記録

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生々しい生活

街は、様々な人の生活が折り重なってできているのだと意識する機会が度々ある。それは、すれ違った人々や、ファミレスでの会話、電車やバスの中など、ふとした瞬間に目の前の人のこれまでとこれからを想像する。ここ数日は、そのことを強く意識する日々が続いている。それはなぜか。食べ物の配達をしているからだ。そう、あのuber eatsの配達員をやっている。単純に週払いでお金が入るし、今のところ平均して1日に5000円以上は稼げる。時給換算だと1000円は超えるので目の前の生活をやり繰りするための仕事としては悪くない。注文が入ればひたすら自転車を漕ぎ、お店から注文者の家へと食べ物を運ぶ。幸いにも自転車に乗ることは好きなため、まったく苦痛ではない。配達場所はもちろん無作為なので、行ったことのない場所へ自分の意思とは関係なく誘われる。配達ってそういうことなのだろうけど、なんだか面白い。さらに、注文が入らない間は暇なので知らない土地で写真も撮ることができる。

食べ物を届ける先は、様々だ。一軒家もあれば、高級マンションもあるし、都営住宅もある。そこに住む人々も皆もちろん違う。わずかに開いた扉の隙間からテレビの音が漏れてくることもあれば、部屋の中が真っ暗なこともある。バスタオルだけの男の人もいた。配達していると、注文者は女性が多いことに気づく。デリバリーを頼む人は勝手に男の人が多いイメージを持っていたのだが、uber eatsはチェーンではない様々なお店が揃っているため、女性でも頼む人が多いのだろうか。さらに女性の方が、外へご飯を食べに出ることのハードルが高いことも関係しているのではないかとも思った。もちろん、個人によって異なるが、お化粧であったり服装であったりと、男の人よりも外出に気を遣うのかもしれない。そのストレスに比べたら数百円の配送料などなんともないのかと勝手に想像している。男性だから女性だからみたいな考え方は極力しないようにしているので勝手に決めつけんなよという人は怒ってください。とにかく、一瞬だけ開く様々な扉の先に生活を垣間見る瞬間が度々ある。普段自転車に乗るときは、流れていく風景や家々の明かりに感慨深くなるが、個人の家から家へと東京の中を自転車で走ると、生々しい生活を感じる。街は、個人の生活がいびつに重なりあってできているのだと思わぬ角度から実感した。なんだかいつも生活とか人生とかそんな同じことばかり書いていて、本当はもっともっと色んなことを書けるようになりたい。
配達中、到底自分では住めないようなマンションから見えた風景で終わりにする。

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