記録

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若おかみは小学生や牛久沼3のことなど

温めた牛乳と、どうぶつカステラを食べる。これが今日の僕の夕飯だ。いや、牛乳が冷えているか温かいかの違いだけで、朝食もまったく同じものを食べた。一見、可愛い食事のように見える。しかし、トップバリューの一袋98円のカステラを牛乳で流し込む生活に可愛さなどない。昼はアルバイト先の近くにあるスーパーで「デカ盛り」みたいな名前の馬鹿みたいなカップラーメンを買い、食べた。これも98円。毎日が98円の生活。この1ヶ月ほどは転職の面接をいくつか受けていたのだがてんで駄目で、落ちてばかり。98円の食事をする人の人生っぽいなと思う。

映画館で座席に座っていると、隣に座っていた小学校低学年くらいの女の子がしきりに母親に向かって、「ほんとにここであってるの?ほんと?」と尋ねていた。よくよく耳をすませてみると、大人の男が近くにいるから変だということらしい。たしかに『若おかみは小学生!』が上映されているこの劇場には、小学生の女の子と母親の組み合わせばかりで、大人の男などほとんどいないのだ。母親になだめられた後、女の子はなぜか感心したように、「男の人もこういうの観るんだね〜」と言っていた。「観るんだよ」と心の中で答えておいた。声に出していたら即逮捕だ。肝心の『若おかみは小学生!』は、傑作だった。なんてったって監督はジブリで長年作画監督をしていた高坂希太郎で、脚本は『聲の形』の吉田玲子、音楽は鈴木慶一だ。物語だけでもとんでもなくエモーショナルで優れているのに、屋根から落ちる女の子を男の子が受け止める一連のシーンなんかは鳥肌が立ってしまった。最後のみんなで舞うシーンとそこでのセリフも素晴らしかった。エンドロールで隣の女の子がエンディング曲の藤原さくら「また明日」を口ずさんでいて泣きそうになってしまった。このエンディング曲もまた良いのだ。

ほりぶん『牛久沼3』を観た。牛久沼シリーズは今作で3作目。もはや牛久沼サーガを築きつつある。中盤での時間の巻き戻しは牛久沼シリーズの定型となり、うなぎを引っ張り合う時の一連の動き、特に飛び跳ね着地する時などは伝統芸能のよう。これはもう歌舞伎だ。いや、今回は幽霊まで出てくるわけだから能なのか。とにかくめちゃめちゃに面白く、一貫して親子の話なのも良い。動きや声量だけでも面白いのに、現実離れしたその劇中に、すかいらーくサイゼリヤといったワードが放り込まれるのがたまらなく可笑しい。鎌田さんの他の作品にはケンタッキーやジョリーパスタなども出てくるのでそれを全て一覧にまとめたいぐらい。お芝居を観ている途中から、この凄まじいものが北とぴあという建物のシャンデリアが吊るされた14階で上演されていること自体が面白くなってきてそれ込みで最高だった。隣の席に上田遥さんが座っていて、終始ケラケラと笑っていたのが良かった。それにしても今年だけでナカゴーとほりぶん合わせて5作も上演していて全てが面白いって凄い。天才だ。最近のナカゴーでお決まりとなっている冒頭で全てのネタバレをするあの慣習が今回はまさかの当パンで行なわれるとは予想もしていなかった。A4の用紙にびっしりと『牛久沼3』の内容が書かれ、さらには上演予定の無い『牛久沼4』の内容も記載されているのだ。いま東京に居てナカゴーとほりぶん観ない人は本当にもったいないのではと思う。ちなみにこの公演を観た日は土曜の夜で、キングオブコントが放送されている時間だった。帰宅してからキングオブコントを見ると、チョコプラの一本目がナカゴーのようなコントで、なんだこの偶然はと驚いた。ハナコは納得の優勝でした。ハナコの2本目のコントは特に好きで、セリフ無しでのあの演技力は素晴らしかった。ちなみにここ近年のセリフ無しで抜群に素晴らしい作品は『ボージャック・ホースマン』シーズン3の第4話です。

五反田団の『五反田怪団2018』も観た。演劇と語りがシームレスに変化するのが相変わらず見事でありながら、いつも通りのくだらなさで終始笑っていた。1番最近の五反田怪団は3年前で、その時はクリスマスの頃であったのを思い出した。ついこの前のようなのだがもう3年も前なのか。目黒川沿いのイルミネーションを鮮明に思い出すことができる。