記録

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2024年3月29日〜31日

3月29日(金)

朝から土砂降りの雨。びしょびしょになりながら仕事へ。午後は半休を取って特急あずさへ乗って東京へ向かった。午後になると朝の雨が嘘のように止み、20度を超える汗ばむ気候になった。電車に乗る前にコンビニで辛口のジンジャーエールとじゃがりこを購入。辛口のジンジャーエールは見つけるとつい買ってしまう。1番美味しい飲み物だ。電車でじゃがりこを食べていると隣の席の人にじろじろと見られた。『空気階段の踊り場』の「なんか怒られました」になるんじゃないかとひやひやしたがじゃがりこを食べる自由ぐらいあるだろうとぼりぼりと食べ続けた。16時頃に新宿へ着き、神保町近くのホテルへチェックインしてとりあえず丸香でうどんを食べた。やっぱり香川で食べたどのうどんよりも丸香のうどんが美味い。しばらく神保町をうろうろしたが新卒1年目を思い出し、うっ…となった。ここの100均に買い出しに行かされたなとか、このベローチェでつらい日々をなんとかごまかそうとしていたなとか。

時間になったので神保町視聴室での『柴田聡子の神保町ひとりぼっち』へ行った。

「Movie Light」から始まり、新しいアルバムと過去の曲を織り交ぜながらの2時間。最後はピアノ弾き語りでの「Your Favorite Things」で終わり、アンコールはSZAの「Saturn」で締めくくられた。ビヨンセのサイン会に行きたかった柴田さんはもし会っていたら話したかったことを英語で披露していて可笑しかった。神保町ひとりぼっちはもう4回目ほどの参加になるが毎度のことながらあの40人ほどしか入れない狭い空間に幸せな時間がギュッと凝縮される。そして毎回行くたびに知り合いに遭遇するという奇跡が起きるのだが、今回ははてなブログ仲間の水っぽい星さんも同じ会場に来ていたことを後で知った。ちなみにワンドリンクは辛口のジンジャーエールにした。さっきも飲んだばかりなので「ジンジャーエール買って飲んだこんな味だったけな」なんてことにはまったくならない。

21時過ぎに終わり、カレーを食べにエチオピアへ向かった。神保町で遅くまで開いているカレー屋をここしか知らないしエチオピアのおかげで夕ご飯難民にならなくて済む。エチオピアに向かう道中、居酒屋の扉の向こうから森高千里の「17才」が聞こえてきた。

わたしはいま生きている

エチオピアは仕事終わりのサラリーマンで混み合っていたが1階のカウンター席に滑り込みチキンカレーを食べた。相変わらず美味しい。

帰りにローソンでシュークリームを買い、ホテルに戻り明日の予定を考えた。夜中、ひとりでビジネスホテルに泊まっている高揚感から再びローソンに行き、カップ焼きそばを買って部屋でむさぼるように食べた。わたしはこういうことをしてしまう人間だ。東京に来てから、うどん、カレー、焼きそばと短時間に食べ続けている。満腹になり意識を失うように寝た。

 

3月30日(土)

どこかで朝ごはんを食べようかと思ったが色々と調べているうちにどんどん時間が過ぎていき、朝ごはんなんて時間ではなくなったので11時開店に合わせて新御茶ノ水にある「萬龍」へ行った。すでに並んでいたが15分ほど待ち入店。肉玉チャーハンと半ラーメンを頼んだ。

豚肉と焼売の乗った、味の濃い肉玉チャーハンのジャンキーさよ。近くの外国人が「オー…イエス!イエス!」と言いながら食べていて、「食べる情事だ…」と思った。半ラーメンは300円くらいだったのだがとても美味しく、先週食べた美味しくないラーメンのことを不意に思い出し、あの店はなんだったんだよと小さな怒りが沸いた。

お腹を満たし、早稲田へ行った。卒業ぶりに訪れたが、てんやが丸亀になってるとか、美味しくない蕎麦屋がファミマになってるとか、シャノアールがルノアールになってるなどのマイナーチェンジにいちいち感傷的になった。キャンパス内にある村上春樹ライブラリーで『安西水丸展』を観た。

