品の集大成といった感じで、セットや舞台を大きく使っていてとても良かった。しかしそこには変わらない切実さがあった。とても素晴らしかった。いや、素晴らしかったという言葉で片付けていいのかわからない。過去と現在が同時に舞台上に現れるのは演劇でしかなし得ないことだと思っているので、そういう表現が好きだ。あと、僕はダンスに弱い。舞台上でそれほど上手ではないダンスを踊られると泣いてしまう。この前、犬飼勝哉『ノーマル』を観た時にも思ったのだが、改めて三鷹芸術文化センターの星のホールはいい劇場だ。

『蜷の綿』と『まなざし』は、ああマームだなという感想を抱いた。5年以上前に初めてマームを観た時は、こんな表現があるのかと衝撃を受け感動したのだが、今では観に行く度にもういいかなと思ってしまう。それでも毎回観に行っているわけだが。

坂元裕二さんから、「行った旅行も思い出になるけど行かなかった旅行も思い出になるじゃないですか」Tシャツが届いた。朝ポストを開けたら届いていて、嬉しくて仕事に向かう途中で開封してしまった。

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最近は、シャムキャッツの「我来了」をよく聴いている。


シャムキャッツ - 我来了 / Siamese Cats - 我来了 (Official Music Video)

ジャケットもMVも可愛くて大好きだ。来月、姉とその夫と僕の3人でシャムキャッツ のライブに行くことになっている。どういうふるまいをすればいいのか分からず今から頭を悩ませている。シャムキャッツに夫婦でハマっているらしいが、何年も前にシャムキャッツを教えたのは僕だ。それにしても、「おしえない」のMVは本当に良い。あらゆる風景の断片がある。


シャムキャッツ - おしえない! / Siamese Cats - Reflux

今は、深夜の2時半でいつもの公園にいる。どこからか、虫の鳴き声が聞こえる。これほどブログを書かなかったのは、いつ以来だろうか。就活がまったくうまくいかなくて気分が落ち込んでいた以来かもしれない。あれから2年以上も経つのか。同い年の人は社会人3年目とかで、自分はまだ1年目のようなものだ。相変わらず、あらゆることから遅れをとっているが、まあいいか。

11月24日の文学フリマ東京に出る。その準備で忙しくて、最近書けていなかったと言い訳したい。文フリは、僕の大好きで尊敬する皆さんに文章を書いていただいてそれをまとめた冊子にする予定です。来ていただけたら嬉しいです。

最後に、かなり前になるがとても美しい夕焼けを見た。Y字路と左右の坂のズレがなんだか不思議だった。こういう瞬間を、なるべく忘れないで生きていきたいと思った。

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