記録

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美味しいという記憶

最近は家にいることが多いため、ずっとラジオを聴いている。深夜ラジオはもはや10年ほど前から日常のルーティーンの中に組み込まれているが、ここ数ヶ月は午前中に放送されている『伊集院光とらじおと』をよく聴くようになった。そのラジオの中で毎週火曜に「俺の5つ星」というコーナーがある。そのコーナーがとても好きだ。内容は、リスナーの思い出の中にある、今はどうなっているかわからないお店の現在を、場所や味といったわずかな情報を元に、他のリスナーがこのお店では?と見つけ出すコーナーだ。投稿されるほとんどが、何十年前のお店であり、インターネットでは引っかからないものだ。このコーナーの面白さは、リスナーから寄せられる複数の情報を元にお店を絞り込んでいく謎解きの要素と、記憶の不確かさにある。お店を探して欲しい投稿者からの情報は、記憶違いのことが多々ある。たとえば、「ベッセ」というアイスを探している人の投稿があった。リスナーから寄せられた情報によると本当のアイスの名前は特別製を意味する「べっせい」であったり、そのアイスを売っているお店の名前が「スガ」であるという情報が寄せられたが本当は「みふくや」というお店の名前だったこともあった。店主の名前がスガさんだったかららしい。僕がこのコーナーの好きなところは、このような記憶違いがありながらも、投稿者とリスナーの間には「美味しかった」という変わりようのない記憶が共有されていることだ。「美味しかった」の周りにある記憶は、個々人で異なるのだが、不変の「美味しかった」だけは確かにある。なんというか、そのことがとても尊く思えてしまう。あそこのお店美味しかったよね、と友人などと話すことは多くの人が経験している。そこには恐らく固有の思い出が付随している。しかし、それと同時に、どこか知らない誰かと「美味しかった」を共有している可能性もあるのだと、「俺の5つ星」を聴いていていつも思う。だから、いつか僕が台湾で食べた名前の思い出せない食べ物も、それにまつわる記憶とは別の、「美味しかった」だけを共有している相手が無数にいるのだ。1人ラジオを聴きながらそんなことを想像する。とても当たり前だけれど、凄いことだ。

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他にも今週の爆笑問題のラジオがなかなか良かった話とか、他のラジオの話を色々と書きたいのだが今日はやめておく。演劇は最近だと、タカハ劇団『僕らの力で世界があと何回救えたか』とシベリア少女鉄道『いつかそのアレをキメるタイム』を観に行った。どちらも面白かった。かなり前だが範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』も観に行っていたのだが、そのことをここに書いていなかった気がする。また感想は機会があったら。あとは、Netflixの『ロシアンドール』も面白かった。1話30分なのでサクッと見れる。『伊集院光とらじおと』の「俺の5つ星」はネットに転がっているのでぜひ。