展示を観た後は大学の敷地内のベンチに座り、入学式の準備をしている人たちを眺めた。つい最近まで大学生だったような気がするが、入学式から10年くらい経つことに信じられない気持ちになった。自分の人生はなにも変わってないしむしろ後退している。勝手に感傷的になっているが学祭に4年間1度も行かなかったような人間がまともな人生を歩めるわけがない。東京駅へ移動してステーションギャラリーで『安井仲治 僕の大切な写真』を観た。

この展示がとても良かった。もし映画でこのワンショットが差し込まれたらこの映画のことを否が応でも好きになってしまうなみたいな写真が多く、構図や光と影に魅せられた。東京駅から学大の姉の家へ行った。お土産を渡し、約1ヶ月ぶりの姪と戯れた。すっかり寝返りもスムーズにできるようになっていた。姪の顔も見れたのでとりあえずの目的は果たし、渋谷で『海がきこえる』を観た。初めて観たが、いわゆる90年代を強く感じさせる作品だった。すぐに殴ったり平手打ちをしたりしていてこの時代の人たちはよく手が出るなーと思った。でもなにより良い作画だし大きなスクリーンで観れてよかった。夕飯を食べるタイミングを逃し、もう22時近くでお店探しをする体力もなかったので近場のマックでハンバーガーを買って持ち帰って食べた。どこでも食べれるものを食べてしまった後悔と毎日好きなものを暴食している満足感。

 

3月31日(日)

ホテルをチェックアウトして一旦新宿へ行き、荷物をコインロッカーに預けた。最高気温が26度になるらしくすでに汗ばむ。まだ咲いていない桜も一気に咲く気配がする。恵比寿へ移動して東京都写真美術館で『木村伊兵衛 写真に生きる』を観た。

木村伊兵衛展は昨日の安井仲治展に引き続きとても良かった。関係ないが恵比寿駅と恵比寿ガーデンプレイスの間にある歩く歩道が好きだ。

再び新宿に戻り、歩きながら幡ヶ谷へ向かった。東京に住んでいた時、何度も歩いた道だ。道中、フィルムで写真を撮りながら歩いた。この歩きながら写真を撮り、街から街へと移動できる感覚が東京だなあと思い、こんな時間が好きだったと思い出した。とても心が満たされる。

幡ヶ谷に着き、サンデーベイクショップでキャロットケーキ、チーズケーキ、レモンケーキを買った。その後はウミネコカレーでチキンカレーとキーマカレーの2種盛りを食べた。

この2店舗はかつて幡ヶ谷に住んでいた時のお気に入りのお店だった。久しぶりの幡ヶ谷はまたお洒落なお店がたくさんできていた。再び写真を撮りながら代々木上原方面へ歩いた。

代々木八幡から電車に乗り新宿へ戻り、15時のあずさに乗った。帰りの電車の中で、神保町、早稲田、幡ヶ谷と馴染みのある場所ばかりを今回は巡って、思い出に溺れるような東京旅行だったなと思った。何かを見ては何かを思い出し、ずっとあっぷあっぷしていた。

18時頃に帰宅した。夜、眠る前にハイツ友の会が解散するという情報を見て気分が沈んだ。いつ見ても面白いネタをしていたし順風満帆のように見えていたのだけれど本人たちは苦しかったのだなと思うとやりきれない。

2024年3月23日〜3月24日

3月23日(土)

朝8時起床。天気は悪く雨が降っていた。10時からの『ゴーストワールド』を観に行くために電車で移動していると雨がみるみる雪に変わり、駅に着く頃には吹雪のようになっていた。しかしそんなことは関係なく黙々と歩いた。先週も同じ道を歩いたので慣れたものだ。雪まみれになりながら東座へ着き、チケットを買うと今日も飴をもらえた。

