記録

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なにかのワンシーン

最近は、あまりにも空が青すぎる日が多い。ロロのいつ高シリーズvol.7『本がまくらじゃ冬眠できない』を観に行った。舞台の上にたくさんの本が並べられていく様子はわくわくして、あっあれ読んだことある!あれもある!となるのが嬉しかった。いつものいつ高よりかは小ぶりな印象だったけれどロロらしさは健在であった。好きなセリフもいくつかあった。「とても気持ち悪いところをとても良いみたいに話すお姉ちゃんが私はとても好き」は、海荷の妹ビーチのセリフだ。海荷の元彼の太郎はとても気持ち悪いらしい。しかし、海荷にとっては好きな人だからそんな部分さえも良く見えるのだ。そしてその話をする姉が好きなビーチ。もう愛おしさがギュッと詰まっている。「私たちってなにかのワンシーンみたいなのかしら」も好きなセリフだった。また、雪の日に破って捨てたもう無くなってしまったかつてのラブレター(雪)を拾い集めて渡すシーンは、好きになった想いは消えないのだというロロらしさ全開の場面だった。全体を通して三浦さんの本への愛が伝わってきて、好きな本棚は自分の体みたいなものだという感覚は本当によくわかる。ちなみに劇中、『耳をすませば』の話が出てきたのだが、「やな奴やな奴やな奴」のシーンは僕の中ではもう堀未央奈でしか再生されなくなっている。この日の劇場は早稲田のどらま館だったので、そのまま大学で行われている早稲田青空古本市へ行き、本にまつわる黄金コースをキメた。次のロロの公演は、来年の6月で『LOVE03』ということらしいので楽しみだ。

観劇後、早稲田から神田川沿いを歩いて肥後細川庭園へ行くと、紅葉がとても綺麗だった。

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大学時代、ふらふらと何度か来ていたこの場所だが、秋に行くのは初めてで紅葉の美しさにしみじみした。紅葉を見に来ている人は年配の方が多い。庭園を出て、坂の多いこの周辺を散歩した。途中、電信柱で文字が隠れて読めない看板を見つけた。

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ちょっと回り込めば読めるわけだが、正解を知りたくなかったので見なかった。その時はまったくわからなかったのだが、いまこれを書きながら、「大きなお風呂」という正解へたどり着いた。となりに銭湯があったわけだからきっとそうだ。パッと見た時は、「好きなお風呂」だと思った。道中、この飛び出し注意の看板の少年の勢いに笑ってしまった。

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じっくり見たことがなかったのだが思ったより前傾姿勢で全力疾走感がある。無邪気さよりかは、お母さん倒れたって、と連絡をもらって急いで家へ走る少年のようだ。こんなくだらないことを考えながら坂を登りきると、夕方ということもあり美しい景色が待っていた。

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夕焼けに染まる東京だ。坂を下るときもたまらない風景が目の前にあった。

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先ほどの紅葉であったり夕焼けであったり、いま美しいと思えるものを10年後も20年後も美しいと思えているのだろうかと不安になる。紅葉にいたっては、年配の人が多く見に来ているため、いま綺麗だなと思ってしまったら年をとってからもうそう思えないんじゃないかと怖くなる。けれどもきっと、美しいなと思う気持ちにもバリエーションがあって、20年後に見たら違う美しさを感じられるのかなとも思う。そう信じていないとやってられない。散歩をしている時はずっと寺尾紗穂を聴いていた。最近は寺尾紗穂さんの新刊『彗星の孤独』をちょこちょこと読み進めている。今週は竹宮ゆゆこ『あなたはここで、息ができるの?』と新潮に載った岸政彦さんの『図書室』を読んだ。ここ数週間は読書のペースが良い。