1日目
青春18きっぷを握りしめ、始発で高円寺から仙台を目指す。台風9号が来ていたので電車が動かないかと心配していたが朝方はまだ大丈夫だった。上野から東北本線に乗ると、いよいよ旅が始まるぞとわくわくする。ここからひたすら北上する。合計8回の乗り換えは2年前に東北を旅行した際と同じルートだ。乗り換え駅の黒磯駅で面白いものを見つけた。駅のホームにある木で出来た謎の扉である。
調べてみると、これは皇室が那須の御用邸を訪れる際に利用される扉らしい。どうりで立派なわけだ。もちろん一般人は入ることができない。
台風9号が徐々に影響を及ぼし始めていた。電車を乗り換える度にいままで乗ってきた区間の電車が運行休止になっていくのだ。後ろから台風に追われる恐怖。運がいいことに、台風に追いつかれずに仙台にたどり着くことができた。曇天模様の仙台。
仙台に着くとすぐにお昼を食べに向かった。食べたのは穴子である。本当は、松島が穴子で有名なのだが、松島にほど近い仙台にも穴子専門店がいくつかある。
うなぎよりもさっぱりとしていて食べやすく美味しかった。穴子を食べた後は、ずんだ餅を食べに行った。
次第に雨が降り始めた。有名な定禅寺通りも雨で暗い雰囲気。
夜には暴風雨に変わり、駅前は冠水していた。仙台に来たからには牛タンを食べなければと、雨と風の中、味太助という牛タンのお店に行った。
おそらく、いままで食べた牛タンの中でトップクラスに美味しかった。厚さはそんなにないのだが、弾力があり、噛めば噛むほど味が滲み出てくる。本当に美味しい牛タンに厚さなど必要なかったのだ。テールスープもいままで飲んだものの中で1番美味しかった。お店も昔ながらの古い雰囲気で、頑固そうなおじさんが目の前で焼いていた。その様子に少し緊張もした。だから牛タンの写真が変な感じになってしまっているのである。とにかくまたすぐにでも訪れたいほどだ。
牛タンを食べた帰り道に、日本で1番古いハンバーガー屋さんで有名な、ほそやのサンドに行こうしたのだが、もう閉まっていて残念だった。
ホテルに戻り、1日目が終わった。
2日目
台風が過ぎ去り、綺麗な青空となっていた。この日も朝から電車でひたすらに北上する。朝食は仙台駅で牛タン麦ごはんを買って食べた。ご飯に焦げ目がついていて予想よりも美味しかった。
なんの問題もなく、盛岡にたどり着く。盛岡で冷麺を食べる。
ここまでは2年前とまったく同じだ。前回はここから青森の八戸を経由して、三陸鉄道に乗るために岩手の久慈を目指したのだが、今回は秋田県を経由して青森へ向かった。盛岡駅から第3セクターである、IGRいわて銀河鉄道に乗った。
この鉄道の名前はもちろん宮沢賢治からきている。JRの花輪線に乗り換えるために、好摩駅で下車した。いわて銀河鉄道の駅名の標識は星が飛んでいて可愛い。
少し待ち時間があったので誰もいないホームで、盛岡で買った福田パンのサンドイッチ食べた。
台風一過の晴天で食べるサンドイッチは最高だった。こういう時に、旅行していて良かったなあと思う。
花輪線は車窓からの景色が本当に綺麗だった。後ろに見えるのは岩手山だ。高くない山というのもまた魅力的に見える。丸みをおびたフォルムがどこか優しげで見守ってくれているような趣きがある。
どの景色も見飽きることなくずっと眺めていられた。
花輪線にしばらく乗り、秋田の大館駅に着いた。大館は秋田犬発祥の地であるためこのような看板があった。秋田犬は大舘犬と呼ばれていたこともあったらしい。
大舘駅から奥羽本線に乗り換え、青森に向かった。青森に無事到着する。ちょうど19時ぐらいだった。
この日は10時間以上の移動だったのでさすがに疲れ、すぐさまホテルにチェックインし外に夕飯を食べに出た。事前に行きたいお店を調べておいたのだが、お店の前まで行くとまさかの休みで立ちすくむ。他に食べる場所を探すも、まったく見つからず時間だけが過ぎていきチェーン店以外は閉店していく。せっかくの旅行なのにコンビニで夕飯を買うことになる。青森っぽい食べ物をいくつか買い、ホテルで食べた。
すべてまあまあの味でした。ほぼ移動だけの2日目が終わる。
3日目
朝は朝食を食べるために青森魚菜センターに行く。ここでは、のっけ丼というのをやっている。こんな感じで魚屋さんが市場の中にあり、事前に購入したチケットと交換でお店に売っているお刺身をご飯にのっけてもらう夢のような体験ができるのだ。
種類によってチケットの枚数は異なり、ホタテやウニなんかはもちろん枚数が必要になってくる。そしてこれが僕が作ったのっけ丼である。
海老やイクラやウニなど高そうなものばかりを乗せた、彩りもなにもない欲望のままの丼である。朝からこんなものを食べて体が心配になるが食べたかったから仕方ない。どれも新鮮で本当に美味しかった。
朝食も食べ終えて次はバスで三内丸山遺跡を訪れた。行きのバスの床が木だったのに密かにグッときた。
三内丸山遺跡はとにかく広かった。
何千年前にかつてここで生活していた人たちの痕跡を見ていると不思議な気持ちになってくる。
この壺は子どもの墓。なぜか子どもの壺には必ず底に丸い穴があけられているらしい。理由は定かになっていない。いったいどんな風習や思いがその行為に込められていたのだろうか。
遺跡の水道やトイレの表示が少し工夫されていて可愛かった。
博物館の人形が面白かった。誰もがツッコミたくなる指差す方向。
これが有名な美術館である。
なんとなく後ろに回って写真を撮ってみたら、すごい落ち込んだ人みたいになっていて面白かった。
あとは、美術館あるあるなんだけれどトイレがすごい綺麗でした。
青森県立美術館を見終えて再び青森市内に戻ってきた。お昼を昨日の夜行こうとして閉店していた、おさないという定食屋で食べた。青森の名物であるという貝焼き味噌を注文。ホタテが本当に甘くて幸せに満たされた。
腹ごしらえをして次に向かったのは、ねぶたが展示されているねぶたの家ワ・ラッセだ。面白い見た目の建物をしている。
青森の有名なねぶた祭りのねぶたが広い館内に並べられている。
写真では伝わりにくいのだが、本当に大きくて、細かいところまで作りこまれている。これが街を練り歩くなんて夢のようだ。生きているうちに一度はねぶた祭りを生で見てみたい。
ねぶたに圧倒された後は海辺で青森産のアップルサイダーを飲んだ。海風が最高に気持ち良かった。
そういえば街中に土偶のオブジェがあって可愛いかった。
この日は青森を存分に観光して、夜に弘前に移動して3日目が終わった。