劇場に入るとお客さんは3人しかおらず上映が始まった。もう30歳前になり、そういう時期は過ぎたので真正面から共感することはなかったが、イーニッドもシーモアも自分の中のどこかにまだいる気がしたしこの気持ちを忘れたくないと思った。映画館を出ると雪は止んでいた。駅で30分ほど電車を待ち、松本へ戻ってきた。お昼ご飯を食べようと駅前をうろうろしたがどこも満席で、運良くラーメン屋に入れたが美味しくなくてがっかりした。これなら安定の松屋にしておけばよかった。いつも混んでいるので美味しいかと期待してしまったが外見のロゴと店内のダサさからどこか敬遠していたこれまでの勘が正しかったのだ。駅前や観光地だからという理由だけで人が入るが大して美味しくないお店には心底腹が立つ。これまでもビジネス街にある美味しくない中華料理屋や学生街にある美味しくない蕎麦屋に腹を立ててきた。立地だけに寄りかからず美味しさの追求をしてくれ。

駅前で外国人のツアーガイドが大きな声で「This is not a safe place!」と叫んでいたがここはスラム街ではない。

 

3月24日(日)

昼からまたもや東座へ行き、今日はビクトル・エリセ『瞳をとじて』を観た。

開場を待っている間、前の回の『ゴーストワールド』のエンドロールの音楽が聞こえてきた。大学生の時に『ミツバチのささやき』と『エルスール』を池袋の新文芸坐で観てそれはもう感銘を受けたエリセの30年ぶりの新作は、正直なところやや冗長ではあったが思い返すとその長ささえもエリセと映画の距離のように思えた。切り返しが多くこれまでのような印象的なショットや光は多くはなかったが、ラストシーンのスクリーンの光に照らされる顔とまなざしにはやられた。

2024年3月15日〜3月17日

3月15日(金)

とても晴れていた朝。山がとても綺麗に見えた。ハリボテのようなホログラムのような雰囲気で、美しすぎると偽物みたい見えるんだなといつも思う。

朝7時に出勤し、夜19時に退勤。行き帰りは先週の『三四郎のANN0』を聴いていた。無事、改編期を乗り越え10年目になるらしい。三四郎のラジオが続いていることは今の強者揃いのパーソナリティの中では救いだ。どうか終わらないでほしい。

帰りに市長選の期日前投票に行った。たくさんの人に見られていて緊張した。選挙に行くと必ずモー娘の『ザ☆ピ〜ス!』を聴きたくなる。

選挙の日ってウチじゃなぜか

投票行って外食するんだ


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何度聴いても歌詞全体が多幸感のある良い曲だ。

3月16日(土)

朝起きて原稿を書くもなかなか進まないし思うように書けない。普段日記を書いている時は淡々と書けるがいざ依頼されるとカッコつけたくなってしまう。午後は年末に亡くなった祖父の納骨。お墓に骨壷を納めようとしたがお墓の開け方が誰も分からず、まさか「お墓 開け方」で検索する日が来るとは。墓荒らしの検索履歴だ。夕方は本屋に行き、間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』を購入。読むのが楽しみだ。

 

3月17日(日)

午前中からまつもと市民芸術館でアキ・カウリスマキ『枯れ葉』を観た。

公開されてからずっと観たかった作品だったので地元で観れて歓喜。カウリスマキの新作が観れる日が来るなんて。大学1年生の時、映画サークルの新歓で一緒になった人にカウリスマキを教えてもらった。同じ1年生だったがとても映画に詳しくて、何度か一緒に授業終わりに早稲田松竹に行って、その後ラーメンを食べて帰っていたのをよく覚えている。まったく疎遠になってしまったが彼はまだ映画が好きだろうか。脱線してしまったが、『枯れ葉』はとても良かった。私たちの孤独と不安を切実に描きながら、それでも見出したい愛への希望。オフビートなユーモアと地続きの戦争。大島依提亜さんデザインのパンフレットを購入。劇場の屋上でパンフレットを読んだ。

冒頭にはカウリスマキのこのような言葉が載っていた。

取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味で馬鹿げた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。

劇中に出演し実際のライブシーンを演じていたマウステテュトットも良かった。


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お昼を食べにずっと行ってみたかった山山食堂へ。

とても良い雰囲気の店内と店主の方。店内には本がたくさんあるのだが、通されたカウンター席の目の前に大島弓子選集があり良いお店だと確信した。角煮定食を注文。

角煮はもちろんのこと、野菜がとても優しく繊細で美味しかった。お味噌汁もしっかり出汁から取った味がし、なにより白いご飯の美味しさに感動した。どうやって炊いてるんですかと聞きたかったが自信のコミュニケーション力のなさから聞けなかった。

