記録

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姉の結婚相手に会う前の話

今日はこれから、姉の結婚相手と会うというとてもとても億劫なイベントが催される。家族間で、恋愛などの話題がまったく挙がらない家庭で育ったため、助走期間がなくいきなり付き合ってる人を紹介されるのは、当人を前にしてどぎまぎしてしまうのが目に見えている。むしろ、姉と会う約束をしていて突然彼氏を連れきてくれた方がまだマシである。1週間前に紹介したいと連絡が来たので、今週はずっと憂鬱であり、どういう感じで話すかのシミュレーションをしていた。人によく思われたいという自意識があるので、まずファーストインプレッションは爽やかな挨拶をする。しかしここで問題なのが、日常的に爽やかさを持ち合わせていないので、暗い自分を知っている姉に、こいつ無理して爽やか装ってるな、と思われることである。食事の時の会話も問題である。こちらは仕事を探している風の、ぎりぎりフリーターみたいなことをしている月収12万の24歳だ。おそらくこの情報は、姉から向こうへ伝わっている。この話題に触れてくるのかどうかが問題だ。大人が知らない人と会う時の会話の糸口は仕事の事だとどこかで聞いたことがある。しかし、僕には仕事という手札がない。しかも厄介なのが、相手は転職経験者という点である。自分は今、仕事を探しているということになっているので、転職経験者としてのアドバイス的なことを言ってくるのではないか。僕より6つも上の30歳なので、先輩風だって吹かせたくなるだろう。なにより、僕はどちゃくそ偏見にまみれた人間なので、姉とその彼氏がテニサーで出会い、そこの先輩後輩として付き合っていたことも引っかかっている。もちろん先輩は彼氏で、後輩は姉だ。自分で言うのもなんだが、テニサーだとかそういうのを揶揄するのはもう卒業したと思っていた。しかし、いざ目の前にそういうのを出されると、うわっ、と思ってしまったのである。

こんなことを言ってはいるが、いざ会って会話をしてみたらなんてことない良い人で、そつなく食事会は終わるのだろうなとも思っている。向こうだって緊張しているだろうし、むしろ、こんなことを書いている人が義理の弟になる方がよっぽど嫌だ。着替えてそろそろ家を出なければ。