記録

記録

美味しいという記憶

最近は家にいることが多いため、ずっとラジオを聴いている。深夜ラジオはもはや10年ほど前から日常のルーティーンの中に組み込まれているが、ここ数ヶ月は午前中に放送されている『伊集院光とらじおと』をよく聴くようになった。そのラジオの中で毎週火曜に…

いつだって途中だから

劇場を出ると雪が降っていたことがある。それは2年前の2月9日にアゴラ劇場でペニノの『ダークマスター』を観た時だった。偶然にも、ちょうど2年後の2019年2月9日も、劇場を出ると雪が降っていた。東中野のビルの9階、街を見下ろせる場所でウンゲツィーファ『…

暖かい真夜中

とても暖かい日があった。その暖かさに気がついたのは深夜4時で、ゴミを出しに外へ出た時だった。気持ちの良い、ぼんやりとした暖かさで、なぜだかハワイを思い出した。先日、髪を切りに行ったら美容師さんに、行きたい国はありますか?と聞かれた。ハワイと…

うるせえ!と僕は思ってしまう

いま目の前にあるのは、自分がどうするかの選択のみで、いや、そもそも人生はその連続なわけだけれども、誰かの人生に思いを馳せるみたいな余裕がなぜか自分の中にはある。1年半ほど前に、散歩をしながら道ゆく人の会話の断片をメモしたことがある。 miwa05…

Things So Faint But Real

高層ビルやマンションに夕日が当たり、まるで最初からそれが綺麗な橙色の建物だったのではないかと見間違えるような日がある。そういう美しい夕暮れを、人々が行き交うなかで立ち止まって見つめている人がいる。残念ながら僕はそんな人にはなれなくて、誰も…

目の前には水蒸気

起き上がる気力もなく、ベッドで横になり、枕元に置かれた加湿器から白く水蒸気が立ちのぼるのをぼーっと見つめている。この状況、短歌とかで詠まれてないかと思ったがまったく思い出すことができない。 2日前からインフルエンザにかかってしまった。アルバ…

さて、これからどうしましょうか。週5で毎日働いていたアルバイトを週1に減らすことになってしまった。仕事を辞めた時、学生時代からのご好意で、就職するまでの間という話で働かせてもらっていたのだが、タイムリミットはすぐ目の前に現れてしまった。なん…

なにもかもが輝いて手をふって

静岡駅前行き、と書かれたバスが信号待ちをする僕の前をゆっくりと走っていく。窓際に座る人が、窓ガラスに頭をもたれさせながら、ぼんやりと外を眺めている。松屋、渋谷マークシティ、サンデーコーヒー、道玄坂マンモス、餃子の王将。目に見える看板の言葉…

一生枯れさせない

このペン、今朝借りたままで。すみません あっ!どこかで無くしたかと思ってたんです!よかった。 日がすっかり沈んで、室内と外の境目のぼんやり薄暗い場所でかわされたほんの数秒の会話に、どうしたって喜びを感じてしまう。アルバイト先に毎日来る佐川さ…

ゆるい坂の上から

苦しくても書いて、苦しいから書いて、楽しかったこともうれしいことも、ゆるい坂の上から町全体を公平に見下ろすような視線で書いていってほしいです。 先日、このような言葉をいただいた。ここにその言葉を載せることは、その言葉をくれた人を自分のために…

西日が差すだけ泣きそうで

初めは危い谷の小川の橋を渡るような心配事があるが驚き迷うことはありません 後には何も彼も平和に収まります 凡て小さいことも用心していればよろしい おみくじの言葉だ。今年2回目のおみくじも大吉であった。2019年は大吉を乱獲している。この調子で世の…

古いハム

すみません!そのパニーニ、古いハムでした! 帰省する前の年末、家までの坂を登りながらパンをかじっていたら、パン屋さんのお兄さんが走りながらそう伝えてきた。僕の手にはもう3口ほどかじられたパニーニがあり、お兄さんもそのかじった跡を見つめていた…

続2018年の終わりに

電車に揺られている。窓の外は、代わり映えしない山の景色が続く。空は雲ひとつない。駅に止まるたびに開くドアから冷たい風が吹き込んでくる。ふと現れる山奥の住居の生活に想いを馳せるなんて感傷的なことかできればいいのだが、それほど気分は穏やかでは…

2018年の終わりに

もう年末なので、そろそろ今年を振り返ろうと思う。なにかを振り返る時は往々にして、大きな出来事ばかりが目に入る。まして今年はあまりにも色々なことがあって、そのことに目を向けてしまいたくなる。しかし、その大きな出来事の影に隠れてしまっているこ…

誰かの記録

密かな趣味がある。誰か知らない人の個人的な記録が刻まれたものを手に入れることだ。日記でもなんでもいい。誰かの痕跡が残っているものは胸をざわざわとさせる。 最近手に入れたものは、昭和29年(1954年)、主婦の友(新年特大号)付録の「家計簿」だ。1月…