タリーズに行き、ひたすら口ロロの「いつかどこかで」とSMAPの「たいせつ」と小沢健二のいくつかの曲をエンドレスで聴きながら原稿の続きを書いた。数時間滞在しなんとか書き終わり提出した。これらの曲に影響を受けまくった原稿になった。

夜、市長選の投票率がニュースで報じられていて、40%ほどだったとのこと。あまりにも低くて絶句した。

 

【お知らせ】

6月下旬に日記屋 月日から出版される『誕生日の日記』に寄稿しました。他の執筆者の方を聞いてあまりの豪華さに恐れ慄きました。なんでこの中に自分が…とびくびくしています。三宅唱監督の下に自分の名前が来る世界線が存在したんですね。詳細はこちら。

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2024年3月9日

3月9日(土)

午前中は部屋の掃除をして、お昼前に家を出て隣の市の塩尻市へ行った。目的は東座という映画館でケリー・ライカートの『ファースト・カウ』を観るためだ。東座は今では珍しい昔ながらの映画館だが、都会でしか上映されていないミニシアター系の作品を扱ってくれているのでずっと行ってみたかったのだ。雪が舞う中、塩尻駅から歩いて向かった。地方で暮らしながらいまだに電車と徒歩で生活している。車の運転に不安があり、駐車も広い場所でないとできないのをいつまでごまかしながらこの場所で生きていくのだろう。駅から20分ほど歩いた先に映画館はあった。

左に見切れるポルノ

1階と2階があり、2階はポルノ映画を上映しているようだった。窓口で券を買うと飴を貰えた。

まだ一つ前の回の作品が上映されているようでロビーでしばらく待っているとちらほらと同じ回を観に来た人たちが集まり始めた。60代以降の人がほとんどで若い人はおらず、『ファースト・カウ』を観たいというよりもこの劇場に通っている人のように思えた。通う劇場があるって素晴らしいことだ。前の回の人たちと入れ替わりで中に入り適当な場所に座った。すっかり座席指定の映画館に慣れてしまったので新鮮だった。お客さんは10人もいないので快適だ。しばらくするとスタッフの方が「寒い人いませんかー?毛布ありますよー」と声をかけ始め、なんてアットホームなんだと感動した。『ファースト・カウ』は、冒頭の船が横切るショットから始まり自然を捉えた良いショットがいくつもあった。なにより川が良い。夜な夜な人の家の牛からこっそりミルクを搾り、そのミルクでドーナツを作り売る話というとどこかポップな印象を受けるがそんなことはなく、男社会から弾き出された人たちの切実な友情と連帯の話だった。友情の描き方も大げさではなく淡々とした描写で良かった。劇場の外には次に上映予定の作品として『ゴーストワールド』と『瞳をとじて』のポスターが貼られていた。この2本はなにが起きようとも必ず観に行く。

雪が舞う中また20分歩いて駅まで向かい、さらに電車を30分待って家に帰った。車の運転に慣れろ自分。

夜はR-1グランプリを観た。街裏ぴんくの優勝がとにかく嬉しい。面白い人がちゃんと認められる大会でよかった。決勝3組が吉住、ルシファー吉岡、街裏ぴんくだなんて信頼できる大会だ。お笑い賞レースでは空気階段が優勝したときのKOC以来の納得の3組のような気がする。(空気階段、男性ブランコ、ザ・マミィ)吉住の1本目のネタの炎上には首をかしげた。いわゆる一般的なデモとは違いますよという意味を込めて、火炎瓶や警察との衝突というワードを入れているわけで。でも受け取り方次第でしかない。

2024年3月2日〜3月3日

3月2日(土)

朝7時に出発して家族で東京へ。目的は姪の桃の節句のお祝いだ。道中、綺麗に富士山が見えた。富士山は見るたびに「でっけぇー」と思う。

11時前には東京へ着き、姪としばし戯れた。もう生まれて5ヶ月になるのでぼんやりとした表情ではなく意思のある表情をしていた。明らかに知らない人を見る顔をしてじっとこちらの目を見ていた。明日がお祝いの日なので、自分は日比谷へ移動し、シアタークリエでKERA CROSS『骨と軽蔑』を観た。

