記録

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終わらない1日

午前4時には空は明るくなって、朝6時の朝日はとても眩しいことを知った。2週間前から新しい仕事が始まった。夜勤が週に何度かある仕事で、夜の21時に出勤して翌朝6時までなんて日が度々ある。先週は、そんな日が3日連続であった。夜に家を出て朝に家に帰ってきて昼間に寝てまた夜に家を出る。夜に寝ることによって1日の終わりを体感していた身としては、終わらない1日が永遠に続いているかのようだった。ずっと1日が延長されているのだ。

新しい職場の休憩室には他に誰かがいることが多く、落ち着かない。ご飯もどこで食べていいか分からず、最初はコンビニのイートインにいた。けれどもなんとなく味気ないというか同じ職場の人にイートインにいる姿を見られたので恥ずかしくなり、最近は近くの公園で過ごしている。高台にある公園で、とても居心地が良い。昼間は散歩する犬を眺め、深夜は月を見上げ、遠くに見えるマンションのてっぺんで瞬く赤い明かりを眺めながらラジオを聴いたりしている。つい昨日なんかは、深夜の公園でコンビニで買ったカツ丼を食べた。深夜2時に公園でカツ丼を食べる未来なんてまったく予想していなかった。そんな夜勤の続く毎日にEMCの「東京で考え中」なんかを聴いてしまうとグッとくるのだ。深夜、いつもの公園から見える月。

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夜勤も多く、仕事のリズムがつかめていないので、映画も演劇もほとんど観れていない。唯一観に行けたのは、ローザス『A Love Supreme〜至上の愛』と小田尚稔の演劇『善悪のむこうがわ』の2つだ。ローザスは、ダンスについてまったく知識のない自分でさえその素晴らしさに打ちのめされた。ジョン・コルトレーンの「至上の愛」を音楽に踊るわけだが、冒頭の無音で踊る姿にすでに引き込まれた。いや、もはや踊ってすらいない、舞台の上にただ立つたたずまいそのものが美しかった。小田尚稔の演劇は、美術手帖VOLVOのコラボによる異色の公演で、会場もボルボスタジオ青山というショールームで上演された。場所が変わったからといって小田さんの作品にブレはなく、素晴らしい作品だった。僕は本当に小田さんの作品が好きで、いま一番面白い演劇はなに?と聞かれたら小田尚稔の演劇と言うだろう。

映画は観に行けていないが、国立西洋美術館へ展示「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ−ピュリスムの時代」を見に行った。 

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どうでもいいことだが、ずっとコルビジュだと思っていた。数年前までコルビジュって言ってませんでしたか?気のせいですか?いつからコルビュジエになったのだろう。展示は、キュビズムの影響を受けた後のコルビュジエの絵画がとても良かった。「多数のオブジェのある静物」のような、いくつもの物の重なりが透過されて描かれ、一つ一つの輪郭が曖昧でけれども綿密に計算された構図である作品に惹かれた。絵を見ながら、同じ場所にありながら重なりが曖昧になる表現が、演劇っぽいなーなんて思ったりした。

漫画は、田島列島『水は海に向かって流れる』が面白かった。もう、タイトルが抜群に素晴らしい。あとどのくらい続くのだろう。

仕事が始まって2週間が経ち、当たり前だがまだまだ慣れることはない。けれども、それほど辛いとか苦しいとかはなくて、この仕事なら続けていけそうな気もしている。見てわかる通り、日記の更新ペースは下がってしまっているのだけれどこれからも細々と書いていきます。来週も夜勤が何日かあるので、午前4時にぼんやりと外が明るくなっていくのを眺めるのだろう。