退屈を引き受ける

それってプライムビデオで観れるの?最近外に出るのが億劫でね。 87歳の詩人のこの一言を聞いた時、最高にクレバーだと思った。 金曜日、谷川俊太郎の朗読を聞きに行った。僕は谷川俊太郎の詩が好きだ。詩というものがそれほどメジャーではない国で、おそら…

ここ数日のこと

朝ってもう少し明るいのかと思っていた。5時半ぐらいにカーテンの隙間から外を見たら、想像の何倍も暗くて驚いた。眠れない日に徐々に夜が明けていくのをカーテンの隙間から漏れる光で感じていたのだが、その明るさと実際の外の明るさは比例していなかった。…

そこに水路があった

最寄り駅から家まで歩く道は、登りから下りになっている。登りの一番高いところには、その高さのまままっすぐの道が横に通っている。その道を渡るとまた下りになる。なぜその道の場所だけ高台なのだろうとずっと思っていた。地名的に谷がつくし、谷があった…

ただ歩く

先週受けた面接に落ちた。まあそんなもんですよね。いや、まあそんなもんですよねと言って自分を慰めておかないとやっていられない。年内に仕事を見つけるなんて言っていたが、年明けは目の前に迫りつつある。先週の土日のことを書く。 土曜日。朝起きて、今…

悪いことが起きそうな日

今日は、数ヶ月ぶりに起きようと思った時間に起きることができた。いつもは朝6時半に目覚ましをかけるのだけれど結局は7時20分ぐらいに起きてバタバタとシャワーをあびて8時過ぎに家を出るみたいな生活を送っている。本当は7時45分に家を出たいのにその夢が…

特別でもなんでもない日のショートケーキ

面接が終わり、電車の中にいる。数日前から馬鹿みたいに緊張していたのに、面接時間は7分で終わった。きっと落ちているだろうし、早くスーツを脱ぎ捨てたい。面接でよく言われるのは、落ち着いてるね、という言葉だ。落ち着いているのではない。必死に落ち着…

親が連日来ていて辛かったので、土曜は1日予定があると伝え、お昼に原宿VACANTで明日のアー『観光』を観た。今回で観るのは3度目で去年の『日本の表面』の方が時代を捉えている印象はあったけれど、パターンに陥らず毎回面白いポイントが違うので笑うことが…

ただの愚痴

父と母が東京に来ていたので姉も交えて1日行動を共にしていた。話題といえばもちろん僕の仕事のことで、その話が出るたびに胃が痛くなり吐きそうになった。父はとにかく世間体というものにこだわる人間なので、いつまでこんな状態続けるんだ、と苛立ち、姉は…

未来

朝、すれ違う人たちや電車の中のいたるところで、寒いね、寒いねのキャッチボールが繰り広げられていて、冬だと気がついた。 先日、こんなツイートをしたら4つのいいねがついた。 寒いのでほうじ茶を飲んでハッピーになりました。— ミワ (@Not_sanrinsya2) 2…

虚無の散歩

散歩に出かけた。フィルムカメラを持って。以前までは写ルンですを常備していたのだが、ここはひとつカッコつけてみますかとフィルムに手を出してしまったのだ。街中でカメラを持っているそれっぽい人を見ると、うわーと思ってしまう自分がいたのだが、もう…

なにかのワンシーン

最近は、あまりにも空が青すぎる日が多い。ロロのいつ高シリーズvol.7『本がまくらじゃ冬眠できない』を観に行った。舞台の上にたくさんの本が並べられていく様子はわくわくして、あっあれ読んだことある!あれもある!となるのが嬉しかった。いつものいつ高…

店長と呼ばれる人

間に合わなかった一言があって、でも、間に合った一言もたくさんあると信じたいです。ちょうどいいタイミングでかけられるちょうどいい一言が、実は、自分たちも気づいてないだけで、この世界にはあふれてるんじゃないでしょうか。それが間に合ってくれたお…

人と話す

先週は何故だか人に会うことが多かった。根っからの人見知りであるため、誰かから声をかけられなければ人に会うことがない。その誰かから声をかけられるタイミングが偶然重なったのだ。 正直なところ、人と話すことは中学生ぐらいまでそれほど苦手ではなかっ…

眠れない夜には

眠れない夜がある。そんな時は、布団に潜りながらライブ配信されている世界中のどこかを見る。 信号が赤から青に変わり、待っていた人々が横断歩道を渡り、やがてまた信号が変わり、車が走り出し画面の外に消えてゆく。その繰り返しが、世界のどこか知らない…

中欧旅行記オーストリア ウィーン編

前回のブダペスト編はこちら。 中欧旅行記ハンガリーブダペスト編 - 記録 今回はオーストリアのウィーンでのことについて書いていく。 ブダペストからウィーンへは、電車で移動した。ブダペストの駅は大きく、いくつもの列車が発車を待っていた。 僕は、隣の…