ケラさんの新作はどうしても見逃したくないのだ。社会情勢を反映した内容とめくるめく会話劇に3時間まったく飽きることがなく、紛れもない傑作だった。小池栄子の達者っぷりよ。バラエティも俳優もできるなんて万能すぎる。日比谷から歩いて銀座へ向かい、ナイルレストランへ行った。銀座へ来てもどこでご飯を食べていいか分からずいつもここへ来てしまう。席へ着き、ムルギーランチを注文。

目の前で鶏肉をほぐしてもらい、ぐちゃぐちゃと混ぜて食べる。相変わらずスパイスが効いていて美味しい。東京にしては寒い日だったが汗をかいた。お腹を満たし、姪にプレゼントを買うために絵本専門店の教文館ナルニア国へ行った。つい自分が欲しいものを探してしまうがここは我慢して姪のために絵本を吟味した。

すっかり夕方になってしまったので宿泊先のホテルへと移動し、どこか良いご飯屋さんはないかと探すもテンプレートのような小洒落たバルのようなお店しか見つからず悩んでいると、繁華街からはずれた場所に「Farm」というドリアのお店を見つけ、店構えから即入店した。

ネオン最高

ここがかなりの正解のお店だった。牡蠣とキノコのドリア、渡り蟹のトマトクリームドリア、帆立とエビのホワイトソースパスタを食べたのだがめちゃくちゃ美味しかった。

お店の雰囲気もとても良く、すでに人気店ではあるようだがマガジンハウス系の雑誌に取り上げられたら大変なことになるぞと思った。帰りにコンビニでアイスを買いホテルに戻った。旅行先でホテルに戻る道中で買うスイーツの特別さよ。

 

3月3日(日)

姉の家へ行く道中、二子玉の高島屋へ寄りお惣菜やさくら餅などを買った。代々木上原のパン屋「365日」が入っていたのでパンは自宅用に調達した。姉の家へ着き、姉夫婦がお昼の用意をしている間に姪と戯れた。始めは顔が強張っていたが、徐々に慣れてくると笑うようになり少し高く持ち上げるとキャッキャと喜んだ。その様子を後で写真で見せてもらうと、姪も笑っていたが自分も大きな口を開けて笑っていて、「こんなに自分って笑えるんだ…」と思った。ちらし寿司などを振る舞ってもらい、ひと段落した後にSUNNY BOY BOOKSへ行き、しばらくおしゃべりをした。地元に友達はいないし家族以外とはほとんど関わらないため久しぶりに知り合いに会うとおしゃべりが止まらなくなる。友田とんさんの『先人は遅れてくる』を購入し姉の家に戻った。

パリのガイドブックで東京の町を闊歩するシリーズ

姪の寝返りに家族で歓喜するなどし、帰り際に姉がてらおかなつみさんのイラストが描かれたカステラをくれた。姉は僕のことを分かっている。

可愛すぎるしちゃんと美味しい

帰りの高速道路から夕日に染まる富士山が見えて、「エンディングだ…」と思った。途中サービスエリアで美味しくないチャーハンを食べた。サービスエリアのラーメンやチャーハンは美味しくなくてもそれが醍醐味のような気がしてなぜか許せてしまうところがあるからずるい。

2024年3月1日

3月1日(金)

すっかり日記をさぼってしまった。義務ではないのでこれからもマイペースに書いていく。

昨日の夜降り続いていた雨が今朝には雪になりいつの間にか積もっていた。夜更けすぎに雪に変わったようだった。過去形の山下達郎だ。柴田聡子『Your Favorite Things』を聴きながら仕事へ。先日リリースされてからほとんどの時間このアルバムを聴いている。2024年が始まってまだ3ヶ月だが今年ベスト確定だ。アルバム中盤の「side step」から「Your Favorite Things」までの一連があまりにも好きだ。特にその中でも「Reebok」が素晴らしい。

