記録

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暖かい真夜中

とても暖かい日があった。その暖かさに気がついたのは深夜4時で、ゴミを出しに外へ出た時だった。気持ちの良い、ぼんやりとした暖かさで、なぜだかハワイを思い出した。先日、髪を切りに行ったら美容師さんに、行きたい国はありますか?と聞かれた。ハワイと答えていた。ハワイには、一度だけ行ったことがあって、とても気候が良かったのを覚えている。なんとなくハワイというとミーハーで、芸能人やお金のある人が行くイメージがあって敬遠していたのだが、好きになってしまう気持ちが分かった。あの空気の心地よさをもう一度味わいたい。

深夜4時にゴミを出しに外へ出たのは、なんとなく目が覚めてしまったからで、暖かさを味わってから布団に潜った。真夜中にあんなに暖かいのだから当たり前なのだけれど、その日の昼間は春のようであった。最近は寒くてめっきり散歩に行けていなかったので、この日を逃すまいと久しぶりに歩くことにした。ちょうどその日の午前中、『伊集院光とラジオと』を聴いていたら伊集院さんが散歩に行く前におにぎりを食べていたので真似をして、コンビニでおにぎりを買ってから歩き出した。自宅から北に向かって進む。しばらくすると神田川にぶつかる。そこから神田川沿いを歩く。右側には新宿のビル群。

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東中野駅を左手にさらに進むと、遠くにスタジアムとかにあるような大きなライトが見えてくる。なんだろうと思っていると、落合中央公園という場所だった。

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公園を通りすぎてしばらくすると、下落合駅にたどり着く。

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線路を渡り、神田川を離れ新目白通りへ出る。少し歩けば高田馬場だが、そこまではいかず七曲坂を登り、薬王院というお寺へ行く。意外に立派であったがこれといって面白いことはなく、再び来た道を戻る。今度は川沿いではなく住宅街を抜けていく。この辺りで正直もう疲れていて、電車に乗りたくなったがぐっと我慢。落合駅までたどり着くと、すぐ近くでもくもくと煙が上がっている。路地の奥で家が燃えていた。しっかりと赤い火が見えた。消防車と救急車が続々と集まってくる。あっという間に周囲は煙で覆われ、空からは灰と放水された水が霧状になって落ちてくる。

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人々は立ち止まりカメラを向け、周囲のマンションやビルからは不安そうに顔を覗かせている人がたくさんいた。電話で火事の様子を実況中継している人も何人もいた。下校途中の小学生は、はしゃいでいた。ほんの数分通りかかっただけだがあまりの煙に気持ち悪くなってしまい、東中野まで歩いて電車に乗ってしまった。服がとても煙臭くなっていた。まさか暖かい日の散歩の結末が火事との遭遇になるとは想像もしていなかった。後日調べてみると、死者もけが人も0であった。

転職サイトから企業へエントリーしまくっているのだが、ことごとく落ちている。毎日不安で仕方がない。所詮は散歩の途中で火事に遭遇し灰をかぶり煙に燻されるような人生なのだ。