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通勤中、前を歩いている人が雪の上をやけに慎重に歩いているので僕の中のママタルトひわちゃんが「スノーブーツ履いてるなら誰かの足跡の上を歩くんじゃなくて雪を踏み締めて新たな道を開拓してくれよな〜」と言っていた。

19時頃に仕事が終わり、『THE SIGN PODCAST』の『夜明けのすべて』回を聴きながら帰った。

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三宅唱『夜明けのすべて』は公開翌日に観に行ったが本当に素晴らしく、ここ数年で1番好きな映画になった。様々なレイヤーで考え込まれて丁寧に作られている。脚本の素晴らしさはもちろんのこと(生理、プラネタリウム、星、自転車、反対向きのヘルメット、逆さの手帳など円環や周期のモチーフ)、撮影や照明といった映画としての魅力(自転車に乗る松村北斗への光!ベランダに立つ上白石萌音への光!事務所の明かり!)にすっかり感動してしまった。撮影に関しては月永雄太氏のコダックのインタビューが詳細に語られていて良かった。

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きっと誰が観てもこの映画に心震わされると思うが、なにより自身もしくは身近にメンタルが不安定な人がいたことがある人はより大きく心が動いたと思う。三宅唱監督作では『ケイコ 目を澄ませて』も『きみの鳥はうたえる』も大好きだし素晴らしいが、俳優陣含めより大衆に開けているという意味でもこの作品はやはり特別だ。あの素晴らしいエンドロールでボールがこちらに転がってくるのは演出なのだろうか。

この構図の素晴らしさよ!

夜は『不適切にもほどがある!』6話を観た。これまではどこか惰性で観ていたが先週の5話から物語の全容が見えてグッと面白くなった。全体として粗い部分はたしかにあるが、フィクションの登場人物の発言をそのまま作者の意見として受け取るSNSの人たちにはぐったりしてしまう。

明日東京へ出かけるため準備をして早めに寝た。

2024年1月1日〜1月7日

1月1日(月)

朝起きてからだらだらと『爆笑ヒットパレード』を観ていた。喪中なので初詣にも行かず特にやることもないのでまさに寝正月のごとく寝たり起きたりを繰り返していた。16時10分頃、スマホの緊急地震速報アラームがけたたましく鳴り、家が揺れた。ちょうどキッチンから珈琲を持ってリビングに移動している最中だったため、こぼさないようにそろりそろりとテーブルに置いて久しぶりの大きく長い地震に耐えた。すぐにテレビを見ると石川県で震度7の地震とのことだった。自分の住んでいる地域は震度4だった。しばらくすると大津波警報がテレビで叫ばれ、これは相当大きな震災になるなと思った。それからテレビは地震のニュース一色になった。

1日2日(火)

朝9時に自転車を走らせてイオンモールへ行った。トム・ブラウン新春お笑いライブの整理券を手に入れるためだ。配布30分前に着くともう100人ほど並んでいた。後ろに並んでいた高校生らしき子たちが昨日の地震の話をしていて、「昔にも東北で地震あったらしいよね1月とか2月に」と言っていて東日本大震災の記憶が今の高校生にとっては物心がつくかつかないかの頃の出来事であることを実感した。20代以降の人たちにとっては2011年3月11日という日付はどうしたって忘れないだろうが、阪神淡路大震災がいつ起きたかと聞かれたら自分は答えられないなと思った。無事整理券を貰い、一旦家に戻るとEテレで山田尚子監督の『リズと青い鳥』の放送が始まりつい最後まで観てしまった。やはり冒頭の登校のシークエンスがあまりに素晴らしく美しい。今年は山田尚子監督の新作が公開される予定なので楽しみだ。YouTubeに演出集があり思わず観た。


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午後、再びイオンモールへ。今朝、自転車は寒かったので今度は歩いて向かった。無事イス席に座りトム・ブラウンが出てくるのを待った。いわゆる営業というものを観に行くのが初めてだったので老若男女に囲まれながらお笑いを見るのが新鮮だった。トム・ブラウンが登場すると「みちおちゃーん」と色んなところから声が上がった。笑顔で手を振り続ける2人が可愛かった。敗者復活戦でのあの漫才を生で見ることができたので嬉しかったし見れば見るほど意味がわからないが大好きなネタだ。最後の色紙をかけたジャンケンには負けてしまったので悔しい。

お正月からトム・ブラウンを見れるなんて良い年明けになったなと思いながら本屋へ行った。姪が明後日来るためお年玉代わりに絵本を選んだ。センスがいいと思われたいのでディック・ブルーナのミッフィーではない絵本を購入。人になにかをプレゼントするなんてもう何年もしていないのでラッピングの包装紙を選ぶ時の相手を想像する時間に人としての気持ちを取り戻した気になった。

夜、JALの飛行機が着陸時に海保の飛行機と接触し燃えている映像がテレビで流れ、映画を見ているようだった。『ダイハード2』みたいだと思っていると父親がダイハードみたいだなとつぶやいていた。

年末に追悼番組として放送されていた山田太一『今朝の秋』を観た。それぞれの登場人物が嘘や矛盾を抱えながらも、それでも終盤の全員で歌うシーンで立ち上がる本当に感動した。まずもって「今朝の秋」というタイトルが良い。笠智衆に杉村春子と小津を感じさせる作品だった。

1月3日(水)

ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』を観た。批判されている部分はもちろん分かるしもやもやするところも確かにある(トイレ綺麗すぎ問題や企業のプロパガンダなど)。しかし、自分が過剰に汲み取りすぎているのかもしれないが、あらゆる選択肢の中から清貧さを選んでいるのではなく、あの生き方でしかこの世界で息をできない人を描いていると思った。役所広司演じる平山は不意に来る孤独や寂しさにずっと耐えているのだと思う。だから音楽や本を読んだり、木漏れ日やささやかなコミュニケーションに大きな喜びを感じているのだ。ラストシーンの泣き笑いの長回しが全てだった。たしかにそう考えると、この世界で息をできる持っている側がこの映画の資本を支えていると思うと複雑ではある。それでも好きな作品ではあるし、どこか自分を見ているようでもあった。

久しぶりに『芸人シンパイニュース』が放送された。この番組は芸人への愛がひしひしと感じられるから好きだ。

1月4日(木)

年末年始の観れていなかった番組を消化するために『令和ロマンの娯楽がたり』『日本怪奇ルポルタージュ』『マジ歌選手権』を一気に観て疲れた。

午後には姉夫婦が帰省してきたので早速姪に絵本をプレゼントした。まだ3ヶ月なのでなにも分かっていないが、事あるごとに何かを買ってあげる叔父さんムーブを今後もしていこうと思った。

1月5日(金)

憂鬱な気持ちで仕事へ。休み明けは本当に働きたくない。『令和ロマンのANN』を聴いた。冒頭からこれでもかと固有名詞が飛び出し、固有名詞の海に溺れそうになったが令和ロマンとはほぼ同世代のためなんとかついていくことができた。

松本人志が自身の性加害事件についてあまりにも悪手なつぶやきをしていて最悪だった。権力者を前にした本音と建前が分からないのか。やはりこのまま引退もあり得る。

1月6日(土)

土曜だがなぜか仕事。しかも3時間も残業をしてへろへろになって帰宅。即就寝。

1月7日(日)

朝食に七草粥を食べた。午後は柴田聡子×ハダタカヒトのトーク&ライブを観るために車で辰野町まで行った。場所は旧安藤精麦という元々建材置き場だった建物で趣きがあった。

トーク30分の後に柴田聡子のライブが1時間半ほど行われた。神保町ひとりぼっちにはよく行っていたためこの距離で柴田聡子の歌を聴くのは慣れてはいるが、地元の長野県で聴けるのは本当に嬉しい。天才っぷりを存分に浴びた。小規模なイベントということもあり豚汁や温かいお茶なども振る舞われてアットホームな空間でとても良かった。仕事をしている時は常に誰かに心臓を掴まれているかのようなしんどさがあるが、文化的なものを体感している時は全てから解放される。

夜からちらちらと雪が降り始め、いつの間にか外が真っ白になるほど積もっていた。深夜、カーテン越しの窓の外がぼんやりと白く、雪が積もった日は夜でも外が明るいのを思い出した。